幼馴染と入れ替わりTS その2
「アイもさっさと脱いで……」
「そんなにしたいの?」
「うん、したい。ここでやめられたら生殺しだ」
「……ユキって、やっぱりいやらしい」
「アイだって、今更やめられないだろ? こんなにしてるくせに……」
藍子の手が、素早く、雪彦の下半身に伸びる。
「うっ」
ズボン越しの男の股間は、大きく隆起して、硬くなっていた。
「昼もしたのに、やらしいのはどっちかな」
「ユキだって! いっぱい濡らしてるくせに!」
雪彦が顔を真っ赤に染めて睨んでくるが、藍子は素直な笑みのままだ。
「うん、アイと一つになりたい。早くしよう」
藍子は背伸びをして、雪彦と唇を合わせる。
強く吸って、相手が反応する前に、素早く離れる。
明るく立ち上がった。
「ほら、アイも早く脱ぎなよ!」
「押し倒したい」
雪彦は真顔で言って、もどかしげにシャツを脱ぎ捨てながら立ち上がる。
藍子は上気した頬のまま、可愛らしく笑って、デニムパンツを脱ぎ捨てた。
「なんか、ムードないな」
「ユキが恥ずかしがったりとかしないからよっ」
「相手がアイだから」
「わたしは恥ずかしいもん!」
「全然、そうは見えないな」
二人、軽口を叩きあって服を脱ぎ捨てていくが、これからやる行為に対する興奮は隠し切れていない。
藍子の乳首はその存在を主張するようにピンととがっていたし、ショーツを脱ぐ時、そこは銀色の糸を引いた。
ブリーフまで脱ぎ捨てた雪彦のそこも、赤黒く勃起し、先走りの液体をにじませている。
先に脱ぎ終えた藍子は、長い髪を揺らし、ベッドに膝をつくようにして登る。
四つんばいに近い姿勢だが、若く張りのある乳房は下向きになっても形が崩れず、魅力的に蕾を震わせる。丸く弾力のあるヒップが揺れ、女の部分も丸見えだった。しっとりと濡れたそこはピンク色に艶めいて、男を誘う。
「ユキ、わたしの体で、そんないやらしい格好して、挑発してるの?」
「うん、してる。んっ!」
笑う藍子だったが、いきなり後ろから濡れた花弁に触れられて、ぴくんと体を揺らした。
「こんな格好して、こんなに濡らして!」
後ろの穴まで丸見えのせいか、ベッドに片膝をついた雪彦の鼻息も少し荒い。
藍子はすぐに体をねじって雪彦の手を避け、両手を後ろに回してベッドにつき、胸をそらし気味に体を雪彦に晒した。片膝を立てて、もう一方の足は伸ばすような姿勢だが、濡れた女の部分は足の陰になって雪彦からは見えない。
今にも襲い掛かってきそうな男に、藍子はにっこりと、だが瞳を潤ませて、笑顔を見せた。
「アイが、口でしてくれる約束だろ?」
「言われなくったって!」
雪彦は彼もベッドにのると、藍子の片膝に手をついで、強引に大きく開かせた。
藍子が逆らわずに足の力を抜くと、今度は真正面から、藍子の女の部分が丸見えになる。
雪彦はいきなりそこにむしゃぶりついた。
藍子はぴくんと、声を押さえてのけぞる。
いきなり乱暴だな、という言葉は、出せば喘ぎ声になりそうで、口に出せなかった。
雪彦は藍子の膝から太ももの裏に手を回し、片足を持ち上げるようにさらに開かせる。もう一方の手で太ももの付け根を押さえ込んで、藍子が足を閉じるのを阻止しながら、わざと音を立てて藍子の花弁を吸った。
雪彦はがちがちに硬くなっている自分のペニスの代わりとばかり、愛撫というよりは女のすべてを味わうかのように、艶やかに濡れたそこに熱い口付けを繰り返す。
まだ経験の浅いそこは、充血し微かに広がりを見せているが、慎ましさをなくしてはいない。それでいながら、男の唇に吸われるたびに、まるで別の生き物のようにぬめぬめと蠢き、潤いを増していく。
藍子は両手で体を支えたまま、呼吸を乱して、その甘美な感覚を素直に味わう。
女が男の感覚を知りえないのと同じように、男では絶対に味わえない女の感覚。
雪彦は藍子の反応に気をよくしたのか、勢いを少し緩めて、顔を上げる。
目は少し血走り、彼の呼吸は荒い。
藍子はその視線に気付いて、熱っぽい笑みを見せる。
「気持ちいい、よ……」
雪彦はその視線にますます感情を昂ぶらせて、再び藍子の秘部に顔を埋めた。
が、今度の動作は繊細だった。
藍子の余裕を叩き壊したいとばかり、もっと乱れた藍子を見たいとばかり、舌でふっくらと柔らかい花びらを丁寧になぞる。唇で陰唇を挟み、微かにいじめるように引っ張り、強くなぶる。
