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悟空ちゃんの大冒険 その2

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ー猪八戒登場編ー

「…しかしまさか息子の嫁が豚の妖怪であったとは…
息子は家に閉じ込められたままでどんな目に合わされているのかまるで解からないのです…」
苦渋に満ちた表情で年老いた男が語る。
「ほうほう」
「大人数で息子を取り返しに家の前まで詰め掛けたこともあったのですが…
妖怪めは大層な馬鹿力の持ち主で全員が打ちのめされ…結局引き下がるしかありませんでした」
「ふむふむ、許せぬことだな」
「お願いします、どうかあの豚の妖怪めを追い払い、息子を取り返してくださいませ…三蔵法師さま」
「うむ、よろしい!不埒な悪行を働く豚の妖怪とやらに、仏の道というものをとくと教えてやりましょう。ひっく。
息子のことは心配いりません。ういっく。我々がなんとしてでもあなた方の下へとおくりとどけてしんぜよう…
あ、酒のおかわりを頂けますかな。ヒック」
「あの、最初に断っとくけどダメかもしんないよ。このクソ坊主は」
「ううう…」
男は酔っ払う三蔵法師とその弟子―孫悟空の顔を交互に見比べると深い深いため息をついたのだった。

とある村に通りがかった三蔵法師と悟空。
二人は村の長より豚の妖怪に囚われた息子を取り返して欲しいと頼まれ、
上記のようなやりとりを経て娘を救うことを引き受けたのだった。

「…っていきなり全部あたいに押し付けるのな…あのクソ坊主…」
村はずれにある村長の息子と嫁妖怪の新居の前で、一人悪態をつく孫悟空。
『あー、酔っ払ってもうた~。悟空~、悪いが一人で行ってきてくれー。ヒック』
なんぞと抜かしたのだ。
「むきー!ほんとに坊主としての自覚の無いやつだっ!」
それでもそんな外道坊主の言うことを聞かなければならない自分の境遇が腹立たしい。
頼みを聞かなければまた例の小型緊箍呪を発動させるかもしれないのだから。
「けどまぁ…たしかにコレは坊主がきてもどうにもならなかったかもね」
そう呟くと、悟空は表情を引き締める。
新居の中に、その妖怪と思しき気配は感じられない。
だがしかし…この新居の周囲に残留している妖気の香りから推測すれば…
悟空の経験からすれば件の妖怪は結構な大物だと思われた。
村人達が『打ちのめされた』だけで済んだというのは幸運以外の何物でもない。
近づく戦いの予感に、悟空の中で激しい闘争心が燃え滾り始める。
「久々に…大暴れできそうかな」
愛らしい姿の猿妖はそっと呟くと、ぺろりと小さく舌なめずりをした。

とりあえず、豚妖が帰ってくる前に息子を探し出しておくほうがなにかと都合がいいだろう。
「おーい、息子さーん。助けに来たよ~。天下無敵の孫悟空様が囚われの旦那さんを助けにきたよ~」
…返事が無い。既に妖怪に食われたのだろうか。
…いや。
悟空の研ぎ澄まされた鋭敏な感覚は、今の呼びかけに反応して屋敷のどこかで微かに気配が動いたことを捉えていた。
「んもう。生きてるんなら返事くらいしなよ」
めんどくさそうに呟くと悟空は部屋を一つづつ巡って中を確認していく。
念のため、手のひらの中には敵が襲ってきたときに備えて、伸縮自在の『如意金箍棒』を握り締めておいた。
やがて、悟空は見るからに頑丈そうな鉄の扉の前にたどり着く。
どうやら、人の気配が感じられるのはこの部屋の中のようだ。
「もしもーし、旦那さーん。そこにいるんだろう~?」
すると、扉の向こうからか細い男の声が聞こえてきた。
「な、なにものだ…あの豚女の仲間か…?」
「村長さんに頼まれてね。あんたを妖怪から取り返しに来たんだよー」
しかし扉の奥から聞こえてきたのは男の慌てふためくような声だった。
「い、いやだ!騙されないぞ!また手料理だなんだとか言って俺を太らせて食うつもりだろ!」
「なにを言ってんだかさっぱりわかんない」
閉じ込められているというよりも…自分から部屋に閉じこもっている、といった感じである。
事情はわからないが、今はとっとと彼を取り戻さなければならない。
「まあ、いいや…ほいっと」
たちまち如意金箍棒が手のひらに収まる大きさから、悟空の背丈の2倍ほどの長さへと変化する。
「今から扉ぶち破るから。命が惜しいなら入り口から離れてな」

