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  • ハッピーメール【18禁】

ノウブル・ガール

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そのメス犬は、人間だった頃の夢を見ていた。
まだ自分が敬介という名前の人間だった頃の夢を。
恋人の有紀と笑い合いながらキャンパスの並木道を歩いてた頃の夢を。
有紀を抱きしめたと思ったとき、腕の中から有紀は消えていた。
そこで夢は途切れた。
夢のあとには現実が待ち受けていた。
薄暗く臭気に満ちた部屋に敬介は一人でいた。
現実では敬介は一匹のメス犬だった。
水で膨らませた風船のように肥大化した巨大な乳が、見たくなくとも目に入ってしまう。
うつぶせでうたた寝していた敬介の胸の下でクッションのように床に押しつけられていた乳房がじんじんと痺れていた。
無様に膨れあがった乳を腕で抱き寄せ、赤くなっている場所をペロペロと舐めた。
それがどんなに淫らで浅ましい姿か、いやというほどわかっている。
それでも“イヌ”にとっては悲しいほど自然な行為だった。
止めようとしても、体が勝手にその行為を続けてしまうのだ。
「うぅ……」
夢の中ではあれほど有紀と言葉を交わし合っていたのに、いまの敬介は簡単な言葉も喋れない。
吠えるか唸るか鼻を鳴らすかしかできない。
同じように犬に変えられた有紀は、とうの昔にどこかへ連れ去られてしまった。
ノウブルの“愛犬家”に売れたのだ、と詩織は言っていた。
有紀が男たちに綱を付けられて引いていかれていくとき、敬介はそれを見送ることすら許されなかった。
その場で敬介は尻を詩織のほうへ向けさせられ、発情したメス犬がそうされるように膣へ綿棒を出し入れされ、そんな屈辱的な方法で他愛もなくよがり声をあげ続け、ダラダラと洪水のように淫汁をこぼしていたのだ。
発情期で充血した花弁の奥へ詩織が綿棒を突っ込むたびに、敬介は望みもしない甘い快感に貫かれ、イッてしまった。

何度も何度も、心とは関係なく絶頂を迎えさせられた。
その遊戯は、詩織が飽きるまで続けられた。
敬介は何一つ、それに抵抗することができなかった。
男として有紀を守れなかったどころか、助けを求める有紀の前でみっともなく尻を振り立て、とろけきったよがり声を放っていたのだ。
身も心も本当のメス犬に堕ちた気分だった。
その日からどれだけの日々が経ったか、敬介に知るすべはなかった。
ただ、時折見る昔の夢がなければ、自分が人間だったということすら忘れてしまいそうなほど月日が経っていたのは確かだった。

敬介は四つ足で立ち上がった。
寝起きですっかり喉が渇いていた。
水の張られた皿は部屋の反対側だった。
(胸が、邪魔だ……)
四つ足で歩く姿勢になると、ひとかかえはあるほど大きく育ってしまった乳房がゆさゆさと揺れ、ゆっくり歩かないと上体のバランスを崩してしまうほどだった。
歩くため手を動かすたびに胸が腕にぶつかってこすれた。
そのたびに、淫らなメス犬の体は快感を覚えてしまう。
ぴちゃっ、ぴちゃっ……犬用の皿に直接口を近づけ、舌ですくうようにして水を飲む。
はねた水が乳房の表面に何度もはねた。
濡れた乳にも舌を這わす。
ぴちゃぴちゃと自分の胸を舐めているうちに、胸の芯がずきずきと疼いた。
重い胸を抱え上げ、しこった乳首を口に含んで甘噛みをすると、全身が痺れるほど気持ちよくなった。
「はぁ、はぁ……」
敬介は床のある一点から目をそらせないでいた。
そこにはにょっきりと木の器具が上向いて取り付けられていた。
床から生えた植物のように、ペニスの形を模した張り型が突き立っている。
その器具は数限りなくこすりつけられた淫液によって黒くてかりを帯びていた。

(くぅ……ダメぇ……こんな誘惑に……)
敬介の理性をよそに、熱くなってしまった体は欲望を満たしてくれる器具を求め、そこへ向かっていた。
(悔しい……よぉ……)
つぷぅっ。
必死に逆らおうとする心を嘲笑うように、敬介の体はいそいそと器具の上へ腰を沈めていた。
「きゃうぅぅ……」
明らかに甘い鼻にかかった声でメス犬が鳴いた。
ずぶ、ずぶぶ。
何度も、媚肉を器具こすりつけるように腰が上下した。
「あうぅ、あうぅぅっ、ううぅ!」
すっかりメス犬そのものになり尻尾をばたつかせながら敬介は腰を振った。
舌を突き出し、とろけきった表情で喘ぐ。
細い体に不似合いなほど大きな胸が無軌道に揺れた。
いつしか敬介の心は快楽の渦の中に溶けていき、ただ雌としての快楽をむさぼるため一心不乱に腰を動かし続けた。

