アイシールド21でお邪魔します その2
人一人を抱きかかえ、長距離を歩いて帰路に着いた。
すでに時計の針は4時を指している。
普通の体力の人間ではありえない事をやってのけ、さすがの進でも疲労を感じる。
それでも情痕だらけのセナをどうにかしなくてはと湯を張り浴槽に入れた。
だらりと力が完全に抜けてしまっているその肢体は、眠っているというより
昏睡状態に陥っている人間のようでピクリとも動かない。
華奢でスラりと伸びた手足は、やはりアメフトなどやれる体ではない。
後ろから抱きかかえるような形で、狭い浴槽に自分も一緒に体を収め肩まで浸かる。
手を前に伸ばし、掃除という名目で全くほぐれていない膣口に指を這わせ
湯の力を借りゆっくりと中指を挿入する。
「んっ、・・ん、」
注ぎ込まれた精液を掻き出せば、意識が無いのに苦しげな表情を浮かべ
身体はピクピクと反応を返し微かな喘ぎ声を漏らす。
その様を酷く愛おしく感じ、中心が急激に熱を帯びていく。
この狭い割れ目にそれを無理やり捻じ込んで、激しく突いてしまいたい衝動に駆られるが
グッと耐え作業を続ける。
風呂を出て着せる服が無い事に気づく。
更に言うと生理中の女の体はどうすれば良かったのかと考える。
セナの制服はあるが、着せて寝かすわけにもいかず自分の服を持ってきて
ナプキンはカバンから拝借し分かる範囲で身につけていく。
未だ深い眠りについているセナをベッドに寝かせ、一息ついたところで急激な睡魔に襲われた。
リビングにあるソファへ倒れこむように体を沈め
目覚ましを1時間後にセットし眠りについた。
ゆっくりと目を開ければ見たことの無い天井が飛び込んで
セナの意識が徐々に覚醒していく。
・・・・・・・・・・
ガバッ!!
体がギシギシと悲鳴をあげているが、そんな事に構っていられず玄関へと走り出す。
早朝の冷たい空気を全身に受け、何かに駆り立てられるように走り続けた。
サラシもブラジャーもつけてない胸が上下に揺れるたび、サイズの合っていない服に擦れて気持ちが悪い。
その感覚に邪魔をされ、息が乱れ呼吸が上がる。
足がもつれて地面へと衝突しそうになるが、咄嗟に手が出て膝をつくだけで済んだ。
「・・・ナ!」
むくりと立ちあがりまたすぐに走りだそうとしたが
「・・・セナ!!」
「おい、大丈夫か セナッ!!」
誰かに肩を強く掴まれ強制的に足が止まる。
「ずっと後ろから呼んでたのに気が付かなかったのか?」
「は、はっ・・は・・・」
彼女はタンクトップとその上からシャツを羽織り、ズボンを着ていた。
しかしそれは着るというより、布を身に纏っているという表現の方が正しかった。
タンクトップの上から透けて見える勃ち上がった美しい胸の突起
それに気付いた少年は愕然とする。
「・・・お前」
「わたし・・・何を・・・」
錯乱状態にあるらしく上手く記憶を辿れないでいる。
この様子は只事では無い。
「・・・セナ」
「大丈夫だ。落ち着いて、何でもないから。」
細い体を抱きしめ、優しく頭を撫でる
「・・・リク、」
「うん。何があった?」
「わからない。・・・・分からないよ。私は何をしてたの?」
「思い出せないのか?」
「・・・帰ろう、セナ。」
「何処に?」
「お前の家に決まってんだろ。」
「・・・そう、だよね。家に帰らなきゃ」
居場所を忘れてしまった子供の様なセナ
その手をしっかりと掴み、昔の様に二人で並んで歩き出す。
「あぁ、行こう。」
「リク、・・・私何で走ってたの?」
「俺に聞かれてもな。まぁ、でも気にすんな。忘れるくらい大したことじゃないんだよ。」
自分の心から逃げてきたんだろう。
他人を拒絶しない優しいお前だから。
整った顔立ち、健気でそれでいてしっかりと芯がある性格、控えめに浮かべる笑顔。
セナは男子生徒が見れば魅了されるような女子だった。
まるで大輪の蕾の様なのだが、性質が悪くその自覚が一切無い。
それに加え自分の事は二の次にし他者を優先する彼女は皆に愛された。
しかし誰の事も平等に扱うその優しさが癪に触る奴もいた。
何故自分を一番に見てくれないのかと
小学校の頃よく男子に苛められていたが、あれはセナが好きで行為がエスカレートしていった結果だった。
スカートを捲られ抱きつかれ、胸を触られ卑猥な言葉をかけられて
そんな事が頻繁にあったため、セナは女である事を極端に嫌がるようになり、スカートを穿かなくなった。
自分の意思に反して大きくなってく胸
それを気にしてぎゅうぎゅう一生懸命押さえつけてた事も陸は覚えてる。
パンッ!