言うなり悟空が手にした金箍棒で鉄の扉を…小突いた。

ばぁごおおん!!
凄まじい破壊音が轟き、分厚い鉄の扉が跡形も無くふっとんだ。
小さななりをしていても、孫悟空の腕力は計り知れないものがある。
しかも得物は神珍鉄にて鋳造された一万三千五百斤の如意金箍棒である。
ただの鉄の扉など、紙を貫くよりも容易く消し飛ばせるのだ。
「んぎゃああああ~~っ!!」
部屋の中から恐怖に満ちた男の絶叫が轟いた。
悟空が踏み込むと、部屋の中は鉄の扉が破壊されるときに発生した衝撃波の為に酷い有様を晒していた。
なんらかの倉庫として使われていた部屋らしく、大小さまざまなガラクタがそこらに散乱してしまっている。
「あわわわ…ま、また別の妖怪…!?」
男はすっかり脅えて縮こまっており、恐怖で顔をくしゃくしゃに歪ませた情け無い表情を浮かべている。
「出会い頭にそこまでビビられるとムカつくなぁ…ほら、今ならあんたの女房はいないから。
とっとと逃げ出しちゃいなよ」
そういって如意金箍棒の先で部屋の入り口を指し示すと、
「ひいいええええ~!ぱ、パパぁああ~ん!!」
男は情けない叫び声を上げて、脱兎のごとくそこから飛び出していった。

「むき~!なんだよあいつ! お礼の一言も無しなんて…さ…!?」
愚痴を垂れる悟空であったが、いきなり感じた新たな気配に表情を引き締める。
頭の上から押し付けられるような重圧感。並の小妖怪のそれとは桁の違う妖気。
「…女房のおでましかっ!」
突如、家の上空に黒雲が姿を現した。天を覆う黒雲は次第に凝縮し、人型へと姿を変える―
透けるような白い肌。はだけた胸元からは今にもこぼれそうなほどのたわわな乳房。
見事な肢体を誇る長身の金髪美女がそこにいた。
そこへ悟空が家の中から飛び出し、金箍棒を手に身構える。
「おやおや、珍しいお客さんがいると思ったら…弼馬温がなんの用件かしら?」
「んきっ!弼馬温ってゆーな!」
こいつ、なんであたいが天界にいたころの役職を知ってるんだ?
「あんた、天界人だね?それも、結構な階級の…」
「あたしは猪剛鬣(ちょごうりょう)。もと天蓬元帥さ…もっとも今は妖怪だけどね」
天蓬元帥…天河水軍の長!?ハッタリでなければ相当の大物である。
「…天蓬元帥が…なんで豚の妖怪に…」
「事故よ、事故。つまらない失敗しちゃってね…
蟠桃会(ばんとうえ)の席で酔っ払ったあげく、足をすべらせて人界へ落っこっちゃってさ。
…たまたま地上にいた雌豚にぶつかって、身体が混じっちゃったのよ…でも、なかなか今の状態も悪くないのよ?」
そう言うと、身体をくねらせて艶っぽい姿勢を取ってみせる猪剛鬣。
大きく開いた胸元からはこぼれそうなほどに膨らんだ乳房がのぞき、突き出したお尻にもお肉がみっちりと詰まっている。
融合の際に豚の脂肪分が上手い具合に乳と尻に分散され、男好きのするグラマラスな肢体へと変貌を遂げたようである。
「それにしても…あたしのいない間に、住処を荒らしてくれるなんていい度胸してんじゃないの。
いったいどういうつもりよ」
猪剛鬣の声に凄みが篭る。それに伴い悟空の表情が緊張に引き締まる。
始まる戦いの予感を肉体が察したか、全身の筋肉が自然と体勢を整え、ムダの無い構えを取らせた。
鋭い視線を長身の女に向け、金箍棒を握る手に力が篭る。
「数万の水軍を率いる元帥殿が、たかが人間の男を囲うだなんてね。
…悪いけど、あんたの婿殿はさっき実家に帰しちゃったよ」
「なんだ…村長に頼まれたのかい。あんたこそ人間の頼み事を聞くなんて、らしくないじゃん?」
「いろいろ事情があんのよ…言っとくけど、旦那を取り返しに行こうってんなら…邪魔させてもらう」
二人、無言のまま。互いの視線を捉えながら、睨みあう。
対峙する二人の間で殺気と妖気が絡み合い、渦を巻きながら凝縮されていく…が、しかし。
「…ああー、旦那ね…。いいよ、べつに。どこへでも連れて帰っちゃって」
猪剛鬣のなんともやる気のない発言で一気に緊張感が消し飛んだ。
「…へっ?」
豚妖の意外な発言に、金箍棒を構えたままの姿で固まる悟空であった。