「なあに?またサカってるの!?」
「アゥ……?」
少女の声が、敬介の理性を引き戻した。
いつのまにか、敬介を見下ろすようにして詩織がすぐそこに立っていた。
張り型に自ら貫かれ、ヨダレと愛液を垂らしている敬介の姿をおかしそうに眺めている。
(こんな姿を……!)
詩織がそこで見ているというのに、体の動きはすぐに止まってくれなかった。

詩織の目の前で、敬介は浅ましく腰を振り続けてしまった。
「ケースケって、本当はメス犬になって喜んでるんじゃないかしら?」
どんなに反論したくとも、出てくるのは獣の唸り声ばかりだった。
詩織の手が敬介の腹に当てられた。
外見的にはまだ目立たないが、敬介の腹は日ごとに丸みを帯びてきている。
「フゥゥ……」
「アハハ。
ケースケ、再来月にはまたママになるね」
詩織はおかしくてたまらないというように肩を揺らして笑った。
そう。
敬介は妊娠していた。
敬介の意思などお構いなしに体は母体としての準備を整えつつある。
腹は丸く膨らみ、胸の乳腺はきつく張って乳房をさらに大きくしていく。
望んでなどいないその変化を、敬介は受け入れるしかなかった。
「お前が最初に子犬を産み落としたときの顔、最高だったわ。
屈辱に顔を歪ませてるくせに、心のどこかでお前ったら、女の幸せを感じてたでしょう?」
敬介は首を振った。
だが、詩織の指摘は正鵠を射ていた。
異形の子を孕み、出産させられてしまったことをおぞましく思いながら、生まれてきた子たちを憎むことはどうしてもできなかったのだ。
この出産で乳房はいまの大きさにまで膨らんでしまった。
三匹の子供たちに乳を吸われると、奇妙なほどの幸福感に満たされた。
その幸福感が詩織の作為のもとで与えられた偽りの感情だと知りつつも、敬介はそれにすがった。
子供たちは人間ではありえない早さで成長していった。
そこには詩織の力が働いていたのだろう。
数ヶ月も経った頃には、一人の男の子と二人の女の子は、思春期の男女の外見になるまで育っていた。
女の子たちは敬介によく似ていた。
彼女たちもまた有紀と同じように、ある日、使用人の男たちに部屋から出され、敬介の知らないどこかへと連れて行かれた。
敬介の産んだ子のうち男の子だけが残った。

その子に人間の言葉で話しかけられないことが敬介は悔しかった。
奇妙に平和な日々を経て、事件は起きた。
敬介の子が発情期を迎えたのだ。
狭い部屋の中で男の子の欲望が向かう先は、メスである敬介の肉体しかなかった。
敬介は精一杯抵抗したが、性欲をもてあます我が子に捕まり、背後から犯された。
敬介もまた、メスとしての発情期を迎えていたのだ。
ペニスを挿入されると、肉体は歓喜に震えてそれを迎え入れた。
自分の腹から産まれた子に犯される──。
詩織がオスの子と敬介を一緒に飼っていたのは、この状況を作り出すためだったのだと敬介はようやく悟った。
(ダメだ……この子の精で妊娠するのだけは絶対ダメだ──!)
メスの肉体を知った若いオスは、飽きることなく敬介を求めてきた。
悲しいかな、発情期の体はそんなオスの欲求を受け入れ、それどころか牡の臭いを嗅いだだけで狂おしくそれを求め、気がつけば尻をすりつけるようにして誘っていた。
有紀に犯されたときと同じように、繰り返し敬介の胎内で濃い精液が放たれた。
一縷の願いも虚しく、敬介は我が子の精を受けて妊娠してしまった。
発情期を過ぎると同時に、男の子もまたどこかへ引き取られていった。
近親相姦の子を孕まされた敬介だけがたった一人で残されたのだ。