ある日一人の男子が、廊下を歩いていただけのセナの頬を思い切り叩いた。
「!」
避けることも出来ず壁に頭を打ちつけ検査の為病院に運ばれた。
「大丈夫か!?セナ」
「うん平気だよ。リク、来てくれてありがとう。」
頭に白い包帯が巻かれているその姿はとても痛々しい。
「あの子泣いてた・・・。」
「放っておけ、あんな奴。」
「私バカだからあの子に何をしたのか分からない・・・。いつも誰かを傷つけてばかり。」
「違う、そうじゃない・・・。」
お前が一番傷つけられてる事に気づいてくれ。
あんな奴どうだっていいんだから。
俺が後で倍にして返しておく
だから、どうか笑って
かつて起きたあの事件
今のセナと重なって酷くデジャヴを感じた。
セナの家に着いたはいいが
日曜の朝早くということもあって、家には鍵がかかっていた。
チャイムを鳴らして入れば、こんな格好をした大事な娘が両親の目にも入ってしまう。
「あー。迂闊だった・・・。まだ寝てるよな」
「リク、ありがとう。部活があるから、ちょっと早いけど学校行くね。」
多少落ち着きを取り戻したセナが尋常で無い事を言い出した。
「はぁ!?お前何言ってんだよ? 歩き方だっておかしいんだぞ!?」
「うん、心配しないで。もう大丈夫だから」
小さく笑いながらセナはそう言うが大丈夫な訳が無い。
しかし一度言い出したら聞かない性格なのは昔からで、説得は無駄な事くらい陸は知っている。
「はぁ。」
「じゃあ、リクまたね。」
「・・・って、おい馬鹿!!お前その格好で・・・、俺も行くよ。」
「リクだって部活でしょ?。」
「いいんだよ半日くらい休んだって、少し練習しなくたって俺は充分強いの。」
「・・・そっか、リクはやっぱり凄いね。」
セナは昔から少し天然ぼけな所がある。
「冗談だよ!冗談。本気にするなよ!?」
「でも、ムサシさんが言ってた。謙遜なら誰でも出来るけど
自分の事、胸を張って口に出す事は難しいって、負けたとき良い訳が出来ないから。私だったら冗談でも口に出せない。」
「それにこうやって一人で早朝からトレーニングしてる。いつも、陰で頑張ってるの知ってるよ。」
「・・・・。」
「そういうところ、昔から変わらないね。」
言いながら何かを思い出したらしく、クスりと笑みを漏らす。
「・・・・いつまでも子供扱いするなよ。」
「して、ないよ? 同じ歳なんだから。」
なりふり構わず叫んでしまいたい、「好きだ」と
この気持ちははっきりと言わなければ疎いセナには伝わらない。
そんな事は分かっているが、言ったところで彼女を困らせるだけと賢い少年は理解している。
「・・・そういや、お前の服。後でおばさんに適当に言って借りてくるからな。」
「あ、そっか。これ・・・」
誰の
記憶を辿ろうと無意識にセナの目が泳ぐ
「いいから!考えるな!!」
「リク?」
「もう、忘れろ・・・。もし思い出しても自分で解決しようとするな、いいな?必ず俺に話せ。
それがどんな内容でもお前を嫌ったり蔑んだりしないから」
「・・・うん。分かった。」
あまりに真剣な眼に圧倒されセナは相槌を打つ。
「よし。・・・もう学校に着くな」
「あ、そうだね。ここから一人で行けるから。リク、今日は本当にありがとう。
あと、・・・ごめんね。いつも迷惑かけてばかりで」
「友達にそんな悲しいこと言うなよ。いいからほら、気をつけて行ってこい。」
「前にもそういってくれた。」
「・・・あれ、覚えてたのか、」
「うん、もちろん。 私ね、リクが側にいてくれて凄く幸せだよ。」
「あぁ、俺もだよ。」
大事に握っていたセナの手がするりと離れ、掌が冷たくなっていく。
「行ってらっしゃい。」
静まり返った狭い部室。
扉を閉めれば外とは別世界
遮断されたここはいつも通り見慣れた部室なのだが特別な空間に感じた。
陸にはきつく言われたが
一人になってしまった今、考えるなという方が難しい。
「・・・・」
この服は私のじゃない。
きっと目が覚めた時、私が居たあの部屋の人の物。
あそこで寝てた理由は・・・。
昨日のあれは、夢じゃない
体のあちこちの痛みがそういってる
夢じゃないんだ。
理由はどうあれ、彼女の身体は犯された。
そしてアメフトをしていた理由は酷く女々しい理由だった。
残酷にも昨日起きた出来事は次々とセナを責め始める。
全てを思い出し堪えきれず声を上げて泣いた。
どれくらい泣いた頃だろうか、扉が勢いよく開き無遠慮に声をかけられた。
「よう、糞チビ。朝から絶不調だな」
「蛭・・・魔さん。」
「悪りぃな、ラフメーカじゃなくて。」
「蛭魔さん聞いてください!」
「あ?」
「私、自分の事だけ考えて皆を利用しました。」
「んなこたぁ、知ってる。それがどうした?結果ここまで勝ち上がってきてんだからそれでいいんだよ。」
「皆でクリスマスボウルに行きたいなんて、あれ嘘なんです!!」
「嘘じゃねぇだろ。一番目の理由が進で二番目の理由がクリスマスボウル、ただそれだけだ。」
「そんな・・・」
(そんな事、許されるんですか?・・・)
「馬鹿のクセに考えすぎなんだよ。お前」
口は悪いが、蛭魔が優しい人間である事をセナは知っている。
(その言葉に甘えてもいいんだろうか・・・。)
「・・・・・。」
「問題はそっちじゃねぇ。誰に脅されてそうなった?」
「何の・・・ことですか。」
「ばっくれてんじゃねぇよ。大体検討はついてる。」
「どこまでされたかそんな事聞かねぇが、黙ってられる程お人良しじゃ無いんでな。
お礼参りに行ってやるからどいつにされたのか言え。」
「それは言えません!!」
「これは、私の問題です。自分で何とかしますので、時間をもらえませんか?」
「庇うのか?」
「・・・。」
殺気すら含んだ眼でセナを見るが、彼女の意志は揺らがない。
まっすぐと蛭魔を見つめ返してくる。
「・・・だからお前は馬鹿なんだよ!」
長い沈黙の後、吐き捨てる様にそう言い残し蛭魔は部室から出て行った。
あれから陸はセナの後ろから気づかれないように後をつけた。
そして今校門の前に立っている。
彼女が取り乱しまた何処かへ行ってしまうのではないかと心配した為だった。
王城の制服を着た男が陸に近づいてきた。
校内へ用事らしい
(進さんだよな?それに手に持ってるあの制服)
察しの良い陸はそれがセナの制服である可能性が高い事を知る。
近くに駆け寄り不躾に話かけた。
「おい。他校のあんたが休みの日にわざわざ泥門に何の用だよ?」
「・・・答える必要があるのか?それに他校のお前がここにいるのは俺と変わらんと思うが?」
近くで見れば見覚えのあるストラップがついた鞄が目に入る。
やはり荷物は彼女の物で間違いない。
「・・・今朝、セナを見かけた。男物の服を着てたがあれはあんたの物か?」
「あぁ、そうだ。」
「クソ!なんであんな状態で外に出した!!それにセナをあそこまで追い詰めたのはあんたか!?」
「外に出て行ったのは俺の責任で不測の事態だった。追い詰めたのも・・・たぶん俺だな。」
進が目覚めた時にはベットはもぬけの殻
そこにあるはずの温もりは無くシーツは冷たく冷え切って、玄関のドアは少し開きセナの靴が無かった。
身一つで出て行ったらしく、連絡の取りようが無く安否も確認出来なかった。
顔色も変えず受け答えた進だが、内心ほっと安堵していた。
それはとても人間として当たり前の感情なのだが、セナに会うまでは他人にそんな事を思った事も無かった。
「あぁっ!?ふざけるなよ!