「あたしはねー、そのなんつーか。男に尽くすタイプなわけよ」
「そ…そうなの?」
悟空を家に上げてお茶を勧めると、いきなり旦那に対する不満を並べ立てる猪剛鬣。
「あの旦那もねー、あたしが目をつけたのは他の村の連中に対して強気な態度で接してたから。
あ、この男ならあたしの旦那としてふさわしいかな~、なんて感じたから結婚しないかって誘ったのよ。
おい、めしー、なんて言われたらご飯用意して、ふろー、なんて言われたらお風呂沸かして、
そうやって亭主関白な旦那相手に甲斐甲斐しくお世話しながら結婚生活おくりたかったわけよ」
「専業主婦志望だったんだ…いまどき珍しいね…」
受け答えしながら、お茶をすする悟空。
毒が入っている可能性もあったが、不死の身体に通用する毒など滅多にないので気にせず口にした。
「でもダメ!あいつときたら、ホントは全っ然根性なくってさ~!あたしが妖怪だとわかったとたん、ブルっちゃってさぁ。
…いやさ、人間なんだから、力とか術とかで妖怪に劣るのはしょうがないよ?
けどなんかこう威厳っていうの?夫としてはさー、どっしり構えてもらってあたしはそれを支えてあげる、みたいな。
でもちょっとあたしがなにか言い返した程度でいきなり『ごめんなさい、もういいです』とか言っちゃうのはどーよ?
…よおするに村長の息子って地位のお陰で威張ってただけで、中身はからっきしの弱虫なんだよ。
で、あたしとしてもすっかり冷めちゃったってワケ」
「ああ、うん…、そうなんだ…」
一気にまくし立てる猪剛鬣に、若干辟易としながら適当な相槌を返す孫悟空。
(なぁんか調子狂うなぁ。あたいとしては闘る気まんまんだったのに…)
まさか若奥様の愚痴を延々と聞かされる羽目になるとは…。
「まあ、そういうことなら…丸く収まりそうだね。暴れられないのは残念だったけど」
悟空的には多少フラストレーションは溜まるが、村長の息子は取り返したし、嫁も引き下がるというのだから
事は一件落着である。
「そういやぁ弼馬温…じゃない、孫悟空。あんたが一緒に旅をしてるって坊主は何者よ?」
猪剛鬣は既に世間話のノリで新たな話題を振った。悟空は露骨に嫌そうな顔をして質問に答える。
「三蔵っていう…生臭を通り越して外道な坊主だよ。天竺まで経典を取りに行くんだってさ。
なんの因果かあたいの師匠ってことになって…」
そこまで聞いて、リラックスしていた猪剛鬣の表情が急に引き締まった。
「経典…だって!?」
「…うき?」

「たのもぉ~!」
身に纏った黒雲を振り払い、村長の家の前に長身の女が舞い降りた。猪剛鬣である。
聞き覚えのある女妖の声が聞こえたとたん、村長と逃げ帰ってきたばかりのその息子は脅え、震え上がった。
「うわぁあああ~!よ、妖怪が息子を取り返しに来たぁああ!」
「うわぁあああん!怖いよパパぁん!!」
ひし、と抱き合いガタガタと身を震わせる父子。だが、女妖の狙いは逃げ出した夫などではなく…
「あたしは三蔵法師様に会いに来たんだ!取次ぎなさぁい!」
「へ…ほ、法師さま?」
なぜ?といわんばかりに呆けた表情を浮かべる村長。
「よ、よくわからんが法師さまをお呼びするのだ…きっとなんとかしてくださるだろう…」
「ちょっと~!法師様はいないの~!?」
「三蔵法師はわしだが?」
野太くも威厳の篭った声が上がった。ずい、と玄関口から長身の坊主が現れる。
「あなたが…三蔵法師」
「いかにも!」
三蔵は力強く、腹の底から響くような声で答えた。