雪彦は片手で太ももを持ち上げ、藍子の体に押しつけた。柔軟性をもって藍子の片足は横に大きく倒れ、膝が胸の横の位置にくるまでに大きく開かされる。
雪彦は容赦なくその太ももをなでまわし、もう一方の手を藍子の花弁に動かす。藍子は自由になった足を、無意識に閉じようとするが、雪彦の頭を軽く押すだけだった。
雪彦は指先で秘唇を左右に押し広げ、そこに愛らしい突起を見つける。すぐにゆっくりと、つんととがった突起を舌でつつき、唇でやんわりとくわえこんだ。
「そこは、そっと……」
藍子は声を堪えて、腰を震わせた。
雪彦はわかっているとばかり、優しく愛撫を繰り返す。指よりも柔らかい、熱く濡れた舌で、ねっとりとクリトリスをなぶり、時折濡れた花弁から愛液をすくって、塗りたくった。
「ふぁ……、んっ……」
長くゆっくりとした繊細な愛撫に、藍子は声を押さえようとしているが、声にならない声を抑えきれない。鼻にかかった音を漏らし、無意識に体を震わせ、甘い喘ぎ声を漏らした。
藍子の片手はいつのまにか前に回り、自分のおなかから太ももにかけて、やんわりと繊細に撫でていた。その腰は震えて、もっと、と言いたげに、時折腰が浮き、雪彦の口に押し付けられる。
それを焦らすように、雪彦はまた口を離した。
「あっ……」
どうしてやめる? と言いたげな目を、藍子は雪彦に向ける。そこには先ほどまでの素直な笑みはなく、切なく求める少女の顔があった。
雪彦はにやりと笑って見せようとしたが、彼の方でも余裕がなく、藍子のその表情にさらに感情を刺激されただけだった。
雪彦は顔を戻し、今度は膣口に舌を差し向けた。藍子は期待に大きく息を吐き出したが、尖らせた舌が自分の中に進入してくるなり、また腰を震わせた。
甘く痺れるような快感の中に、心を犯されるような、満たすような、切ない刺激。
舌だけでは足りない、だが、それはそれでとても気持ちがいい。
雪彦はそんな藍子の気持ちがわかっているのかいないのか、舌を藍子の中に差し込み、唇でも女の部分をなぶりながら、指先を愛液で濡らし、再びクリトリスも攻める。
先ほどはきつさと痛みを感じさせたその行為も、今では強い快感だけだった。
藍子の全身は桃色に染まり、愛液がそっとつたってシーツまで濡らす。
女の淫臭と、甘い香りと。男の汗と、熱い吐息と。
室内の温度が高まり、二人を熱の籠もった空気が包み込む。
藍子は手に力が入らなくなり、体を支えきれずに、ベッドに体を倒した。
一方の手でおなかを撫でながら、もう一方の腕で太ももと抱き込むようにし、自分のバストにまで手を伸ばす。
しっかりと汗ばみ、もちもちした肌は藍子の手の平に吸い付くように反応を返す。
男が花弁と突起を攻める動きに合わせるように、藍子はそっと自分の乳房を撫で、手の平で乳首ごともみ潰す。
押し潰すとかたく尖った乳首はふくらみの中にうずまり、手の平を戻すと、弾力を持って元に戻り、その存在を主張していた。
「はぁ……、あふ……」
藍子は瞳を閉じて、甘く煩雑な呼吸を繰り返しながら、片手では足りないとばかり、もう一方の手も乳房に伸ばそうとする。
次の瞬間、藍子は女のような甲高い声をあげた。
「ひゃうん!?」
いきなり、雪彦が藍子の膣に指を挿入したのだ。
「ユキ、自分でおっぱいさわって、いやらしすぎ!」
藍子の手は一瞬雪彦の頭を押しやろうとするように動くが、雪彦は指で藍子の中をかき混ぜるように動かし、藍子に余裕を与えない。
花弁は潤い、難なく雪彦の指を迎え入れていた。中は熱くたぎって、秘肉は雪彦の指を喜ぶように、押し包むように、奥に誘い込むように、蠢いて震える。
「このままイキたい!? それとももう欲しい!?」
「このまま……!」
イキたいっ! とあえぐように言うと、藍子は顔を快感に染めて目を閉ざした。
雪彦は強く苛立たしげな顔をして、藍子の中に入れている指を二本に増やした。
「ユキは男のくせに、女の体で歓ぶなんて! しかも一人だけで気持ちよくなって、恥ずかしいと思わないの!?」
アイだって女のくせにいっつもやらせて男の体で一人でイクだろ、と言いたげに藍子は目を開くが、言葉にはならない。
甘く強い快感に浸りながら、あえぎ声だけは抑えながら、藍子は呼吸を早めて、両手で自分の乳房をもみしだき、時折乳首を強くつまむ。
「アイ……! 口で、クリも……!」
「どこまでいやらしいの! やって欲しかったらお願いしなさいよ! 『わたしは元男なのにクリちゃん舐められたいえっちな女です』って!」