セナはお前の事がどれだけ好きか分かってんのかよ!?だから俺は!!!・・・俺は!」
「俺の事が好きだと?それは何かの間違いだろ。」
(こいつは何を言ってるのだろうか・・・。愛されるわけがないだろう。
なんせ強引に自分の気持ちを押し付けたただの強姦魔なのだから。)
「ともかくその荷物あいつに手渡しはするな。俺が適当な場所に置いておくから、顔を見せず帰ってくれ。」
「そうだな。彼女の安否が確認出来ただけでよしとしよう。甲斐谷、今朝の事は礼を言う。」
「だがセナを譲る気は無い。」
「・・・勘違いするなよ。俺はあいつの友達だ。」
「俺は彼女に愛されないと分かっているが、どんな事があろうと諦める気は無い。」
進は抑揚の無い声で淡々と言った。
しかし内容はとても人間臭いものだった。
部室から蛭魔が出て行って暫く経った後
控えめにノックの音が響き扉が開いた。
「おはよう。」
「ムサシさん。おはようございます」
「・・・蛭間からの伝言だ。」
「へ?」
「・・・お前は女だ。アメフトを続けろなんてもう言わねぇよ。解放してやるから好きにしろ。こっちは適当にどうにかする。
それと、今回の事態を最悪の可能性として考えていた。女一人に重荷を背負わせて すまなかったな。
だ、そうだ。あの野郎自分で伝えりゃいいのにな。」
蛭魔からの伝言は、部の事は考えなくても良いから脅しに屈するな。という意味のものだった。
なんてこと・・・
(勝つ事を誰よりも考えているあなたから、そんな言葉を言わせてしまった。)
「・・・・蛭間さ、ん。ごめんなさい、!ごめんなさい・・・」
セナがクリスマスボウルに行きたいという意志は蛭魔が言ったように真実だ。
しかし筧に弱みを握られている今、彼女は部の足かせになっているのも事実。
「セナ、お前やっぱり女だったんだな。俺だけじゃなく十文字とかも薄々感づいてるはずだ。」
「気づいてたんですね。」
「まぁな。・・・なぁ、俺の意見として聞いてくれ。」
「・・・・」
「アメフトなんてお前が続けられるスポーツじゃない。だからここいらで辞めた方が良いと思う。」
「・・・ムサシさん、」
「後はお前が決めろ。どっちを選んでも皆お前の味方だ。」
「ほら立て。」
鍛えられた太い腕につかまれ、抵抗も空しく外へ放り出された。
屈強な男の前でセナはあまりに無力。
昨日の出来事を含め自分は女なのだという事実が叩きつけられ出そうになる涙をぎゅっと堪える。
「決めるまで部活に顔出なくて良いから冷静になって考えろ。」
彼女は決断を迫られた。
「・・・はい、」
続けるのか それとも辞めるのか
『「続ける」を選んでた場合』
あの事件から三日が経っていた。
「おーい!セナ」
陸はセナの様子を見に毎日放課後学校に立ち寄った。
「リク、・・・また部活を」
「だから!いいんだって、お前が気にする事じゃない」
セナを家まで送り届けてから部活に参加する毎日を繰り返していた。
その事を彼女はとても気にしている。
「それより、セナ最近顔色悪いぞ?」
「・・・そう、かな? 気のせいじゃないかな。」
はにかみながら彼女は言うが事情は蛭魔から聞いている。
部活を休んで、ろくに食わず休まずで答えを出そうと悩みぬいているらしい。
どうにかしてやりたいが、自分には見守る事しか出来ない。
「あ、そうそう リク聞いて。私またやちゃった・・・。」
「ん?」
「携帯が見つからないの。いつもはすぐ出てくるんだけど、今回は中々見つからなくって、
もしかしたら外に落としたのかも」
「・・・。」
あの日セナの荷物を部室の前に置いて帰ったのだが、鞄から携帯を抜き取ってしまった。
暫く彼女の手元に無い方がいいのではないかという思いから咄嗟にやってしまった事。
どんな理由にしろ許されるものでは無い。
それにメールの中身を見てしまえば彼女があんなになってしまった訳が分かるかもしれない。と
この三日間悩んだ挙句、それは良心が止めた。
結局何をするでもなく手元に置いたまま三日が過ぎてしまった。
(俺は何をやってるんだ・・・。早く謝って返さないと)
「リク?」
「あぁ。ごめん」
すでに保護欲を通り越してしまっている事にまだ彼は気づかない。
次の日学校から帰ってきて自室で休んでいると、1階にいる母親から声をかけられた。
「セナーー 友達が来てるわよ」
「あ、うん。今行きますーー!」
予想もしない来訪者の知らせに慌てて玄関に向かう
訪ねてきた人間を見て声が出なかった。
母親に耳打ちをされる。
「長身でかっこいい子ねぇ、体格もがっちりしてるし。セナと同級生なんでしょ?」
「・・・。」
「セナと約束してたんですが、お母さんちょっと行って来てもいいでしょうか?」
「何々!?セナの彼氏なの?」
「いや、違いますよ。 今日は三人で遊ぶ約束をしてて」
「なんだー、そうなの?残念 」
二人は好き勝手に盛り上がり、セナは会話についていけない。
「ほら、セナ行こう」
「あ、」
「行ってらっしゃいー」
母親に心配をかけさせてはいけないと思い、取りあえず外に出る。
「セナ久しぶり。中々連絡取れないから家に来ちまったよ。」
「・・・筧君、私言わなくちゃいけない事が」
口も利いてくれないだろうと思っていた彼女からの予想外な言葉に驚く。
「それなら調度良いや、うちの学校に行こう。もう一人も来るから。」
「・・・。」
この前の出来事がフラッシュバックし足が動かない。
筧にこの事を話せるチャンスだというのに、二人になると言葉すら出てこない。
「もう何もしないよ話したいことがあるだけ。それに俺と二人じゃないから安心して」
とても優しい笑みをセナに向ける。
(・・・疑っちゃ駄目だ。行ってみて話しをしよう。)
筧の後ろを無言で歩き始めた。
日が落ちかかった頃学校に着いた。
グラウンドにサッカー部が残っているだけで、殆どの学生は下校しているようだった。
部室の中にセナを招く。
(言わなくちゃ・・・)
「・・・筧君、 聞いて下さい。」
「ん、何?」