「なんだってんだぃ、あの豚女。突然飛び出して行っちゃうなんてさ」
―ちょっとその三蔵法師に会ってくる。
―台所に『ばなーな』とかあるから、適当にくつろいどいて!
そう叫ぶなり、再び黒雲をまとって猪剛鬣は外に飛び出していった。
「まあ…前の旦那には完全に愛想尽かしてるみたいだったし。ほっといても問題ないだろ…」
そんなことより、飛び出す間際に言っていた 『ばなーな』 とやらが気になる。
ごそごそと台所を漁りながら、『ばなーな』を探す悟空。
「食べ物のことだと思うけど…確かにさっきから妙にひかれる匂いがするんだよね」
やがて台所の片隅に大きな木箱が見つかった。
フタを開けると、そこには悟空の見たこともない物体がぎっしりと詰まっていた。
果実だろうか。黄色い三日月状の実が4,5本づつ、房になって連なっている。
「んきゃ?これが、ばなーな?」
適当な房から一本だけ千切りとり、しげしげと眺めてみる。
黄色い皮をむいてみると内側の真っ白なやわらかい部分がむき出しになった。
ほんのりと甘い香りが悟空の鼻をくすぐる。
はむ、と柔らかな先端を口に含み、前歯をたてるとそれは容易く切断され、口の中に転がった。
―その瞬間。悟空は眼前に新たな世界が広がるのを確かに感じた。
「こっ…これわぁっ…この味わい…この香り…!」
ぱああああ、と悟空の表情が輝いた。
「おおおおおぉおおおいしいいいいぃぃぃ~~~~!!!」
口の中に広がる、この世のものとも思えぬ芳醇な香り。
一噛み、二噛みするたびに口の中を駆け巡る酸味と甘味の絶妙のハーモニー。
「これが…これがばな~な!うわあぁぁぁあすごいよ~すんごくおぃしぃよぉおお~!」
あまりの美味しさに涙すら零しながら次から次へと箱の中のばなーなに手を出していく。
初めて出会う極上の味に夢中になるあまり、悟空は猪剛鬣のことなどすっかり忘れ去ってしまっていた。
「んんきぃいい~、おいしぃよおぉ~おぃしいよおお~!」
愛らしい顔をふにゃふにゃに緩めながら、ぽいぽいと口の中にばなーなを放り込んでいく。
ばなーなをめいっぱい口の中に頬張ってほっぺたをぷんぷく膨らませながら、喜びの声をあげる悟空であった。
「ほほう、わしの弟子になりたいと?」
「はい!」
三蔵の前で、恭しく頭を下げる猪剛鬣。
「天竺へと経典を求めて旅をなさっている高僧がおられるという話は以前から知っておりました。
以前、観音菩薩が私の住処の近くを通りかかった際に、
その高僧の手助けをすれば私は再び天界の役人として復帰できるとお教えくださったのです」
猪剛鬣は胸元から一本の巻物を取り出すと、三蔵法師に手渡した。
「観音様より預かった物でございます。弟子入りを志願するなら渡すようにと仰せられました」
三蔵は封を解くと、巻物の中身を一瞥し、ふむと頷いた。
「…観音菩薩様の推薦状か。良かろう。お主はこれよりわしの2番弟子となるがよい」
「ありがとうございますっ!」
再び頭を下げた後、三蔵の姿を見上げてみる。第一印象はそんなに悪くない。
(高僧なんて言うから、インテリっぽい優男みたいな奴想像してたけど…
男くさいし、貫禄があるし、ガタイもいいし結構あたしのタイプかも)
とはいえ、よく考えてみたら先の旦那も第一印象で選んで失敗しているのである。
(見かけだおし…てこともあるしね。ちょっと試してみようかな)
「あのぉ、三蔵法師様…」
「うむ、何かな?」
「あたしぃ、これからは仏門に入るわけですけどぉ。そうなると今の夫とは離縁しなければならないわけですよねぇ。
今までは毎晩夫に静めてもらってたんですけど…これからは身体をもてあまさないか不安で不安でぇ…」
胸の谷間を強調しつつ、色っぽくシナを作りながら、甘えるように語りかける。
「旅の途中でぇ…なんだかうずうずしてきちゃったら…あたし、どうすればいいんでしょうかぁ?」
(さぁて、どんな反応が返ってくるのかしら?)
この男が評判通りの高僧であるならば、なんとかしてこのようなはしたない態度を改めさせようとするだろう。
問題は、その時の態度である。
烈火の如く怒り、激しく諌めるか?
もしくは、おどおどと弱気な態度で小声で注意するだけで終わるか?
反応如何によってはこの新たな師匠との付き合い方は大きく変わってくる。尊敬できるか否か。
かつて天蓬元帥として水軍の頂点に君臨した彼女にとって上下関係の概念は重要な意味を持っているのだ。
しばしの沈黙のあと。引き締まった真面目な表情のまま、三蔵が口を開いた。
「新たなわが弟子よ…」
(きた!)
「はいっ」
「何も悩むことはない」
「…は?」

「人も妖怪も同じだ。雄と雌、男と女。悲しいかな、互いに求め合おうとする欲望は容易く消し去ることはできん。
それは己が血を、命を繋げていくために雄と雌が生まれながらに持つ業というべきものである」
(おおっ…なんかもっともらしいこと言ってるじゃない)
想像していた反応とは少し違っていたが、猪剛鬣はそのまま彼の言葉に耳を傾ける。
「だがしかし!精神が欲を払おうとも、肉体は精神とは関係なく反応を起こすものだ。
ならば、しかるべき方法で肉体の疼きを発散させるしかあるまい」
「そ…そのしかるべき方法とは!?」
「うむ、それは…
心ゆくまで まぐわい続けることだ!!!」

「え?え?あの、今、なんとおっしゃりましたか?」
思わず聞き返す猪剛鬣。
なんだか衝撃的な一言を聞いたような気がしたが、それが想像を超えすぎていたせいで脳みそが上手く処理できなかったようである。
「うむ、よくぞ悩みを打ち明けてくれたものだ、新弟子よ。
実は、わしもお主と同じような悩みを抱えていてな。お主の様な極上の女を見ていると…」
そこまで言うと三蔵はにやりと好色な笑みを浮かべ…
「こいつが、たまらなくなるのじゃああああっ!!」
ばさぁ!と法衣を脱ぎ捨てる三蔵。そして露になる股間の一物。
「ひゃあああああ~~~っっっ!!!???」
人間の男のアレを見たことは何度かある。だが目の前の男のそれは彼女の見知っているような代物ではなかった。
(ちょ…!おおきいっ…!これなに!?ほんとにちん…!?)
猪剛鬣の挑発的なポーズが三蔵の雄の本能を当然の如く活性化させ、一気に股間に活力を与えてしまったのだ。
「さあさあ!お互い身をもてあましている者同士!
じっくりたっぷり慰めあおうではないか!さあ!さあさあ!」
わきわきと両手の指を動かしながら、じわじわと猪剛鬣との間を詰めていく。
「あ、あの!ちょっと、ちがう!さっきのはその、法師様を試そうとしただけで…!」
(え?なに?なんで?この人、坊さんだよね?)
あまりの展開に慌てふためく猪剛鬣。動揺しすぎて妖術を使って逃げることすら思いつかないらしい。
そんな彼女の衣服に外道坊主の手がかかり―
ばりばりぃ!
「きゃああああっ!!??」
衣を引き裂く派手な音がして、猪剛鬣の衣装が引ん剥かれた。
大きな胸がぼろんと飛び出し、真っ白なお尻が露になった。
「いやああああ~っ!!なにやってんのよ~っ!!」
あわててその爆乳を隠そうとする猪剛鬣だったが、両手だけで容易く隠しきれるような代物ではない。
「ふはは!ではやはりその乳から楽しませてもらおうか!」
「ううっ…!」
四つんばいの体勢で逃げようとする猪剛鬣。
しかし三蔵はそんな彼女に覆いかぶさるようにして動きを封じ、背中から抱きすくめる。