雪彦は激しく女の中をかき混ぜながら、顔を真っ赤にして叫ぶ。
藍子は刺激に体を震わせながら、瞳は熱く潤ませつつ、少しだけ、淫蕩というよりは子供っぼく、可愛らしく微笑んだ。
「んっ……、わたし、はっ、元男なのにっ、はぅ、ん、クリちゃんを、舐められたい、えっちな女、ですっ……!」
「ちょっとは恥ずかしがってよぉ!」
「アイ、言った、ぞっ。ん、早く!」
藍子の言葉に雪彦はむしろ自分の方が恥ずかしそうに、藍子の女の部分にまた顔をうずめた。
「んぅっ!」
一方の手は藍子の膣の中につっこんだまま、クリトリスをいきなり唇でつまみ、もう一方の手で藍子の太ももを撫でる。
種類の違う三つの刺激に藍子は体を震わせて、快感に微かに腰を上下させ、乱暴に自分の乳房をなぶる。
雪彦の動きも乱暴だった。雪彦のペニスは、触られてもいないのに、興奮に先ほどから先走りの液を漏らして、びくびくと脈打つ。今すぐにでも藍子の中につっこみたいのを我慢しながら、濡れた藍子の恥部を舐めしゃぶり、撫でまわし、唇でいたぶる。
藍子の愛液は後ろのすぼまりにまでこぼれ、雪彦の一方の手が、太ももからそこにそっと動いた。
そこは藍子が腰を揺らすたびに力が入るのか、きゅっきゅっと呼吸するかのように震えていた。雪彦の指先がそこに触れると、藍子は「ひあっ」とひときわ大きな声を漏らす。
藍子はぎゅっと自分の乳房を握り締めて、下半身からの感覚だけに耐える。
二人の呼吸はさらに荒く早くなり、雪彦の指先がアナルをなでさすると、藍子は何度も甘い喘ぎ声を漏らした。
雪彦の片手はアナルを攻めながらも、もう一方の手の二本の指先は藍子の膣の中を上下に蠢き、時折指先を曲げて、藍子の敏感な部分を何度も何度も刺激する。
雪彦の動きに従って、藍子な体が、ゆっくりと、だが熱くくねる。
長く執拗な攻めに、藍子が抑えきれず声を漏らす頻度が高くなっていき、やがて藍子は泣きそうな声で、雪彦の名前を呼んだ。
「アイ、アイ……!」
「イッちゃう? イッちゃうの?」
「ぅん、もうっ、もうすぐ……!」
藍子の手の動きは次第に単純になり、乳房を乳首ごと軽く押さえるだけになる。
逆に雪彦の攻めはラストスパートとばかり激しさを増す。
藍子の秘肉は吸い付くように、ぬめりながら男の指に絡み、何度も何度もしめるけるように男の指をくわえ込んで離さない。
花弁は充血し、愛らしく開き、男の前にそのすべてを晒す。
男の指がその中心に突き立てられ、唇と舌とがはいまわり、ぐちゅぐちゅと音を漏らした。
雪彦は藍子の呼吸がせっぱ詰まり、体がぶるぶると震え始めたのを察して、ぎゅっと指を深く押し込んだ。
「イッて! イッちゃえ!」
同時に、藍子のクリトリスをくわえ込み、ぎゅっと唇で挟み込み、軽く歯を立てる。
「んっ、アイっ、いっ、アイ!」
その瞬間、藍子は強く自分の両方乳首を指先でつまみ、そして片方をビンと弾いた。
「~~~~!!」
唇をかみ締めて、藍子の声にならない絶叫。
それでも蠢かす雪彦の指を、藍子の秘肉が強く雪彦の指を締め上げて、奥へ奥へと引き込む。
雪彦は指を奥へと突き刺し、手の平全体で藍子の秘部を押して圧迫するように撫でて、強くクリトリスを吸い込み、アナルにまでも指先をつっこむ。
「ん、~~~~! ぁっ、ぁ~~~~!!」
藍子は片方の乳首をつまんだまま、全身を硬直させて、腰を跳ねるように押し上げ、つま先までピンと体をそらし、喉の奥でさらに声を出した。
長く続く快感の絶頂。
愛液があふれ、がくがくと腰だけが震え、胸がつんと突き出され、膣は男の指を離さない。
雪彦も最後の最後まで、愛撫の手を休めない。
藍子は喉をのけぞらせるように、さらにぴくぴくと体を震わせて。
「あぁ……!」
最後に細い悲鳴のような声をあげると、全身から力が抜けたかのように、ぐったりとなった。
が、雪彦がさらに愛撫の手を止めずにいると、藍子は苦しげになって、泣きそうな顔で手を自分の股間に動かした。か細い、泣き声のような声。
「アイ、もう、いい……!」
その声で、ようやく雪彦は、鼻の頭まで愛液にぬれた顔を上げた。
藍子の中に入れた手をそのままに藍子を見上げると、藍子は上半身を横向きにし、どこかとろんとした艶っぽい表情で、雪彦を見つめていた。
白い胸は汗に濡れ、桃色に染まってまだ激しい鼓動とともに上下し、足も腕も、力が入らないかのようにベッドにうずもれている。