無防備な乳房をむんずと掴まれた。
「うぅ……」

「やっぱり獣だよね。
自分の子と繋がっちゃうなんて。
フフ、ケースケのオッパイ、こんな大きくなっちゃて。
今度は子犬、何匹生まれるのかな?ほっといたらケースケ、また自分の子とセックスしちゃうのかな?このままじゃハムスターみたいにどんどん殖えちゃうね。
キャハハハハ!」
敬介は耐えられず、涙を流した。
なにより、詩織の言葉が真実なのが悲しかった。
また発情期を迎えてしまえば、敬介がどんなにその行為を忌み嫌っても、再び我が子相手に欲情し、犯されて尻を振ってしまうだろう。
詩織は敬介の首輪に綱をつけ、敬介を外に引っ張った。
「今日はお友達を呼んでるの。
あたしの飼い犬であるケースケを自慢しなくちゃ」
綱を引かれるまま、敬介は付き従った。
大きすぎる胸が無秩序にバウンドし、何度も腕に当たって四つ足での歩行を妨げた。
廊下ですれ違う使用人たちは一様に蔑むような目で、イヌに堕とされた敬介を見た。
ごく稀に詩織はこうして敬介を外へ連れ出すが、哀れなメス犬と化した姿を人々に見られることは、暗い部屋に閉じこめられるのと同じくらい苦痛だった。
玄関から続きになっている広間の壁際には高名な博物館から寄進されたルネサンス期の彫刻が並んでいる。
それらに混じって、生きた裸の女が壁から「生えて」
いた。
下半身と両腕の肘から先が壁に埋められ、女は生きたオブジェとして白い裸身を晒している。
詩織がその女へ手を差し出すと、女は夢中でその手に唇を押し当て、口づけた。
オブジェに言葉は不要なのか、女の喉から声が出ることはない。
詩織はクスッと笑うと、褒美とばかりに女の乳房を指で撫でた。
女は無声のまま白い喉を震わせてその愛撫を受けた。

「ご覧、ケースケ。
これはね、ノウブルとそれ以外の人間が平等だなんて愚かしい思想を民衆にばらまいた男の成れの果て。
軍隊を率いればノウブルに互角の戦いを挑めると思ってたのよ。
フフフ。
反乱に加わった何万という人間は処刑されたけど、首謀者だったこいつはお誂え向きのオブジェとしてこの館に置かれることになったの。
あたしが産まれるより前のことね。
力に屈しても信念だけは揺るがない、なんて偉そうなことを言ってた男が、女に変えられ、性感覚を一〇〇倍程度になるよう肉体をいじられただけで、あっけなく屈服したのよ。
精神は一切いじらなかったというのに、たった三日で堕ちたって聞いたわ。
それ以来、こいつはこの広間で、ノウブルたちの目を楽しませるオブジェになってるの」
オブジェの女は、増幅された快感を与えられ、動けない体をわななかせる。
狂ったようによがりながら、女の瞳の奥には決して表に出すことを許されない哀しみの色が宿っていた。
哀れなオブジェと化したまま、それでも自我をなくすことだけは許されていないのだ。
オブジェは見せしめですらなかった。
純粋な酔狂であり、歪んだ“芸術”なのだ。
かつて人間が“神”と呼んだ存在に近しい力を持つノウブルたちにとって、ことさらに見せしめによって民衆の反抗を抑え込む必要性はない。
暴動が起きれば、それは力のない人間たちを嬲るいい口実になるだけなのだから。

館の玄関から庭に出ると、茂みへと連れて行かれた。
「ほら、ケースケ。
ここでオシッコしなさい」
詩織は茂みを指さした。
「アゥッ!」
(そんなことさせないでくれ!)
詩織は命令にノウブルの力による強制力を含ませていた。
敬介の思いとは裏腹に、体は主人である詩織の命令に従っていた。

突如としてこみあげてくる尿意にブルリと震える。
(ああ……我慢できない……)
尿意がせっぱつまってくるにつれ、敬介は自然とメス犬の排尿の姿勢をとっていた。
尻尾を巻き上げ、腰を低くする。
歯を食いしばって死に物狂いで抵抗したのも虚しく、股間の割れ目からちょろちょろと黄金色の液体がほとばしった。
尿道口から直接温かい液体が迸る感覚は、否応なくこの肉体の性別がなんであるかを敬介に伝えてくる。
敏感になった臭覚が、まぎれもない雌犬の尿の臭気を嗅ぎ分けた。
その尿の匂いは、妊娠した雌のものに間違いなかった。
(こんな場所で放尿させられるなんて……)
「あら、イヌのくせに恥ずかしいの?いまさらよねえ。
こんな西瓜みたいなオッパイをブラブラさせてる時点で充分恥ずかしいってわかってる?」
敬介の心を読み、詩織は追い討ちをかけた。
自らを辱めるように、タプンッと胸が揺れた。
「アアゥ……ゥゥゥ」
「オシッコもすんだみたいだし。
行くわよ、ケースケ」
詩織は手綱を引き、広大な庭園の中にある湖へと向かった。