「あわわわっ!?ちょ、ちょっと法師さまぁ!?」
両手で乳房を鷲づかみにし、むにゅむにゅと乳肉を揉み始めた。
「うむうむ、なんとも見事な乳だのう。しっとりして指に吸い付いてきおる」
もみもみもみ…たっぷんっ。
「あ、あああっ…あたしの、むねぇっ…」
聖職者であるはずの高僧が自分の胸を揉みしだいている。
大きく無骨な指の間からもはみ出すほどの爆乳がたぷんたぷんと波打ち、踊る。
柔らかく重量感のある乳房の感触に三蔵も鼻息をバフバフと荒げるほどに興奮していた。
「ふはは、これは凄いな!わしの手からもこんなに溢れ出しておるわ!」
「い…いたいっ…ちょっと強く…握りすぎ…!」
たわわな乳房がむにゅむにゅと揉まれる度に、様々に形を変える。
乳房への愛撫を続けながら三蔵は猪剛鬣の臀部に巨根を擦りつけた。
(あああ…なによこの大きさ…旦那のアレとは全然違う…!)
圧倒的な存在感を放つ男根が盛んにお尻にこすり付けられるのを感じながら
猪剛鬣はなす術もなく、爆乳をもてあそばれ続けた。
「んんんっ…やああ、お、おっぱいで遊ばないでぇっ…!」
ぐにぐにと強く乳を握られる痛みに、顔をしかめる猪剛鬣。
「いやあ、これほど美しくしかも馬鹿デカい乳は初めてお目にかかるのでな!」
「あううっ、い、痛い…てばぁ…はぁ、ああっ…」
「おうおう、先が尖っておるぞ。こんなにピンピンおっ立ておって…」
尖った乳首を強めにつまみ、ひねる。
「きゃあっ!…っいたい…つねらないで…おねがいっ…」
「いやあ、見れば見るほど綺麗な乳だのう。肌は白いわ、大きいわ、弾力はあるわ…
こんな立派なものを、お主の旦那は毎晩好き放題にしておるのか。うらやましいのう」
「え…お、夫は…」
結婚してから当然夫とは何度か肌を重ねたが、この大きな乳房ををもてあましたのか、
ほとんど手をつけられていなかったのだ。こんな乱暴な扱われ方をされるのは初めてである。
「お、夫は…あ、あまり胸は…はぁん、苦手だったというか、その…」
「なんじゃ、さわってこなかったのか…もったいない、これほどの乳を放っておくとは」
「ああっ…」
「乱暴に揉まれたくてしょうがなかったというわけだな。よしよし、これからはわしがめいっぱい揉んでやろう!」
「そ、そんな…ああ~っ!」
強く乱暴な愛撫が続けられるうちに、彼女の声に艶っぽい響きが混じり始めた。
「どうじゃ、強く揉まれるのは気持ち良いか?」
「そ、それは…」
「正直に言うがよい。気持ち良いのか?」
「は、はい…」
乳首をつままれたり、ひねられたり、引っ張られたりする度に、切ない痛みとともに甘い痺れを感じる。
(こんな…太い指が…あたしのおっぱい、いじめてる…)
力強く、たくましい指先で乳房を支配される。それは彼女がこれまで感じたことのない感覚だった。