片手だけが恥丘の上にあって、そこも呼吸にあわせてゆっくりと震えていた。
「ぁふ……」
雪彦が藍子の割れ目から指を抜くと、藍子は甘い呼吸を漏らした。
指先はすっかり濡れて、藍子のそことの間に、細い糸の橋を作る。
雪彦は興奮に染まった顔でそれを口に含み、ぬめりを取り除くと、体を起して藍子に覆い被さった。
「ユキ……」
藍子の余韻はまだ続いていた。
唇が重なってきて、藍子は心を震わせるが、嫌がるでもなく、積極的になるでもなく、されるがままだ。
舌が差し込まれ、唾液が混じる。
ただその片手だけは、そっと恋人の腕にあてられていた。
「ユキ……、そんなに、気持ちよかった?」
「うん……」
まだ快感の中にいるかのように、藍子の声は甘い。その頬は上気して、少女の色っぽさをにじませていた。
雪彦はそんな声に耐えられないかのように、何度もキスを繰り返し、藍子の耳をかんだ。
「じゃ、わたしも、するね?」
「んっ……まだ、もうちょっと……」
雪彦がこのままおさまるはずがないことは、藍子にも言われずともわかっている。
藍子はイッたが、ひたすら奉仕していた形の雪彦は、高い興奮のまま取り残されている。
藍子も藍子で、このまま一つにならずに終わるのは、少し物足りない。
だが、再開すればまだ何度もイケるが、この女特有の甘い余韻を、藍子は充分気に入っていた。
なだらかに落ち着いていく体と心。
「まだ、もうちょっと待て……。ゴムでも、つけてろ……」
「え、ユキ、生理は今度の土曜くらいでしょ?」
「うん……。でも、するならちゃんとつけろよ……」
「今日は、大丈夫、だよ」
「……その大丈夫は、どういう大丈夫だ……?」
「今日は、中でしてもいい日!」
「それ、全然大丈夫じゃない……」
「いいの! 元々わたしの体だし、もしできちゃったら、責任とってあげる!」
「全然、よくないって……」
藍子は体をよじって逃げようとするが、雪彦は強引に上から藍子の方を押さえつけて、逃がさない。
熱く隆起した雪彦の股間が、藍子の濡れた割れ目に触れる。
二人、一瞬体を震わせたが、次の瞬間、藍子の手は緩慢ながらも動いていた。
自分の女の部分を、手でしっかりと覆ったのだ。
「んっ……」
「はうっ……」
男のモノを指先で弾く形になり、二人にとって、その刺激すら今は甘い。
「ユキ、手、どけて」
雪彦は熱く激しい瞳で、藍子を直視する。
藍子は頬をまだ赤くしたまま、瞳も潤ませたまま、微かに吐息を付いた。
諦めたかのように、にっこりと微笑む。
「そんなに、したいのか……?」
「焦らさないで! もういいでしょ!」
雪彦はペニスを藍子の手に押し付けて、二度三度と揺らす。
「アイは昼にしたし、おれも今イッたし、もうおあいこだろ……?」
「またイカせてあげるからぁ! ね、早く!」
言葉とともに強くぎゅっと抱きしめられて、敏感になっている全身が痺れ、乳房と乳首が雪彦の胸に押し潰された。藍子は微かに体を震わせたが、笑みを絶やさなかった。
雪彦の耳元で、甘く囁く。
「いいけど、なにがしたいんだ?」
「わかってるくせに!」
「させてほしかったら、お願いしなよ。『ぼくは元女なのに、女におちんちんをつっこみたいスケベ男です』って」
女の可愛い声でそんなことを言う藍子に、雪彦の顔は真っ赤になった。
「い、言えるわけないでしょ! そんな恥ずかしいこと!」
叫ぶなり、雪彦は強引に、藍子の細い腕をつかんで、ベッドに押し付けた。
藍子はとっさに足を閉じようとしたが、すでに雪彦の体がそこにあるから、あまり意味がない行動だった。
本気で嫌がればまだ抵抗のしようはあっただろうが、雪彦のペニスが割れ目に改めて触れた時点で、藍子は微かに体を震わせて、恋人に身をゆだねた。
「おれには言わせたくせに……」
小さく笑って、自分から足を開き気味にし、微かに腰を浮かせて、男の挿入を助ける。 雪彦は藍子の話をすでに聞いていず、乱暴に強引に藍子の中にペニスを突き入れてきた。
「あぁ……! ユキ……!」
「ぁっ……!」
雪彦が震えた声を漏らし、藍子も微かにあえぐように吐息をつく。
体を串刺しにされるような強い圧迫感が藍子を襲い、侵入してきた雪彦のモノに向かって、藍子な体が、ゆっくりとくねる。
先ほどまで二本の指をくわえ込んでいたそこは、少し抵抗しつつ男のペニスを限界まで受け入れていた。
「ユキの中に入った、よ!」
「うん、入ってる、な……」