「私はアメフトを続けます。2年生達は皆今年で大会最後なんです。こんな形で終わらせられない。
この前の、・・・あんな事以外なら何でもします。だから」
進の為ではなく、チームの為を必死で考えた彼女の答えだった。
「セナは自分の事大切じゃないの?」
「あんな事以外なら、俺は望んでないよ」
「・・・。」
「今日もそのために来てもらったんだから」
「!!」
警鐘が鳴っている。
本能的に逃げようと走るが
すれ違いざまに腕を掴まれた。
「残念。」
筧はセナの耳元で楽しそうに呟いた。
筧の腕を振りほどこうにもびくともしない。
自分の非力さを呪った。
「逃げても無駄じゃない?追っかけてて犯すからさ。」
もうどうしていいか分からない。
「嫌・・・」
セナは静かにパニックに陥っていた。
「これ着てみて。凄く似合うと思うんだ。」
着ていたTシャツとズボンを勢いよく脱がされ、遠くへ放り投げられる。
「きゃぁ!、」
「久しぶりに見るけど、相変わらずエロい身体してるねセナ。」
「見ないで・・・ください」
顔を赤らめ体をよじり懸命に隠そうと努力する。
「恥ずかしいなら、ほらこっち着てみて」
渡されたのは可愛らしいブラウスと短いスカート
下着姿よりはマシなためそれを身に纏っていく。
「セナ可愛い・・、やっぱり凄い似合うよ。」
「・・・。」
あまりにも短いスカートの丈が気になり、裾を引っ張るしぐさを繰り返す。
「そういえばさ、生理終わったんだ。」
急に視界が奪われた。タオルで目隠しをされたためだ。
腕を再度掴まれ椅子に座るよう促される。
右足のふくらはぎと椅子の足をタオルできつく縛られた。
左足も同じ様にされる。
そして最後に両腕を縛られ完全に自由を失ってしまった。
「もう一人来るまで、ちょっと待ってようね。」
その待っている時間がセナには何時間にも感じた。
どうにか打開する方法を考えていると
扉ががらりと開き人の気配がした。
「!!」
それと同時に筧に両手で耳を硬く塞がれる。
暫くすると耳と両足が解放された。
確かに目の前に気配はするのだが、第三者は全く口を開かない。
その事がとても恐ろしい。
「誰、?」
「セナ。ちょっと口開けてごらん。」
「・・・」
「開けて。」
言われた通り恐る恐る口を開けば、温かいぬめりとした物質が口内を満たした。
「ん、、ん」
(・・・大きくて苦しい、それにニガイ。何、これ?)
「歯、立てるなよ?・・・それペニスだから」
「?!ん゛、―――っん、ん゛!!!」
「そんな驚くなよ。俺のおいしそうにしゃぶってくれたじゃないか。」
あの時のセナは子猫の様にちろちろと筧の雄を舐めていただけだったのだが
薬で正気を失っていた為その事を一切覚えていない。
咄嗟に首を振り、咥えてしまったペニスを吐き出し口を硬く閉じる。
「そんなに暴れないで、フェラしてくれないといつまでたっても終わらないよ?」
子供をたしなめる様な口調で言い、セナの鼻を軽く摘む。
これでは息が出来ない。
「ほら、口開けないと。」
「!!・・・・、、っふ、ん、ん゛!」
耐え切れず口を開けた瞬間ペニスを突き立てられた。
「さっきみたいに抵抗したら、セナの可愛いここに俺の突っ込むよ。」
女性器をするりと撫でられ、それが何を意味しているのか理解する。
以前味わったあれを思い出し恐怖で固まった。
「そうそ、良い子だね。そのまま咥えて」
「・・・っ、」
「どうしたらいいのか分からない?舐めたり吸ったり、舌で転がしたり。ともかくイかせればいいんだよ。」
信じられないものを聞かされたがそれしか方法は無いらしい。
ちゅぷ、
筧の言われた通り怯えながら舐めてみる
しかし戸惑いながらの拙い口淫では達するところまではいくはずがない。
「・・・っん!?」
急に肉塊で喉奥を突かれ、苦悶の声を上げる。
だがそれを無視して、男はペニスを抽送させる。
じゅっ、じゅぽっ、ちゅぽ
「っん、ん っむ ふ・・・ぅ、ん!」
唇と肉棒が擦れ、そこから湿った音が聞こえてくる。
部室には卑猥な水音と彼女の苦しげな吐息が響く
男は散々口内を犯しつくした後、限界まで張り詰めたペニスをセナの口から引き抜いた。
一瞬の呻き声と共に白濁液が飛び散り綺麗な少女の顔を汚す。
「、ん!!・・・は、はぁ」
解放された唇から懸命に空気を求め呼吸を繰り返す。
目からは生理的な涙がこぼれ、ごほごほと咽かえした。
顔に飛び散った精液を優しく拭われる。
「・・・セナ」
聞き覚えのある声で名前を呼ばれ
ふいに男に目隠しと腕の拘束を外された。
視界が自由になる。
押し黙ったままの彼からは感情を読み取ることが出来ない。
男の姿を見て頭が真っ白になった。
「リク、?」
(しらない、こんなリク・・・知らない。)
呆然とへたり込んでいるセナの腕を掴んで立ち上がらせると壁際に押さえつけ
荒々しくスカートを捲くり上げる。
薄桃色のショーツが剥き出しになった。
「リク!!リクッ!!!お願い、やめて!!!!!」
慌ててスカートを押さえようとするが、すでに片手はブラウスに手を掛けてボタンを外しにかかっている。
今度は胸元をガードしようとしたが、その手を払いのけ
陸は思い切り力を入れた。
ブチブチッという音と共にブラウスのボタンは弾け飛び
ブラジャーが露わになる。
「!!」
そのまま手を突っ込み胸を揉みしだく。
先端を指の腹でぐりぐりと押しつぶされた。
「きゃぁっ!、、だ、め 、・・リク、っ!や、ぁ、・・こんな、・やめ・・よぅ・・」
「・・・止めない、ごめんセナ」
乳首を軽く引っ掻かれ身体中に激しい甘い痺れが走る。
「っああぁ!・・ふ・あ、リク・・・リク 」
「ずっとこうやって抱きたかった。」
全力で抵抗しているのに、びくともしてくれない。
「セナ、ここ少し濡れてる。」
ショーツは股間に食い込んでおり、割れ目が浮き出していた。
しっとりと濡れているその上から指を擦りつけ責め立てる。
「は、っ、ぁ・・あ・・や・」
「俺の咥えて興奮した?・・・可愛い。」
「っ、ん、・・あ・・ちが・・ぅ、・」
下着を横にずらし直接秘所に触れる。