「さあて、今度は味見させてもらうか」
ちゅばっ!
「んあっ!」
乳房の先端に吸い付くと、じゅるじゅると音を立てて吸引を始める。
「さ、さんぞう…さまっ…」
口の中に乳輪の部分を含んで舌で舐りまわす。
(さっきから、おっぱいばっかり…でも…!)
乳房の中で、どんどん疼きが大きくなる。
「ああっ…だめぇ…そんなにお乳吸われたらっ…あたし、もう…」
れろれろと乳首を舌先で転がされながら、そこから生まれる甘い感覚が次第に全身を支配していく。
股間が熱く痺れ、女の部分からはトロトロと快楽の証たる液体が湧き出してきた。
「だめぇ、おっぱいっ…気持ちいいっ…揉まれて…すわれてぇ…気持ちいい…!」
むぎゅむぎゅ…こりこり…れろれろ…
揉まれ、つままれ、舐られて。激しい爆乳愛撫によって猪剛鬣はどんどん高められていく。
「ほほう、乳で気をやるか…よかろう、このままイクがよい!」
「あ、あ、あ…!い、いやぁぁああ…んっっ!!」
ぴく、ぴくんっ!
「っっ~…っ!んはぁあああっ…」
ゾクゾクとする快感が全身を駆け抜け、猪剛鬣は達した。
(う…そ…おっぱい…いじめられて…イクなんて…)
呆然として脱力する猪剛鬣の内腿は愛液が濡れて光っており、ほのかに淫らな香りを立ち上らせていた。
「おお、こんなに濡らしおって。乳が余程良かったようだな」
太い指をずぶりと彼女の花弁に沈めると、汁を攪拌するかのようにゆっくりとかき回した。
「あ…あああ…ん」
背後から股間をくちゅくちゅとまさぐられながら身体をくねらせる。
「ほれ、まんこが指にくらいついてきおるぞ。乳を嬲られるだけでこれとは…まさに雌豚、か」
(めす、ぶた…)
ずぐん、と彼女の中で何かが揺さぶられた。
なんという屈辱的な響きか。水軍の元帥であった自分が、豚などという下等な動物と融合して妖怪化してしまったことは彼女の人生にとって最大の汚点である。
だが、しかし。今の自分にとってこれほどふさわしい呼び名があるだろうか。
爆乳をいいように弄ばれ、這いつくばり、女性器に指を突っ込まれて情けない鳴き声を上げているのだ。
(めすぶた…あたし、めすぶたなの…?)
どくんどくんと、心臓が早鐘のように鳴り響く。
「ほれ、もっと鳴いてみるが良い」
ぐちゅぐちゅぐちゅ…
「あ、ひあああっ!くああああっ!!」
鳴き声があがる。
「ああ…、い、いじってください…もっとぉっ…ひゃああっ!」
餌をねだる豚のように、鳴く。
鳴きながら、腰をくねらせると尻の肉がぷりんぷりんと揺れた。

「ふむう、乳もでかいが尻もすごいものだな?」
すこし思案すると、三蔵は手を振りかぶった。
ぺしぃいん!
「はぁうっ!」
尻をはたかれ、悲鳴を上げる猪剛鬣。
「…やはりな」
ぺしん!ぺしいいん!ぱちいいいんっ!
「あ、ひぃんああっ!ああっ、た、たたかないでぇっ!きゃああん!」
大きな真っ白いお尻に赤い手形が張り付いてしまっている。
「尻をはたかれるのがそんなに気に入ったか?」
「あっ、いや、違う…い、痛いだけですっ…」
涙ぐみながら、三蔵の問いを否定する。
「そうかな?何やら先ほどよりも蜜が溢れてきておるようだが…」
「違いますぅ…ううぅ、ヒリヒリするぅうう…」
ぱあぁああん!
「ひゃああああんんっ!そ、それいじょう、強くたたかれたらぁ、あたしぃ…!」
ばっちぃいいいいいーーーーーん!
「~~っ!!!あ、あ、あああ~~~っっ!!!」
ぷしゅううううううっっっ!!
猪剛鬣の股間から透明な液体が噴水のようにほとばしる。
「ああ…あたし…こんな…こんなことでぇ…」
(おしり…はたかれて…イッちゃった…)
「ははは!尻をはたかれて潮吹きとはな!まったくもって大した雌豚だな!」
(ああ…まためすぶたって…言われた)
その言葉が彼女の何かを刺激する。
メスブタ、メスブタ…その言葉を頭の中で反芻する度に、被虐的な感覚が快感となって全身を駆け巡る。
「よし、今度は尻を高く持ち上げてみよ」
「え…ま、まだ…おしり、いじめるんですか…」
「尻もいじめられ足りないようだからな!」
四つんばいの姿勢のまま、お尻を高く持ち上げる。
連続スパンキングによって真赤に腫れてしまったお尻の中心で、菊門がひくひくと蠢いていた。
「こちらの穴の具合はどうかな?」
ぬぶっ…
言うなり、三蔵が太い中指を尻の穴に沈めていく。
「あ…あああ…そんなとこにぃ…!」
「ははは、節操の無い豚尻だな。どんどん飲み込んでいくぞ」
菊門に突っ込んだ中指をさらにぐい、とねじ込む。指を曲げ、内壁をくにくにとマッサージするかのように動かす。
「んおあっ…!おしりがぁっ…!ゆび、があっ…」
続けて、人差し指も不浄の穴へと沈めていく。さらに続けて、薬指も…
たちまち猪剛鬣の菊門は3本の指を受け入れてしまっていた。
「おおお、入る入る!ははは、3本もくわえ込んでおるぞ!食いしん坊な尻穴じゃのう!」
「うくうああっ!…やだっ…こんなぁ…お、おしりのあなぁ、広げられてるぅ…」
恥ずかしい穴を拡げられ、恥辱と苦悶の入り混じった複雑な表情が浮かべる猪剛鬣。
「これくらいでへこたれていてはいかんなぁ。これからもっと広がるというのに」