まるで観光地のように美しい湖畔の風景だった。
エメラルドグリーンの湖面を渡ってくる風は涼気を帯びていてさわやかだった。
温かい陽射しに草の緑が映え、木陰には丸太を割って作られた野趣のあるベンチがしつらえられていた。
肉や野菜を焼く香ばしい匂いがしていた。
久しく嗅いだことのない人間の食物の匂いだった。
自然と敬介の口中に涎が溢れてくる。

ベンチのそばにバーベキューセットが持ち出され、何人もの男女がそのまわりで談笑していた。
普段、館を訪れるノウブルたちとはどこか雰囲気が違う。
彼らが、館の外の世界にいる普通の人間たちのように敬介には思えた。
詩織はその男女のもとへと敬介を引っ張っていく。
「ついておいで」
と一言いわれただけで、ほかの選択肢はすべて奪われ、唯々諾々と引き綱に従って歩くほかなかった。
敬介は何も考えるまいとして、地面だけを見ながら詩織につき従った。
目に入るものといえば、やわらかな草と、卑猥に揺れ動く自分の乳だけだった。
やがて詩織がぴたりと足を止める。
笑いを含んだ声で詩織は言った。
「ケースケ。
顔を上げてごらん」
「……?」
思わず前方を仰いだ敬介は、心臓が止まりそうになった。
「ウッソー。
ほんとに敬介君なのォ?」
「おいおい。
こりゃまた見違えちまったな!」
「でも、なんとなく面影残ってるよね、顔つきとか」
「よう、敬介。
久しぶり!」
「ハハハ、話にゃ聞いてたけど、実際に見ると傑作だな!耳と尻尾つきでおまけに爆乳かよッ!」
敬介は目を大きくみはったまま、立ちすくんだ。
震えが止まらずかちかちと歯が鳴った。
目の前に立つ男女はみな、敬介の在籍していた大学の研究室の人間だった。
中には助手の女性もいた。
ごく身近に付き合いのあった者たちが、薄笑いを浮かべて敬介を見下ろしていた。
「あ゛、あ゛あ゛あ゛あ゛……」
「静かになさい、ケースケ。
お前がこの館にきたあと、この人たちはあたしの友人になったのよ。
今日はせっかくのバーベキューパーティーだから、メス犬になったケースケをみんなに見てもらいましょうね」

「アーゥ、ウウウッ!」
愕然として敬介は首を振った。
「ケースケ、お前、イヌのくせに、もう一度人間の言葉を喋りたいっていつも願ってたでしょ。
一回だけ、その望み、叶えてあげるわ」
敬介は詩織がなにかしらの力を自分に向けたことを悟った。
「ほら、御挨拶!」
「アウッ!」
首輪を掴まれ、無理やり上体を引き起こされた。
膝をついた「後ろ足」
だけで立つ、イヌの“ちんちん”の姿勢だった。
ふらふらと安定しない状態が、首輪を掴んだ手で支えられている。
次の瞬間、敬介の中で強い衝動が生まれた。
絶対に逆らうことを許されない神の声のような強制力に支配され、敬介は口を開いた。
「あ……私は人間だった頃、生意気にも詩織様に逆らってしまったので、躾のために詩織様によって女に変えていただき、さらには卑しいメス犬に変えていただきました」
すらすらと言葉が出た。
暗い部屋の中で気が狂うほどあがいてそれでも叶わなかった願いが、ひどく歪められた形で、詩織の力によってあっさりとかなったのだ。
口から出るのは、自らを限りなく貶める言葉だけだった。
「メス犬になった私は、孕んで子供まで産んでしまいました。
い……いまも妊娠してます。
オッパイもこんなに大きくなって、イヤラシイ体になりました。
どうか、愛玩用のペットに成りはてた私を心ゆくまで見ていってくださいませ…………うぅぅぅ……」
口上が終わった瞬間から、人語を喋る能力は取りあげられていた。
静まりかえって敬介の口上を聞いていた仲間たちのあいだで、ほうと誰からともなくため息が聞こえた。
「すごい!よく躾られてますね!」
「えへへ。
淫乱なメス犬にしてはお利口さんでしょ、ケースケ」