藍子はイッたばかりで少しきついとも感じたが、体が満たされるのは今となっては嫌な感覚ではなかった。濡れた膣の粘膜は、歓びうねりながら男のペニスに押し分けられ、からみつくように包み込む。
「ユキ、好き……!」
雪彦は深く挿入したまま、藍子の腕を開放し頭を抱きこみながら、唇を奪う。
藍子は一瞬体を震わせたが、少し困ったように、だが一体感から来る充実感は隠し切れずに、そっと男の首に腕を回した。
雪彦の舌が藍子の唇を割り、唾液が流し込まれる。
藍子は喉をならして、それを飲み込み、お返しとばかり、雪彦の舌に舌を絡める。
雪彦が顔を上げると、藍子の顔が一瞬ついていくように動き、愛らしい舌が数瞬姿を見せ、糸を引いた。
雪彦はそのまま上半身を起して、藍子の腰を掴むと、いきなり激しく藍子の中に激しく出し入れし始めた。
「動く、ね!」
「はぅっ、ん、動いてから、言うな……!」
「ユキ、気持ちいい……!」
透き通った白い肌、しっとりと張りがあるお椀型の乳房、その中心にあるピンク色の突起。
大きすぎず小さすぎないそこが、雪彦の動きに合わせて、上下に揺れる。
藍子もすぐに再び昂ぶり始めたが、雪彦の表情はすでに限界ぎりぎりといった感じだった。
余裕がある時は、体位を変えたり、奥に押し付けてぐりぐりとなぶったり、浅くいれて藍子をじらしたり、文字を書いてお互いにゆっくりと楽しんだり、キス以外にも全身を撫でまわしたりするのだが、雪彦は余裕がないのか、最初から荒々しくつきこむだけだ。
男のモノは藍子の中をえぐり、子宮の入り口まで何度も何度もノックする。気持ちいいが、挿入直後の今の藍子には、少しきつく、強すぎる刺激。
だが、藍子としてはこんな荒々しさも嫌いではない。
繋がったままゆっくりと愛を語り合ったり、お互いの体を愛撫しあったりするのが本当は一番好きだし、ねっとりとした動きの方が高まりやすいのだが、激情に任せた獣のような動きも、気分が一致すればお互いに興奮剤になる。
藍子の体にもすぐに火がつき、シーツをぎゅっと握り締めて、男に蹂躙される。肩がくねり、胸が震え、汗まみれの体が揺れた。
それでも、この日の雪彦は先走りすぎだった。
「ユキ、イキそう! イッちゃいそう!」
「え、ぁんっ! 早い、な、んくっ!」
藍子にも快感はあるが、それよりも強く翻弄されることで思わず声が途切れ途切れになり、あえぎに近い声が漏れる。
「ユキが、焦らすからぁ!」
そのあまりにもせっぱつまった声に、藍子は少しだけ微笑み、荒々しく体を突き入れられながら、快感に浸る。
「だしても、ん、いい、よっ」
「ユキは? ユキも一緒にイッて! 一緒にイキたい!」
「おれは、まだっ、ぅっ」
「早く、早くイッて!」
「そんなこと、言われてもっ」
「気持ちよくないの!?」
「気持ち、いい、けど……!」
なめらかに高まり、さざなみのように続く快感と、時折甘く痺れるような強い刺激。
恋人と一つになって、お互いの性器を繋げて、体を合わせる。
気持ちはいいが、高い波は、まだもう少し見えない。
「何でイカないのよぉ!」
泣きそうな顔で、雪彦は乱暴に恋人を犯す。
藍子は快感に痺れながら、そっと両腕を伸ばし、恋人の頭を抱きこんだ。
「くっ」
雪彦は何かを堪えるかのように、突然動きを止める。
藍子のか弱い力に引き寄せられて、そのまま藍子の乳房に、顔が押し付けられる。
藍子は弄ばれて呼吸を荒くしながらも、優しく微笑んだ。
「いい、よ、我慢しないで。もう、イキたいんだろ……?」
「や、だ! 一緒にイキたい!」
歯を食いしばって、雪彦が叫ぶ。
その甘い言葉に、藍子の体と心が、びくんと震えた。ぎゅっと藍子の秘肉が雪彦を締め付け、潤いを増して、ぬめぬめとからむ。
少しでも動けば爆発してしまいそうなのか、雪彦は体を動かさない。
藍子の膣は熱く硬く大きく膨らんだペニスをしっかりと把握し、じっとしていても蠢いて雪彦を攻める。
その硬い圧迫感すら感じさせるペニスは、動きを止めていても脈動し、藍子をゆっくりと痺れさせる。
雪彦は辛そうな顔だったが、一つの波を堪えきった。
先走りの液が、藍子の中で、藍子と溶け合う。
「ユキも、早くイッて……!」
雪彦の動きが変わった。
挿入したまま、腰に腰を押し付けるようにし、ゆるゆると狭い範囲で振動を繰り返す。
今の藍子にはちょうどいい、なだらかに襲ってくる甘い快感。