愛液で多少湿ったそこを同じ様に執拗に責め続ける。
乳首を貪る手も止めない。
手つきは乱暴だが、徐々に徐々にセナを追い立て快楽を引き出そうとする。
ちゅく、くちっ
「直接触るともっと気持ちいいだろ。」
擦れば擦るほど秘所からは、愛液がはしたなく滴り落ちる。
ぬめるそれを利用して割れ目をすり続ける。
「ほら、挿れてもいないのにこんなに濡らして。」
「・・・あ、、ぁあ・・だ・・め・、や、ぁ」
こんなに身体は喜んでいるというのに、まだ抵抗の意思をみせるその姿に陸は苛立ちを隠せない。
セナの小振りな尻にいきり立った肉棒を押し付ける。
ぐちゅ
「いやぁ・・・もう、それ・・いや・・ぁ!!」
ずくずくと突き上げられ、掻き混ぜられたあの時の様に
何も考えられなくなってしまう自分を想像すると、とても恐ろしい。
泣き叫ぶセナの尻を抱き寄せ、ずぶずぶと肉棒を中にめり込ませていく。
濡れてはいるがほぐしてもいないそこは、進入してくるたびに痛みを感じる。
「・・・ひ、ああぁあっ!!!!い、いや、いやぁあ!!リクっ だ、めぇ!」
びくんと体を震わせ、悲鳴を上げた。
ずちゅ、ずっ、ぷっ…。
やがて子宮口にまで欲棒が達したことを告げた。
「セナ、ほら、凄・・・きついけど全部入った」
「あっ・あっ・・・あっ、」
うっすらと涙を浮かべ、小さく息を漏らすセナ。
「っ、中狭くてぎゅうぎゅう締めつめてくる。」
つぶやくとゆっくりと腰を動かし始めた。
「!!っぅ、く・・・い、いたい・・ぁ、う、・・い・・たい、よ・ぅ」
「・・・ごめん、痛いか?」
接合したまま大きめの机へと倒れこむ
痛みを訴えるセナを仰向けで寝かせ、いっぱいに足を開かせ正上位で挿入を再開する。
・・・じゅっ、ずっちゅっ、ずちょっ、ぐっちょっ
「ん、ぃあ、ぁあ・・・ひ、ぁ、!あ・・あぅ・・やっ・リ、ク・・」
痛みは薄れていき、徐々に悲鳴から艶やかな喘ぎ声へと変わっていく。
ピストン運動に合わせて、セナの唇から嬌声が零れる。
「好きだよ。セナ、ずっと言いたかった・・・。」
その言葉が届いたようで彼女は懸命に何かを言おうとしている
だが激しく突いているせいか意味の無い喘ぎ声しか出てこない。
何度も何度も奥をすりあげ高みに昇っていく。
「あ、っあ、っあ、・・・っは、、や、や・・・ぁ!!」
一際高い声で鳴いた後、膣内の激しい締め付けを感じ咄嗟に肉棒を引き抜いた。
「・・・、」
中への射精は避けたが、白い太ももに思い切り精液がかかる。
綺麗なピンク色の膣口はぱくりと開きひくひくと動いていた。
いっそのこと
もう、いっそのこと……
行為の最中筧はそっと部室の外へ出た。
陸をけしかけたのは自分だというのに、途中から見ていられなくなった。
(俺は何を考えていた?)
他の男に抱かれているセナを見て体が急激に冷めていき
暗い暗い感情がわき上がったのだ。
もう、いっそのこと セナを
殺してしまおうか、と
殺してしまえば誰の所へも行かない
自分だけのものになるのでは と
それはあまりにも身勝手で、非人道的な感情
自覚症状の無いまま、徐々に徐々に病んでいき腐りかけた心
壁を背にし、体がゆっくりと崩れ落ちる。
(このままでは本当に殺してしまいかねない……
………伝えよう。)
切なく鳴いている彼女の声がうっすらともれてくる。
その声を聞きながら、筧は自分のしてきた事を思い起こす。
あまりの罪の深さに涙も出なかった。
一方的な行為が終わった後、二人の荒い息が部室の中こだましていた。
長い沈黙の後陸が口を開く。
「………セナ」
「……ずっとずっと、会ったときからずっと好きだった。
今まで思い続けてた。 でも俺は臆病で、怖がりで、セナを好きなことを隠してた。
お前の優しさを独占したいのに、思いをぶちまけることでお前との関係がくずれることが怖かった。」
「……」
「俺の事なんて見てないの知ってた。それに、初めてお前が人の為じゃなく自分の為に行動してた。
応援しようって思ったのに……お前の側にいるだけでいいって思ってたのに!なのに俺は!」
セナへの独白は、徐々に陸自身を責めるものへと変わっていった。
「………リク」
「……ごめんね、」
あろうことかセナは謝罪の言葉を口にした。
「馬鹿か!?何でお前が謝るんだよ!こんな酷い事されてなん……」
ふわりと優しい温もりを感じる。
服が破れたまま、ひどい格好のままのセナに陸は抱きしめられていた。
「……セナ」
「身勝手な私は何も見えて無くて、あなたをこんなに追い詰めて
その事に今更気づいてごめんなさい。」
その言葉が体に染み渡り、頬を涙が伝っていた。
普通泣くのはこの場合セナの方だろう。
自分に涙を流す権利など無いと、陸は思う。
「……馬鹿だよ、ホント」
「うん、………私、馬鹿だから」
「……また俺に、襲われるとか思わないわけ?」
彼女は首を横に振る
「信じてるから」
抱きしめられたまま、陸はみっともなく声を上げて泣いた。
愛しいセナ
この体を抱きしめ返したいがそれは許されない。
近くにいて今度こそ守ろう。
もう誰にも傷つけられないように、
俺の願いは、君がずっと笑顔でいてくれること。
二人が部室から出ててきた。真っ先に筧を警戒する陸。
「実はさ。」
しゃがみ込んだままの体勢でセナに話かけた。
「俺、セナの事好きなんだ」
信じられない程さらりと言われたその言葉だが、内容はセナの予想もしないものだった。
今までのあの行為は
「………」
「死にそうな程好きなんだ。」
憎いからするのでは無かったのだろうか
「…」
俯いてしまってる為、セナが何を思っているか読み取れない。
「大体セナはさぁー。魅力のある女だっていう自覚が無さすぎだって。
俺だって健全な年頃の男なんだから、もうちょっと警戒してくれないと困るって。」
「………」
「……」
「……セナ、今までごめんね。」
「俺の事殺してくれていいよ。」
嘘では無い。
殺されても仕方が無い、それだけの事をしたのだ、と筧は思っている。
セナは俯いていた顔を急に上げた。
二人の瞳がかち合う。
パンッ!