「ハハ、そりゃま、人間だった頃は研究室の中でも将来有望っていわれてたくらいだからな」
「それがいまじゃこの有様か。
ばかだねぇ、詩織ちゃんにたてついたりするから」
嘲笑を浴びせられ、敬介は顔をそむけた。
だが、顔はそむけることができても、巨大に成長した胸の球体はこれみよがしに知己たちの前に晒されたままである。
男たちの目は食い入るように胸へと注がれている。
いや、女たちも半ばあきれたような顔をしながら胸に注目していた。
(こんな姿を見られるくらいなら……死んでしまいたい……)
敬介ははっとした。
じくじくと股間が濡れ始めていた。
視線に晒され羞恥心を感じることで、感じてしまったのだ。
詩織が首輪から手を放すと、敬介は上体を支えられずイヌとしての姿勢に戻った。
手をついた弾みで大きく胸が波打って、それを見ていた男たちが歓声をあげた。
首輪から手綱が外された。
詩織がよそ見をした隙に敬介はその場から逃げ出そうとした。
「ケースケちゃん。
おいで♪」
助手として敬介の研究を手伝ってくれたこともある女性が、敬介の名を呼んだ。
その途端、逃げだそうとしていた敬介の足が止まった。
(え……?)
何が起きたのかわからないでいるうちに敬介は助手のもとへと走り寄っていた。
頭の上に手が置かれる。
「あは、きたきた。
可愛いね。
こら、元男だったくせにあたしよりおっきいオッパイってどういうつもり?」
「あ゛……」

乳房を指で突っつかれると、重量感のあるそれはたぷたぷと揺れた。
揺れるたびに、さざ波のような官能が体を駆け抜けていく。
「おいで、ケースケ」
今度は男の学生に呼ばれた。
いましがたと同じように敬介は、声のしたほうへ向かっていた。
「よしよし、いい子だ」
男に頭を撫でられると、敬介の中に奇妙な感情が沸き起こった。
有り得ないはずの安心感と目の前の人物に甘えたい衝動だった。
(詩織がオレの心をいじって……!)
そう頭で理解しても、その強烈な感情に逆らうことは不可能だった。
「くぅん……」
反吐がでるほど甘えた鼻声が出る。
イヌの尾をばたばたと振ってしまう。
自由を求めて逃げ出すどころか、かわるがわるにかつての仲間に呼ばれるたびに嬉しそうにそちらへ駆け寄ってしまう。
かつての学友がギラついた目をして乳を掴み、こねてくるのがたまらなく嫌なはずなのに、頭を撫でられると強制的にその相手への信頼感が植え付けられてしまう。
それを知っているのか、研究室の仲間たちはかわるがわる敬介の乳をこね回し、敬介がそれから逃れようとすると頭を撫でる。
「はぁ……はぁ……ンンッ、ン、クン」
何度も優しく撫でられると、それだけで達してしまいそうになった。
秘所からとろとろと蜜がしたたり、草にかかった。
つぷり、と誰かの指がそこに差しこまれた。
「ひんっ……!」
頭を撫でられている敬介はそれに逆らうことができない。
いいように指を掻き回され、それに応えて甘い声で鳴いてしまう。
ぐちゅぐちゅぐちゅっ。
熱くなった蜜壺に誰かの指が付け根までもぐりこみ、敬介の内側を掻き回した。

「あ゛あ゛あ゛あ゛……ひぅぅんっ」
指に操られるように敬介は尻を揺らし、はぁはぁと舌を突き出して喘いだ。
「あーあ。
将来を期待されてた秀才もこうなっちゃ台無しよね」
「エリ、お前すごい勢いで掻き回すのな」
「だぁーって。
こいつ、昔、私に言ったのよ。
女は研究には向かない、なんてさ。
バーッカみたい。
偉そうなこといってた自分が女どころかいやらしいメスになっちゃって、いまどういう気分かしらね?」
敬介の頭を撫でていた手が離れていった。
敬介の心を無理やり縛っていた強烈な幸福感と安心感が一気に消え失せた。
ぐちゅっぐちゅっ!エリは容赦なく指の抽送を繰り返した。
「あ゛っ、あ゛っ!」
「ホラホラッ。
答えられるもんなら、答えてみなさいよ!フン、呆れちゃうわよね。
高いところから女を見下してたあんたが、ちょっとノウブルに体を作り替えられたくらいでこんなに淫乱に腰振っちゃってさ。
なあに、お●んこなんてHな汁でベトベトじゃない?そんなにあたしの指が気持ちよかった?」
指戯から逃れようと、敬介は火照りきった体を前に進めようとした。
「どこ行くの?──おいで、ケースケちゃん」
「ううーっ!」
おいで、と言われた瞬間、敬介の体は敬介を裏切り、エリに尻を押しつけるように後退を始めてしまった。
蜜壺を責めるエリの指の動きがいよいよ激しくなる。
快楽の器官を、その仕組みを知り尽くした同性に嬲られ、敬介は逆らうすべもないまま一気に高みへ押し上げられてしまった。
ずうん、と下腹の底から快感が押し寄せてくる。
「見て。
こいつ、メスそのものって顔になってるわ!」
「本当だな。
はぁはぁ舌出して快感に溺れきってやがる」