雪彦はそうしながら、藍子のウエストを撫でまわし、すぐ目の前にある藍子の乳房にまで手を伸ばして、やんわりともみ始める。
つんと尖った乳首を口に含み、甘噛みして、唾液で濡らす。
藍子は質を変えて増えた刺激に、甘く微笑んで、雪彦の髪に指を通す。滑るように指を滑らせ、髪を梳いてまた頂点へと。
雪彦は、彼も全身で恋人を感じながら、片方の手を藍子の恥部に動かす。
「んっ!」
クリトリスへの直接の刺激に、藍子はびくっと腰を震わせた。
「よく、なってきた?」
興奮に目を血走らせて、雪彦は藍子を上目に見つめる。藍子は雪彦に身をゆだねて震えながらも、素直な笑みのままだ。
「うん、いいよ……」
「強くしていい?」
「ちょっとなら。ぁん!」
ちょっとと言ったのに、いきなり雪彦は強くクリトリスをなじ上げた。
刹那の痛みは、すぐに消えて、痺れたような感覚だけがそこに残る。
強くつままれたクリトリスの痺れは、少しずつ甘い刺激に変化して、藍子を襲う。
雪彦は藍子とつながっている周辺を撫でて、片手は乳房を重点的に攻めたてた。
雪彦がゆっくりとペニスを引くと、花びらがかすかに捲り上げられ、ねっとりと絡み付いていた藍子の秘肉は、離したくないとばかりペニスを締め付ける。
雪彦が引き抜きかけたペニスを、ゆっくりと押し戻すと、今度は花びらが引き込まれるようにねじ込まれる。
刹那、藍子の乳首にまで電流が走ったかのような快感が走り、藍子の腰が微かに浮いて、震えた。
「あぁ……」
藍子の中は喜びうねり、藍子は思わず長く深く、吐息を吐き出す。
それを何度も繰り返すうちに、藍子の秘部もさらに濡れそぼってくる。
二人の性器が繋がりあう音が、室内に静かに響く。
藍子の肉襞はまるでそこで呼吸をしているかのように、ゆっくりと蠢いたかと思うと、きゅっときつく締め付けて、男を求め誘い、昂ぶらせる。
気付かないうちに、藍子の片手は雪彦の髪を、なでるというよりは、頭にしがみつくような形になっていた。
時折肩を甘くくねらせ、男に乳房を押し付けるような仕草も見せる。
藍子の顔からは微笑みが薄くなり、瞳が潤みを増して、頬が熱く赤くなっていた。
「ユキ……」
雪彦は両腕の位置を変えて、真正面から藍子の肩を羽交い絞めにするように抱き込むと、藍子の唇に唇を重ねた。
熱く深いキス。
「んっ……!」
舌が踊りこんできて、唾液が混じる。
男の胸板が女の乳房を押し潰し、中心の蕾が、甘く痺れて藍子に快感をもたらす。
藍子の熱く柔らかい体は、雪彦にいっそうの快感を伝えてくる。
そうしながら、雪彦は再びだんだんと、腰の動きを早くする。
ただ単調に動かすのではなく、時には浅く、時には深く、時には押し付けるように、ねっとりと藍子の官能を高めていく。
雪彦が体を動かすたびに藍子の体は震えて、声にならない喘ぎ声が漏れる。
藍子の腰は、いつのまにか男の動きに合わせて揺れていた。
体は汗ばんで艶めき、甘い花のような芳香が薫りたって、男を包み込む。
そのすべてに、雪彦も強い興奮に震えた。
「ユキ、いい? 気持ちいい?」
「はぁ、……う、うん、いい、気持ちいいっ」
うっとりしたように震えて、快感に浸りかけている藍子の声。
二人、目と目が合う。
熱っぽく潤んだ、二人の眼差し。
雪彦は藍子の唇に再び吸い付いた。
「ユキ、好きよ、大好き……!」
「う、んっ! おれも……! あぁっ……!」
「わたし、もう、もうイッちゃいそう! ユキはまだ? まだなの?」
「ん、ぅん、もう、ちょっと……!」
藍子は強く雪彦を抱きしめて、腰を揺らし、乳房を男の胸に押し付けるように震わせた。
イクことを覚える前なら、これだけで満足できていた、充分な快感。
だが今は、その向こう側に見えるものを、藍子は貪欲にむさぼろうとする。
近づいては遠ざかり、少しずつ迫ってくる、高い波。
「ユキ、よすぎる、すごすぎるよぉ……!」
男は女が乱れていくさまに興奮し、必死に快感を耐え、女は全身で男を感じながら、ひたすら快感を追い求める。
男の腰はリズミカルに藍子を突き、藍子の子宮の入り口まで、強くノックし、時に強引に押し付け、藍子の中を激しくえぐる。
荒い呼吸と、激しい動き。
最初は強すぎた刺激も、今では甘美な快感。
「ぁっ、はぁっ、アイ、アイ……!」
熱く激しく時間が流れ、藍子の声が、抑えきれずに頻繁に零れた。
だんだんと何も考えられなくなって、体が心ごと宙に浮いてしまいそうになる。
「アイ、くるかも、ぁっ、あぁっ! もうすぐ、くるかもっ!」