セナは手を振りかざし筧の頬をはたいていた。
「これで、おあいこです」
殴った右手をぎゅっと押さえてそう言った。
「……チャラにするってこと?……せ、セナって、バカ?」
「筧君の方がバカです」
「いやいや、いや!セナには……」負ける、と言おうとして言葉に詰まった。
彼女は嗚咽を堪え、静かにぽろぽろと涙を流していたから
「……我慢しないで、ほら」
もっと殴ればいい、と両手を軽く上げ自分が無抵抗である事を証明する。
(そういえば、……アイスピックが部室にあったよな。)
取りに行こうと、重い腰を上げようとした。
「違います、そうじゃない!」
「?」
「……殺してなんて そんな事…言わないで」
「俺の心配なんてしてるの?」
「……。」
セナは手の甲で一生懸命涙を拭っている。
「ほら、そんなおっきい体で丸くなってないで」
帰りましょう、と筧に小さな手を差し出した。
しかしそれを掴む権利は無い事を彼は知っている。
「ありがとう。先に帰っててよ」
頬を張られたというのに、全く痛みを感じない。
(……思いっきりやればいいのに、あれじゃ叩いた手の方が痛いよな。)
バカで優しい愛しいセナ
この気持ちを諦めるなんて今は無理な話だが
己の欲を叩きつけるだけの行為はもうしない。
翌日
セナは学校帰りに陸に手を引かれた。
行きたい場所があるからと言われ来たのだが、着いた所はよく見慣れた川沿いの道だった。
「じゃあな!セナ」
「……」
「え? リク!?」
突然別れを告げられ、気づいた時には既彼は遠く離れていた。
どうしていいか分からず、セナはその場で突っ伏す。
ふと空を見上げれば、よく晴れ渡り心地良い風が吹いている。
長い長い道を見渡せば、力強く駆ける男の姿。
それを見つけたセナは何かに弾かれたように走り出す。
進とセナがここで会ったばかりの話
「こんにちはー進さん」
話しかけられたというのに、彼の足は止まらない
セナを一瞥しただけで、すぐに前を向きなおす。
「あぁ、アイシールドか」
(気になる………今日こそ思い切って聞いてみよう)
「進さん。変なこと聞いてもいいですか?」
「、、」
セナはおずおずと小動物の様な瞳で進を見上げ、問いかけた。
「何だ?」
「あの、どうしていつもフードを被ってトレーニングをしてるんですか?」
(進さんのことだから、トレーニングの秘訣なのかな?)
「……こうすると視界が狭まり、多少だが雑音も聞こえなくなる。」
余計な事に気を取られずにすむからだと、冷ややかに言い放つ。
そんな事で話かけてきたのかと思うと進は溜息が出た。
「だ、だめです!危ないですよ。私の話であれなんですけど……
以前、音楽を聴きながらヘッドフォンをつけて自転車に乗ってたんです。
他の音が聴こえずらいから車が来てるのに気がつかなくて、事故一歩手前の状態になった事があるんです。」
「……あ」
必死になってその危険性を力説するが、自分の失敗を晒す事になった。
今はやってませんよ?と、恥ずかしそうに笑顔を浮かべる。
「………。」
返す言葉が見当たらなかった。
(何を言ってるのだろうかこの少女は、……そうとうズレているのか?)
「お前も邪魔だ」という意味を込めて言のだがセナには伝わらなかった。
伝わらないのなら、露骨に言ってしまえば良かったのだが
不思議とそんな気にはなれなかった。
日課のコースが同じため、二人は何度も顔を合わせここで話をした。
といってもそれはセナからの一方的なもので、話といえるようなものではなかった。
進はその度にペースを乱された。
しかしそれを不快に感じる事は無かった。
やがて彼女の話に耳を傾け、足を止めて会話をするようになった。
会える事が楽しみになった。
そしていつしかセナの声だけは雑音に聞こえなくなっていた。
自分の名前を呼ばれるだけで、心が穏やかになる気持ちに気づいた。
その頃から彼はフードを被ることをやめた。
そして現在
「進さん!!」
セナは声を張り、進に追いつこうと全力で走っていく。
彼はそれに気づき
視界を遮り、雑音を遮断していたそれを外す。
孤独な世界に音が響き、光が差し込んだ。
『「辞める」を選んだ場合』
あの出来事から三日が経っていた。
学校が終わって外に出ると、今日もリクがいてくれた。
また部活を休ませてしまったのかな
もう大丈夫だから、あんまり私に構っちゃダメだよ。
だけど、一緒に帰ろうって言ってくれて 小学校のときみたいで
なんだか凄く嬉しくって、今日も甘えちゃった……
次こそ断ろう、
リクと話をしながら歩いてるとあっという間で、もう私の家が見えてきた。
別れを告げて私達は反対方向に歩き出す。
……立ちくらみがする。
……
ちょっと味わった事が無いくらい酷い。
ご飯あんまり食べてないせいかな
……どうしよう、気持ちが悪い。
その場から動けなかった。
「セナ!危ないっ!!!!」
振り返ると凄いスピードで赤い車が飛び込んできて
キキーィ!!!!!
ブレーキの音とリクの叫び声がした。
―――――
「誰か!!救急車呼んでくれ!!!」
しっかりと意識があるけど、声が出ない。
出そうとするんだけど、ひゅーひゅーと音が漏れるだけで声にならない。
それに強打した右肩の痛みですぐに起き上がれない。
ダメだ、痛みが少しでも治まるまでじっとしてよう……。
倒れたまま横向きで目を閉じる。
「クソッ!何だよ!? 何でこんなに血が出るんだよ!!!」
……
リク、制服が汚れちゃってる
大丈夫だから そんな顔しないで、泣かないで
平気だと伝えたくて起き上がろうとしたのに
……!!
右足に激痛が走って立てない
あまりの痛さにセキまで出てくる。
よく見ると吐血していた。
サイレンの音が近づいてきて
……
その音を聞きながら私は気を失った。
………
ここは……
白い天井
それに、ピ、ピっていうこの音……確か心拍数を計る あれだよね。
……病院かな?