(ちがう……ちがうんだ……オレはこんな快感を望んじゃいない!)
敬介の心の叫びを押し流してしまうほど、ひときわ強い快楽の波が押し寄せた。
くちくちゅ、ぐちゅうっ!エリが指を二本、根本まで押し込み、思いきり蜜壺の中で暴れさせた。
「────!!!」
抵抗すらできないまま、敬介は強制的に絶頂を迎えさせられた。
かつての知己たちが守る前で、敬介ははしたなく愛液と涎を垂らし、何度も寄せては返すエクスタシーの波に身をわななかせた。
どっと笑い声が降り注いだ。
皆、敬介がイカされる様を拍手喝采して囃し立てた。
「あーあ。
獣らしいイキっぷりね。
お前のおかげで指がべとべとだわ。
お舐め」
エリが敬介の顔の前に、愛液でぬらぬらと光る指を突き出した。
それから顔を背けようとしたとき、頭を撫でられた。
途端に、逆らうことのできない安堵感で心が満たされ、敬介はクンクンと鼻を鳴らしながら差し出された指に舌を使っていた。
己の愛液にまみれた指をきれいに舐めていくことがたまらなく誇らしいことに感じられた。
「あはは。
あの生意気だった男をこんなふうに好きに弄べるなんて、最高。
ノウブルってやっぱり凄いわね、詩織ちゃん」
「えへへ。
それほどでもないよ」

本来の感情を取り戻したとき、それまでの幸福感の反動が一気に押し寄せた。
あれほど自分を辱めた相手に文字通り尻尾を振って体をすりつけ、甘えてしまった自分があまりにも惨めだった。
「ねえ、みんな。
ケースケのビデオを見てみない?」
「メス犬としの成長の記録?そりゃあ、面白そうだ!」

詩織の提案に皆は口々に賛同した。
詩織が指を鳴らすと、空中に画像が映し出された。
それは敬介が人間の女から“メス犬”に変えられるときの映像だった。
詩織の能力によって再現されるその映像はホームビデオで撮ったもののように鮮やかにそのときの情景を映し出していた。
同じく犬に変えられた恋人・有紀に犯される様子が鮮明に映し出された。
「発情期だからって、自分からケツ振って誘うかねえ。
元が人間の男とは思えないよ。
こいつの本性って、実は最初からメス犬だったんじゃないの?」
「うふふ。
そうよねえ。
それしか考えられないわよねえ」
いたたまれなくなり、敬介はその場から少しでも遠ざかろうとした。
かちゃっ。
いつのまにか首輪に手綱が繋がっていて、詩織にそれを強く引かれた。
「ケースケ。
ここに立ちなさい」
敬介の体はひとりでに動き、詩織が指さした場所で四つん這いのまま立ち尽くした。
「あ゛!?」
敬介は己の身体に訪れた変調に気付いた。
乳房がジンジンと熱く痺れ、乳頭の中心が鋭く疼く。
敬介はその感覚を知っていた。
(あああ!これ……母乳が……出るときの……!)
有紀の子を産んだときも、自然と乳房がいまの状態になり、母乳が分泌された。
詩織に体をいじられたのだろう。
敬介の大きな乳房の先端で、乳頭に白い雫が結んだ。
(いやだあああ!!)
「お前にはしばらくミルクスタンドになってもらうわね」
「うーっ、うーっ!」
「え、なあに?人間の言葉でいってくれないとわからないわ。
クスッ」