「…!!!まさかっ…!!!」
「そう、こいつに尻穴を味わわせてもらおう!」
猪剛鬣は目を見開いた。三蔵の並外れた巨根が、自分の尻穴にその照準を合わせているのだ。
(ダメ、ダメよ!コレだけはダメ!お尻になんていれたらどうにかなっちゃう…)
「さあ、自分で尻穴を拡げるのだ」
「あ、ああああ…」
いやいやをするように猪剛鬣は首を左右に振る。
(ダメ…これ以上好き放題にされたら…あたし本当に戻れなくなる…)
「拡げろ」
躊躇する猪剛鬣に、三蔵の厳しく迫力の篭った命令が下る。
「は、はぃっ…」
(ああ…さからえないよ…)
ぐぐっと、自分の尻たぶを左右に拡げると、彼女自身の不浄の穴が露になった。
「ひっ…ひろげ、ました…」
ひくひくと震える菊門にぐっと、魔羅の先端を押し当てられる。
ずぶうっ…
「あっ…!」
すぐぐぐぐ…!
「あああ…あ、あながひろがって…ふ…ふとい…ひぃぃっ…」
ずぶぶぶぶぶ…!
「あああおおおおっ…!!だめぇっ…!むりっ…くるしっ…!あはぁあああっ!!」
ずぼおおおおおおっ!!
「んんああああはああああぁ~~っ!!」
三蔵の巨根が尻穴にねじ込まれた衝撃に、たまらず猪剛鬣は絶叫した。
「おおおお、おひりぃいい~~っ!!おひりのあなにきてるぅううう~っ!!」
奥まで貫かれた不浄の穴はこれ以上ないほど拡がりきっている。
「ううああああっ、尻穴ぁ、ひ、ひろがっちゃうううう、ゆるゆるになっちゃううう~!」
悲鳴を上げる猪剛鬣だったが、三蔵はそんな彼女の尻穴に容赦のない抽挿を開始する。
グボッ!グボォ!
「むおおう、これが豚妖の尻穴か!よく締まるのう!」
「おおおあああ、めくれるぅ、うらがえっちゃうううう!むちゃしないれぇぇええええっ!」
ぱしいいいんっ!ばちぃいいんんっ!
「ひいいいああああああ~~っ!!」
またお尻を引っぱたかれ、苦痛と歓喜が織り交ざった悲鳴が飛び出した。
「んんなああ、なんでぇえええ、おしりぃ、すごくおしりいいのおぉおおお!
ぶっといおちんぽ様ハメられてぇ、おしりぱんぱんたたかれるのがいいのおぉおおお!!」
あられもない絶叫を発しながら、猪剛鬣は悶える。
尻穴をズンズンと突かれるたびに爆乳がブルンブルンと暴れまわる。
「ははは、尻も乳もまったくもって節操の無いことだ!たまらんなこれは!」
「お、おししょおさまぁっ、もっとぉ、もっとこのメス豚めのケツあなぁ、ズボズボしてくださぁあい!
あたしのぉ卑しいケツ穴ぁ、こわしちゃってぇええええ!」

尻穴を犯されることで生まれる快楽を完全に受け入れ、さらに三蔵の巨根を求める猪剛鬣。
「ああああっ、だ、だしてぇええええっ!!メス豚のケツ穴にいいいいいっ!!
ネバネバのお汁いっぱい出してくださいませええええええええっっっ!!!」
「よぉし、良かろう!その浅ましい尻穴にたっぷりと飲ませてくれようぞ!」
「あああっ、ふるえてるう!お尻の中でぇ、おちんぽふるえて…ああっ…くる…!あああああっ!!」
どびゅうううっ!!どびゅびゅううっ!!びゅるびゅるびゅるっ!!
「あああひゃあああああああ~~~~っっっっ!!!」
一際大きな絶叫が放たれ、猪剛鬣の身体を激しい電撃にも似た衝撃が駆け巡った。
直腸内で魔羅が爆発したかと思うと、激しい欲望の奔流が彼女の奥へと轟々と流れ込んでいく。
腸内を大量の男汁で支配され、彼女の脳は強烈な快楽の光に包み込まれた。
「おおおああぁぁぁぁあああああ~っ!ひゅごっ、ひゅごぉおいいい~!
しぇいえき、おししょうさまのしぇいえきぃ、はらわたまで流れ込んでくるうううう~!!」
猪剛鬣が、理性が消し飛んだかのようなアへ顔であられもない声をあげる。
やがて長い長い射精がおさまり、じゅっぽん、と音を立てて尻穴から魔羅が引き抜かれた。
「…っはぁっ、はぁっ…あはぁあああ…」
白目をむきかけたまま激しい絶頂の余韻に全身を支配され、脱力して横たわる猪剛鬣。
拡がりきったままの尻穴からは放出されたばかりの大量の精液がドロドロと溢れ出していた。