藍子の指が、雪彦の背を引っかく。
その声は陶酔しきったように濡れていた。
雪彦は藍子のその言葉に、再び冷静さをかなぐりすてて、獣の動きになった。
「ユキ、おね、がい! くっ、イッて! 早くイッて!」
全身を揺らすように、雪彦は自分の気持ちいいように藍子の体を弄び、腰をいっそう激しく動かし、藍子を蹂躙する。
「くっ、あっ、ぅんっ! ん! ぁっ!」
翻弄されながらも、藍子も快感を追い求めて、その動きに体を合わせる。
腰がうねり、藍子は自分から雪彦へと押し付ける。
女の熱っぽく柔らかい肢体が、男の下で艶かしく乱れた。
ペニスと肉襞が摩擦しあい、雪彦を、そして藍子をどんどん追い込む。
「ユキ、わたし、もう、もうだめ! イッちゃう、イッちゃうよぉ!」
「アイっ! ぅん、いい! おれ、も!」
藍子は強くあえぎ、快感を隠し切れない声で、急に声を鋭くした。
雪彦の肩に唇を触れさせ、藍子はそれ以上の声を押さえるように、彼にしがみつきながら短く叫んだ。
「イ、クッ!」
情感のこもった、切羽詰った藍子の声。
その声とともに藍子は全身で雪彦にしがみつき、秘肉は蠢いて男をきつくしめつける。
その藍子の体の熱さと激しさに、雪彦のペニスがはじけた。
「ユキ! すごい! ああ! でる、でちゃう!!」
これまで以上に強くペニスを突き入れられて、藍子の頭の中でも火花が散った。
「~~~~っ! ぁっ、あぁ!」
子宮が持ち上がるような感覚すら覚えて、藍子の体がビンと張り詰める。藍子は無意識に腰を浮かし、深い悦楽の中で、雪彦の肩に歯を立てた。
「っ、っ~~~~! っ、~~~~!!」
「ッ! ユキ! ユキっ!」
雪彦も柔らかい藍子の体を強く抱きしめて、何度も藍子の名前を呼びながら、強く押し付けるようにペニスを突き刺し、腰を震わせた。
藍子の膣は何度も強い収縮を繰り返し、ぎゅっと絞りたてるかのようにペニスにまとわりつき、奥へ奥へとくわえ込んで離さない。
散々我慢した分だけ、より強い絶頂。
熱い精液が、藍子の胎内を犯す。
射精を続ける雪彦も、それを感じる藍子も、そのたびに強い快感に腰を揺らす。
お互いがお互いに与える強い快感。
強く抱きしめ、抱きしめられる、その感触すべてが快感。
藍子の頭も真っ白に痺れて、体だけが震え、恋人が与えてくれるすべての快感を甘くむさぼった。
「はぁ……」
やがて雪彦は、ぐったりと力を抜いて、藍子の体にもたれかかった。
「ぁ……」
雪彦の肩から唇を離した藍子は、まだ体を硬直させたまま、甘い吐息を漏らす。
雪彦のモノはまだ力を失わずに、藍子の中で存在を主張している。
藍子は離れたくないとばかり、ぎゅっと男の背に回した腕を離さない。
藍子の膣も、男を離さない。深部まで男のものを包み込み、舐め回しているかのように、蠢く。
「ぁあ……、ユキ、すごい……」
「ぅん……、アイも……」
雪彦が顔を上げると、藍子の頬は朱色に染まり、瞳は甘く潤んで、どこか放心したようにうっとりと恋人を見返していた。
雪彦はそっと、藍子の唇に唇を重ねた。
「んっ……」
甘いキスを受けながら、藍子の体からゆっくりと力が抜けていくが、藍子はまだ深い悦楽の中を漂っていた。
雪彦もペニスが力を無くしかけるまで藍子を抱きしめて、恋人の熱く柔らかい体と痺れるような余韻に、甘く浸った。
それから一分もたっていないだろう。
雪彦のペニスが力を無くしかけると、藍子は嫌がるようにきゅっと膣に力をいれて、雪彦を強く抱きしめた。
「うっ、ユキ?」
強い刺激に雪彦がうめくと、藍子は頬を赤くしたまま、にっこりと微笑む。
ほんのさっきまでセックスの絶頂にいたとは思えないような、いまだに男のペニスを受け入れたままとは思えないような、艶っぽくも愛らしい笑顔。
「アイ、このまま、もう一回しよう……」
「え、え? ユキ、イッてないの!?」
「イッたよ。でも、もう一回、したい」
「…………」
「アイ、動いて……」
藍子は皮膚をかんでしまった男の肩にキスをし、そのまま首筋へと唇を這わせる。
雪彦はぶるっと体を震わせたが、藍子の秘肉がさらに絞り尽くすように蠢きつづけるのを感じて、強すぎる刺激に、腰を引いた。
「あっ」
藍子は甘く鳴いて腰がペニスを追うが、雪彦は素早く抜き去っていた。
ぎゅっと藍子の膣口が呼吸をするかのように動き、とろりと、精液が零れる。
「アイ、もう一回……!」