空中で再生される“ビデオ”は、オス犬に変えられた有紀との獣欲にまみれた日々を映し出していた。
皆、その映像を見ながら、ときおり敬介を言葉でいたぶる。
「恋人だった女のペニスを挿入されるのはどんな気持ちだった?」
と、敬介が忘れようとして忘れられない屈辱を掘り返すのだった。
「みんな、喉かわいたでしょ?ケースケにミルクスタンドになってもらったわ。
ケースケのオッパイの下にコップを持っていって、こうして乳首をしごくと新鮮なミルクが出るわ」
「くんっ!」
香りは言葉と同時に実演してみせた。
詩織の小さな指が乳首を摘むと、ペニスの先端を愛撫されるのにも似た強烈な快感に貫かれた。
きゅっ。
乳首を一度しごかれただけで、詩織の持つコップめがけて熱い液体が乳頭の先端から迸った。
張り詰めた乳房の圧力で、勢いよく白いミルクが注がれた。
「アハッ!ほら、出た」
今度は反対側の乳首をつままれると、そちら側からもミルクがしぶいた。
敬介の意思に関わりなく、いまや敬介は生きたミルクスタンドにされてしまったのだ。
「どれどれ」
かつては敬介と机を並べて学んだ友が、相好を崩して近づいてくると、敬介の乳房をきゅっと掴んだ。
とても片手では掴めない胸のサイズである。
男の手が乳房に埋もれたようになった。
ぽたぽたっ……ミルクの滴が乳頭からこぼれた。
「へえ。
甘いいいニオイじゃん!」
「あぅ、うぅ、うぅ!」
詩織の強制的な命令によってその場を動けない敬介は、精一杯男を睨んだ。
「そうやって睨んでも、乳は出るんだよな」

乳首をしごかれると勢いよくミルクが溢れ、男のコップに収まった。
強烈な射精の快感にも似た感覚に襲われる。
射精ならまだしも自分の意思でこらえることができるのに、乳房が張り詰めるほど一杯に溜まった母乳は、乳首を軽くしごかれるだけでとめどもなく溢れてしまう。
「俺とお前は学科でもいろいろ比べられたりしたよな。
そんなライバルがまさか、でかいをユサユサ乳揺らすだけのミルクスタンドになってるとはな。
ハハハッ、さてビデオ上映会に集中するかな」
「ケースケ。
お前も自分の恥ずかしい記録、しっかり見なさい」
「あ゛……う゛う゛……」
詩織に命令されると、空中に映し出された映像から目を逸らせなくなった。
映像は、有紀が連れ去られた日のものだった。
有紀が悲しそうな顔をして黒服の男たちに綱をひかれていく傍らで、敬介は詩織によって発情期の躰を弄ばれ、焦点の合わない目で涎まで垂らしてよがり狂っていた。
熱くはれぼったい花弁に綿棒を差し込まれ、それを抜き差しするだけの単純な作業によって、よがり狂わされていた。
その姿は発情期のメス以外のなにものでもない。
「プライドってもんが少しでもあれば、ああはならないわよね」
「おいおい、こんないやらしいメス犬にプライドなんてあるわけないだろ?」
映像を指さし、知己たちはどっと笑った。
「こら、ケースケちゃん。
ミルク出せ」
エリは敬介の尻をぴしゃりと叩くと、その余波で揺れる乳房の下にコップを構えた。
きゅっ、きゅっと乳首をしごかれるたびにミルクが飛び出し、射精の何倍もの甘い快感を胸に感じた。
生きたミルクスタンドと化した敬介はせめて感じてしまってるところだけは見せまいと唇を固く引き結び、声を出さないように耐えた。
上映される映像の中では、敬介の腹が日ごとに大きくなっていく様が映し出されていた。

有紀とのセックスによって妊娠してしまった結果だった。
敬介は下腹の張りをかすかに意識した。
いまも二度目の妊娠を迎えている。
あと一月もすれば、映像の中のように、大きく腹がせり出してくるだろう。
否応なく日ごとにせり出してくる下腹のふくらみは、どんな言葉よりも強烈に、自分が女でありメスであることを突きつけてくる。
どんなに自分が本当は男だったと言い聞かせても、孕まされ子を宿してしまった身重の体になってしまうと、自覚せざるをえなかった。
自分が“メス”になってしまったことを。
上映は進んでいく。
やがて映像の中の敬介は、四つん這いになっていて下腹が床につくほど大きくなってしまった。
胸が肥大化を始めたのもこの時期だった。
ぼってりと丸くふくらんだ腹だが、奇妙なほどエロティックだった。
(もうしばらくしたら、またあんなふうに……い、いやだ、いやだぁぁぁ!!)
腹が重くなって、歩き回ることすら困難になった身重の時期のことをまざまざと思い出させられ、敬介は心の中で叫んだ。
「うわぁ。
ぽってりお腹ふくらんじゃって。
お腹を気づかって動いてるとこなんて、母性本能よねえ」
「はは。
中出しされて腹ボテか。
ケースケちゃんが人間の言葉を喋れるんなら、ぜひ感想を聞いてみたかったとこだよな」
「オッパイもまあ恥ずかしいくらい大きくなっちゃって」
「その恥ずかしいオッパイからミルクのおかわりをもらうとするかな」
敬介の乳房は荒々しくしごかれると、無尽蔵とも思えるほどの母乳を放出した。
「ぅぅ……ッ!」
胸を絞られるたびに甘い快感が縦横無尽に身体を駆け抜けていく。
ミルクを絞られるという辱めを受けているのに、敬介の躰はいやらしく反応してしまう。
股間はいまも愛液で熱く濡れていた。
映像が切り替わり、三匹の子犬に囲まれた敬介の姿が映し出された。