「……先生!目を!……目を開けました!!」
お母さんの声とパタパタと誰かこっちに走ってくる音が聞こえる。
「セナ! もうダメかと……良かった」
その後。自分に何があったのか教えてもらった。
五日間生死の境をさまよったって、そんな事言ってた。
それから三日後。
お医者さんが病室まで来て、私の怪我について話し始めた。
右肩、肋骨、右大腿骨を骨折、右足首を複雑骨折、肺挫傷、その他いろいろ、重体ということで運ばれたらしい。
ちょっと待って……大腿骨と、足首って
「右足、肩は何ヶ月かリハビリをしてもらえれば日常生活になんら支障はありません。」
……
ダメ、それじゃ大会に間に合わない
「ただ、激しいスポーツなどはこれから出来ないでしょう、それより肺挫傷の方なんですが……」
嘘ですよね
激しいスポーツは……できない?
「……、……!!!!!」
叫んでるつもりなのに声が出ない。
「小早川さん、落ち着いて!肺を損傷してるんだから興奮しないで!!」
もうアメフト出来ないの?
「鎮静剤持ってきて!」
私からこの足を奪わないで……
リハビリを終え退院をする頃には季節は春になっていた。
学校にも行けるようになって
40ヤード走の測定をヒル魔さんにお願いした。
出来ないって言われたけど、そんなわけが無い。
そんな事やってみなきゃ分からない。
全力で走ったつもりだったのに、6秒4
確か、ベストタイム4秒2だったよね?
それに……もの凄く息が切れる。
この肺のせい?
「………」
「もう、諦めろ。」
「まだ……」
「うるせぇ!!!」
「大会も終わった、……それ以上自分を追い込むな。」
確かに足しか取り得の無い私は、もうアメフトは続けられないのだろう。
たくさんリハビリしたけど
これ以上はよくならないって、自分の体だから分かる。
居ても皆の迷惑になるだけ
なら……これ以上は続けられない
あれから退部届けを出して、私はアメフト部を辞めた。
学校をずっと休んでたっていうのに、そのまま春休みを迎えてしまって時間を持て余す。
……病院に何度もお見舞いに来てくれた進さん。
リハビリがちょっとつらくて、へこたれそうになったとき
「良くなるから、諦めるな」って励ましてくれた。
私なんかを愛してるって言ってくれた。
私もあなたの事が好きです。どうしようもなくバカみたいに大好きです。
でも、あなたの愛してくれた足はもう無いんです。
伝えたところで困らせて悲しませるだけ。
それならこの気持ちは伝えないままフタをしよう。
進さんの部活が終わるまでちょっとここで待たせてもらおう。
王城の校門前で暫く待っていると
あ、
「セナ……わざわざ来てくれたのか?」
言わないと
「わたしは……」
「私は!なんにも取り得が無いただの小早川セナです!もうアイシールドじゃありません。
だから!!忘れてください!進さんは私なんかと釣り合わないから!!
だから、……だからもっと素敵な人が見つかります。」
「………忘れろ、だと?お前はそんな事を考えていたのか?俺がお前の足を愛していたとでも?」
なんだろう……進さん凄く 怒ってる
逆鱗に触れてしまったような……そんな気がする。
「来い。」
思いっきり手を引っ張られ、後ろをついて行く。
もう日が落ちてる 辺りは真っ暗で
誰も居ない公園に着いたと思ったら
……進さんにいっぱい、いっぱい抱かれて
お願いです。進さん
私の事なんて忘れてください。
今はこうやって愛してくれるけど、いつか私に魅力が全く無い事に気づいて
呆れられて、嫌われるのが怖いんです。
だからもう、私を忘れて下さい。
見たことのある部屋が目に入った。
……!
なんではだかなの、それに腕が後ろで包帯かさらしで縛られてる。
………恥ずかしい、これじゃあ体を隠すことが出来ない
「目が覚めたか?
ここは離れの家でな、母屋は同じ敷地にあって家族はそちらに住んでいる。」
俺が何をしようと家族は興味が無いらしくてな
「監禁生活」に付き合ってもらうと、確かにそう言った
か、監禁?……って、
そのままベットに押し倒されて
叫んでも暴れても、許してくれなくて
……その後はもうあまり思い出したくない。
いつか解放してくれるって、思ってたけど全然そんな気配が無い。
むしろ行為の回数が増していってる、、
時計も外されてしまったから、時間も日にちも正確に分からない。
ここに来てから月を七回見たから、七日経ってるのだろうけど
日中問わず抱かれ続けているせいで時間の感覚が麻痺してきてる。
日にち……きっともう、これ以上覚えていられない。
快楽ばかり与えられて、何が普通なのかよく分からなくなる時がたまにある。
正常な意識を保っていられない……。
監禁八日目
「……や、やめてください」
身体を支えられ、セナは四つん這いにされている。
進は保温効果のあるハンドクリームを指に多量に塗り、何度か膣へ挿入しぐるりと掻き混ぜる。
そして薬箱から消毒液を取り出し陰裂に数回吹きかけた。
「用事があるのでな、そこで待っててもらえるか?」
そう言って、セナを残し部屋に鍵をかけ出て行ってしまった。
「、っ……」
………
…!?
(な、何? これ)
身体を異変が徐々に襲ってくる。
(……つめたい、ちがう、、あつい……すごく なかが あつ、ぃ、、く、…く、るしい)
はぁはぁ、と切なげな吐息を漏らしながら
身体を支配する熱から逃げる手立ては無いかと虚ろな目を泳がす。
そして目に飛び込んだのは木製の机。
のろのろと足を動かし、セナはその前に立った。
(……、わたしは、な、にを かんがえてるの?)