「ちょ、ちょっと待ってよぉ! す、スルのは、いいけど……、少し休憩!」
「抜かずの二発くらい、平気だろう?」
「や、やだ! ユキいやらしすぎ! そんなえっちなこというユキはきらいよ!」
「また学校でもしてあげるから。次はおれが上でやりたい」
「え、え、え」
藍子はにっこり笑うと、雪彦を押し倒しにかかる。
「今日はもう二回もしたんだから、今度はもっとゆっくり、しよう」
小さな舌で唇を軽く湿らせ、男の小さくなっているペニスに手を伸ばす。
ぶるっと体を震わせて文句を言う雪彦だが、逃げたりはしない。藍子はお構いなしに微笑んで、そこに唇を近づけた。
愛液と精液の混ざった、濡れたペニス。
上目遣いで雪彦を見て、早く元気になれとばかり、藍子は雪彦のそこを可愛がった。
翌日、朝。
一人の少女が、元気よくお隣の家を訪れていた。
「おはようございま~す」
「藍子ちゃん、おはよう」
「おはよう、藍子ちゃん。いつもすまないね、雪彦の奴、すっかり寝ぼすけになって」
「いいえ、これまでわたしが起してもらってたから、おあいこです」
藍子は元の自分の両親とにこやかに挨拶を交わし、一言断ってから、二階へと雪彦を起しにいく。
「ほんとは、おあいこどころか、今も昔も、起すのはおれなんだけどね……」
お互いの精神が入れ替わっていることを、だれにも気付かせなかったほどお互いになりきれる二人だが、一月もたつと雪彦はすぐさま朝寝坊を復活させた。
以前は低血圧を言い訳にしていたものだが、入れ替わってまでこれだというのは、どう考えても性格の問題である。藍子としてはやれやれという気分もないではない。
勝手知ったる元の自分の部屋へと入ると、ベッドでは雪彦が気持ちよさそう眠っている。
七月上旬、昨夜は暑かったからだろう、ブリーフにTシャツだけという格好で、だらしなさ全開だ。やたらと寝相はいいが、おなかにタオルケットだけかけている姿は、男というよりも、子供の姿を連想させる。
もっとも、しっかりとブリーフは隆起し、大人の朝を主張していたが。
藍子がカーテンを小気味のいい音をさせて開くと、さっと朝の光が室内に入る込む。
逆光が、藍子の体に微かなシルエットを作る。
白い半袖ブラウスに、紺色の腰スカート、赤いリボンという格好の少女。長い髪が、動きに合わせて優しく揺れる。
夏の朝の陽気を感じながら、藍子は改めてベッドに歩み寄る。
そこに眠るのは元は自分だが、慣れてしまったせいもあって、客観的に見るともう自分とは思いづらい。中身が「アイ」だと思うと、藍子としてはなおさらだった。
「アイ、迎えにきたぞ。起きろ」
「ん……、後十分……」
「十分も待てるか。置いてくぞ?」
「それは、だめ……」
「だったら早く起きろ」
「やだ……まだ眠い~……。ユキが眠らせてくれなかったからぁ……」
「……また人に聞かれたら誤解されそうなことを」
夕方には誤解が誤解でないことをやっているが、夜は夕方の分もみっちりと勉強をして過ごした。藍子は無条件に甘いだけの女の子ではないのである。
「ほら、起きろって」
男っぽいラインを描いているほっぺたに指先を当てて、つつーっと、首筋の方に動かす。
「や……。ユキ、やめて……」
藍子の手を振り払う雪彦に、藍子は「なんでおれは毎日こいつを起しに来てるのかなぁ」と、ちょっと苦笑いだ。
だが元々昔から、幼馴染の面倒を見るのが、藍子は嫌いではない。
去年までは、幼馴染の女の子を毎朝起す男の子だったのが、今では幼馴染の男の子を毎朝起す女の子。ベッドで寝ている雪彦も、幼馴染の男の子に毎朝起される女の子だったのが、今では幼馴染の女の子に毎朝起される男の子。
いや、今では藍子は恋人を起す女の子で、雪彦は恋人に起される男の子、というべきだろうか。
「ほんと、贅沢な奴」
藍子は呟いて、片膝をベッドに乗せる。
「今日は特別サービスをしてやるか……」
藍子が雪彦だった時、少し憧れていた事。
今ではしてもらうには立場が違うが、することはできる。
男の子が好きな女の子に起しに来てもらって、なかなか起きずにいると、普段は自分からはそんなことをしない女の子が、突然大胆な行動に出る。
そんな甘い、ベタベタなシチュエーション。
藍子は長い髪を片手で押さえて、雪彦の上に覆い被さるようにすると、そっと、その唇に自分の唇を近づけた。
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