衝撃的な尻穴姦の後―
猪剛鬣はたっぷりとお肉の詰まった爆乳で三蔵の巨根を奉仕していた。
「んんっ…これからはぁ、あたしの身体をいつでもどこでもぉ…お、お好きなように使ってくださいませぇ…
おくちも…お乳も…おしりもおまんこも…ぜんぶお師匠さまの思うがままですぅ…」
乳奉仕を受けながら、三蔵がうむ、と満足げに頷いた。
「ぬおうっ…うむ、実に、いい心がけだ。…ではお主に新たな名を授けよう…『猪八戒』だ」
「んんっ…はぁい…卑しいメス豚の猪八戒を…末永く可愛がってくださいませぇ…」
猪八戒は嬉しそうに言うとより一層の愛情を込めてパイズリを続行する。
「んああ…素敵なおちんぽ…おっぱいの間でコチコチになってるぅ…」
八戒の表情は劣情に緩みきっており、深い胸の谷間から飛び出した魔羅を愛しげに見つめている。
「はぁ、はぁ…おししょうさまぁ、どうですかぁ…お肉たっぷりのお乳…気持ちいいですか…」
媚びるように、潤みきった瞳で八戒が三蔵を見つめる。
「ふはは、おう、気持ちいいとも!まるで乳が魔羅に吸い付いてくるようだぞ!」
「ああん、うれしいっ…よかったぁ…んっ…豚と、合体できて…こんな立派なお乳になれて…ふああっ」
褒められて感激した八戒はより一層、乳を抱える手に力を込める。
「もっと、もっと…きもちよく、なってください…お乳の感触、お楽しみくださいっ…んんっ…」
左右から両乳房を押しつぶすようにして魔羅を圧迫すると、吸着感がより一層増した。

「むう、いいぞ八戒よ…そろそろ、出させてもらおうか…」
「は、はい…いつでもかまいませんから…たっぷりとお出ししてくださいませぇ…」
魔羅をしごく速度を高めながら、三蔵の一物を射精に導こうとする八戒。
ついにその時が訪れ、一物がビクン、と震えた。
どっぴゅううううっ!どびゅるるるるるっ!!!
「むおおおおおおっ!!」
三蔵の咆哮し、それと同時に魔羅の先端より大量の白濁液が噴水のように飛び出した。
「あああ、す、すごい、さっき出したばっかりなのに…こんなぁ…!」
ネバネバの熱いゲル状の液体が顔に、胸に降りかかるのを感じながら歓喜の声を上げる八戒。
「ああ…やっぱり…お師匠さま…素敵…じゅるぅっ…」
うっとりとした表情を浮かべながら、魔羅の先端に吸い付き、中に残った精液を吸引する。
「んん…じゅるる…まだ、いっぱい、でてくる…じゅぱっ」
口内に溜まったねちゃねちゃの精液を味わいながら…八戒はこの上ない幸福感に酔いしれていた。

(ああ…やっと見つけた…あたしの旦那さまぁああ…)

やがて、全ての精液を吸い取った後も…
甘えるような、八戒のおしゃぶりはしばらく続いたのであった。

一方、その頃。
悟空はといえば…

「うきうっき~♪ばな~な、ばな~な~♪おぃしいよ~♪」
口いっぱいにばなーなを頬張りつつ、ほくほく笑顔でアホっぽい歌を歌っていたりする。
こっちはこっちで、幸せいっぱいであった。

結局…猪剛鬣改め猪八戒は村長の息子とはきっぱりと離縁し、
三蔵法師の第2の弟子として、天竺への旅に同行することと相成った。
「天界に戻りたいとはいえ…よくもまあこんなクサれ坊主と一緒にいたいなんて思えるもんだね」
道中、呆れたように猪八戒に声をかける孫悟空。
「ふふん、なんとでもいいなさいサル娘。あたしはお師匠様のためならなんだってできるし、どこへだって行けるの。
だってお師匠様は…あたしの心の旦那様なんだからっ」
言いながら、ポッと顔を赤らめる八戒。
「惚れ込んじゃったっていうなら…まあ、いいけどね…」
呆れ口調は続いていたが、内心では悟空はこの展開を喜んでいた。
(これからは夜の相手は全て八戒に任せられそうだしね)
毎晩三蔵の巨根の相手を勤めなければならなかった悟空にとって、八戒が代わりをしてくれることは大歓迎なのである。
…しかし…
「ふはは、今晩からは二人分楽しめることになるな!うむ、楽しみだ!じつに楽しみだな!」
豪快な三蔵の笑いが悟空の希望をあっさりと打ち壊した。
「…えええええ~…」
「はいっ!めいっぱいご奉仕させて頂きますっ!…そのかわり、いっぱい可愛がってくださいねっ、お師匠さまぁ」
ゲンナリする悟空とは裏腹に、喜色満面の笑みを浮かべる八戒。

悲喜こもごも、様々な感情が渦巻きつつ、一行は天竺への道を歩んでいくのでした。

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