あろうことか彼女は足を微かに開き、机の角に自分の陰部を押し当てていた。
自分の考えている事の恐ろしさに足が震える。
(だめ、だめ、……だれか…とめて)
そうしていても膣から出てくる粘液は、ポタポタと止まらない。
「は、、っはぁ」
立っているのもやっとなほど甘い快楽の波がセナを襲う。
……そして欲望は理性に勝った。
「………ん、んっ、」
割れ目を擦ろうと健気に腰を揺らす。
酷く艶めかしくて背徳的なその姿。
「あ、ぁっ…ぁ、あっ、は 」
(、こんなこと……、…どうしよう……すごく……きもちいい )
「ん、………はぁ、ぁっぁ、ぁ」
くっ、ちゅっ
「随分刺激的な光景だな。」
「!?……ん、っん、ん…ぁ」
くちゅ、ぬちゅ…
厭らしい音を立て机と接触しているそこを、進は表情一つ変えず凝視する。
「気にせず続ければいい。」
「……あ、は…っくぅ、……な、んで、? とまら…ない」
(進さんが見てるのに、腰が止まらない )
「みないで、 お願い、みないでぇ……」
彼女の願いを無視し、つかつかと近寄る。
「ひ、っぅ、こないで……」
「違う、他に言うことがあるだろ?」
豊満な胸に方手を伸ばし、硬くつんと尖らせている乳首を掴む。
「っ、!」
そのまま軽く捻り上げた。
「――――!!きゃ、あぁっぁ、、ひゃ、ぁ、ぁ」
くりくりと捻っては突っ張りぱっと手を離す、そんな事を断続的に続けられた。
「は、はっ、はぁ……」
「以前に教えた言葉があるのだから、言ってみろ」
「っぁ、も……ぅ ムリぃ たすけ て……」
「……まぁ頑張った方か。」
床へ押し倒され、四つん這いの格好で何度も何度も突き上げられる。
声が枯れ果てるまでそれは続けられた。
監禁九日目
散々指で中を解し、数分放置したら、またそれを繰り返す
セナが一度も達せないまま時間だけが過ぎていく。
「は、……はぁ、はぁ」
仰向けに寝ているセナの両足を肩に担ぎ上げ
自身の雄を女性器にあて
割れ目とクリトリスにその先端部を擦りつける。
「っ んっ! ぁっ……や、ぁ」
ぬりゅっ、にりゅっ
ぬるぬるに濡れているそこに擦れる度、淫猥な接触音が聞こえてくる。
「まだ言えそうにないか?」
「もぅ、、やっ、め、許してぇ、あっ、ひゃっ、あぁんっ!」
そんな淫行を続けられ、尻の方まで愛液がつたってぐしょぐしょになっている。
「お前のように感じやすい身体は直にここだけでイケるようになる。」
クリトリスの皮を剥き愛撫しながら言う。
ぐちゅ、にゅりゅ
「う っん゛、―――ぁ、あぁ!ひぃ、ぃ!」
背を反らせ、白い喉もとを曝けだし悲鳴に似た嬌声をあげる。
身体と精神は限界まで追い詰められていた。
「どうして欲しい?言ってみろ」
セナはなけなしの理性を働かせ、首を弱々しく振り拒絶の意思を示す。
「では、今日はどうするか」
「……ここに芋茎でも入れてみるか?」
「!っ」
聞きなれない単語がまた出てきた。
しかしこのまま抵抗をすれば、何が待ってるか容易に想像がつく。
身体に教えられた仕打ちは、昨日だけの事ではない。
それを思い出すだけで、急激に身体は火照りだす。
「……や、やめて」
「言えるか?」
「い……います、だから」
息を小さく吸い込み、教えられた言葉を搾り出す。
「……わ、わたしの 、い…やらしい、……ここに…
進さんの …ぉ、…ちんちんを いれて、たくさん……ついて ください…」
蚊の鳴く様な声でそういうとセナは泣き崩れた。
「ぁ、こんな 、こんな………!」
「よく言えたな……。」
満足そうに呟き亀頭をめり込ませ
そのまま肉棒をゆっくりと進入させる。
ズ、プ……
「ん、、んん゛ーー!!!!ああ、や、やぁぁぁ―――!!!」
髪を振り乱し、きつく目を閉じる。
「自分から強請ったくせに、嫌ではないだろう」
ぐぷぐぷと生々しい音を立て、肉棒は膣へと収まっていく。
(怖い!恐い!!!!!自分が自分でなくなる。あたまがへんになる!!!)
「お前はもう戻れない、逃げられない。」
「………はっ、ぁ」
「大丈夫怖くない」
優しく優しく愛おしい者を抱きしめ、ゆっくりと律動を開始する。
グチュ ヌチュ……
「壊れてしまえばいい。」
ズプ ズッ……
「……俺はとうに壊れているのだから。」
(……しんさんといっしょ……?こわくないの?)
頭の中で何か、糸が切れたような音がした。
――――――
「は、っん く……ん い、ぃ…ぁ、あ、っあ」
抵抗をする切ない喘ぎ声ではなく、セナは悦楽まじりの声をあげていた。
こんな声は初めて聞く。縛っていた両手を自由にしてやれば
自分でクリトリスを慰め、胸の突起をくりくりと弄び
嬉しそうに、……悲しそうに身悶える
その姿は目眩がするほど、壮絶に美しい。
「あ、は、っはぁ、ぃ…い きもちい ぃ…よぉ」
小さな形の良い尻を自ら揺り動かして、咥え込んだペニスをもっと味わおうとする。
ヌプ ヌプ グプ グチュ
「セナ、」
「もっと たくさん、進さんの、おちんちんちょうだぃ、、」
うっとりとした表情を浮かべて、ピストン運動に合わせてがくがくと頭が揺れ、涎を垂らす。
「、あ、っは、奥で どくどく、って、ぁっ…いってる……、」
ずぷっ、じゅぷっ グプ グチュ
「っん、ん、あ、ぁ……は 、すご、ぃ きもちい……ぃ」
「……っ、そんなにキュウキュウ締め付けるな」
「……いっしょに、きもちよく なって」
一番深いところにまでペニスを挿入して、また引き抜いて
腰の動きも激しさを増していく。
「あ、ぁ、っん……!ん、ん…ぁっあ!!……」
ぐちゅ、ぐちゅ、
「ひ、ァ っぁ あ、っぁっあ!だ、め っあ ッい、イクぅぅ ―――!!」
「っく…」
全身をピクピクと痙攣させセナは絶頂を迎えた。
ズルリと怒張したままの肉棒を引き抜き、軽く扱き外で果てる。
噴出された温かい精液は、虚ろな目をしたセナの腹にぴしゃりと降りかかった。
それをセナは指で絡め取っている。
「……ん、っ」
乳飲み子の様に精液をちゅうちゅうと吸い、愛おしそうにぴちゃぴちゃと舐める。
「っん 、、、ぉぃ ひぃ……」
「……やっと、俺の側に……離さない、もう逃がさない」
頭を撫でれば気持ちよさそうに目を細めた。
狂人は小鳥の羽を折り、行き場を無くした小鳥はとうとう自分から檻の中へ入った。
腕の中、今日も小鳥は悲しく鳴く。