子犬は二匹が女の子で、一匹が男の子だった。
生まれた子は敬介や有紀の歪められた姿を受け継いだ、人犬の異形だった。
だが、産み落とした我が子を厭う気持ちにはどうしてもなれなかった。
母性本能といわれるものを敬介ははっきりと自覚した。
よちよちと歩く子犬たちを見ると、敬介はいっとき自分の身の上を忘れ、子を愛する母親の気持ちになりきっていた。
少しでも子犬たちを清潔にしてやるため体を舐め回してやったりもした。
子供たちが甘えてすりよってくると、親としての愛情で胸がいっぱいになった。
自分の子供たちに乳を与えることには、なんの嫌悪感もなく、むしろ誇らしい気持ちさえした。
詩織の仕打ちを恨む気持ちは変わらなかったが、罪のない子供たちまで憎む気にはなれなかったのだ。
敬介は心の中で、子供に名前をつけていた。
ユキナ、サユキ、ユウジ。
そう命名していた。
「へえ、母親の顔になってるなあ」
「母性本能ってすごいな」
床に伏して子犬たちに乳を含ませる敬介の姿を映像でみて、皆、それぞれに感想を口にした。
子犬たちはたった数ヶ月で、人間でいえば中学生ほどの外見に育った。
そして、最初にゆきなが、次にさゆきが連れられていった。
残された男の子が時折、妙に切なそうに自分を見ていることを敬介は知っていた。
その年頃の男の子が持て余す性欲の強烈さも知っていた。
“イヌ”の発情期の自分の意思ではどうにもできないほどの性欲も知っていた。
それでも敬介はまさか、と思っていた。
ユウジ、と心の中で読んでいた男の子はまだ顔立ちにあどけなさを残していて、てんで甘えん坊のはずだつた。
だが、ある日、水を飲んでいる敬介の後ろから、ユウジが声もなくのしかかってきた。
その様子が、映像として皆の前で流されていた。
顔をそむけたくても、詩織の命令が敬介を縛っていた。
我が子に犯されるという忌まわしい場面を、敬介は映像で追体験させられた。

犯され、抵抗していた敬介の表情が次第に快楽に喘ぐメスのそれになっていくと、失笑や苦笑があちこちで聞こえてきた。
(違う!あれは、この体が発情期になってたから!)
必死で否定しようとする敬介の心をよそに、そのときの狂おしいほどの官能が甦ってきて体は熱く火照った。
すでに充分濡れていた秘所にさらにとろとろと蜜がしたたった。
映像の中で敬介が自分の息子によって精を注ぎ込まれるのと同時に、現実の敬介も軽いアクメを迎えていた。
「フフ。
このときのセックスで見事、ケースケは近親相姦の子を孕んだわ。
まだ目立たないけど、来月にでもなれば自由に動けなくなるくらいお腹も大きくなってるわね。
そうしたら二度目の出産だね。
おめでと、ケースケ!」
「おお、おめでとう!」
「あははははっ、おめでとう。
元気な子産みなさいよ!」
ようやく上映が終わったとき、敬介は俯いた。
言葉にならない思いが涙となって溢れてきた。
「男の人でムラムラしちゃった人いるかしら?ケースケで性欲処理していっていいわよ」
詩織がそう言うと、男たちは顔を見合わせた。
「ほら、ケースケ。
ちゃんと、お尻高くあげて!」
(や、やめろぉ!もう、もう充分だろう!?)
敬介は詩織を睨みながら、命令には少しも逆らうことができず従順に腰を高く突き出した。
「忘れたの、自分がメス犬だってこと?イヌは人間の役に立たなきゃね?」
詩織は敬介の乳房を指先でこねくりながら囁いた。
「あ……う……」
乳首からぴゅっ、ぴゅっと母乳が迸る。
「うぅぅ、うぅっ!」
「アハ。
嬉しいんだ?」

「ねえ、詩織ちゃん。
その、中出しはやっぱまずい?」
「馬鹿ねえ。
そいつ妊娠してるんだから、いまさら中出ししたって平気じゃない」
「うん、お姉ちゃんのいうとおりよ」
詩織は頷く。
「それに、ケースケはイヌだもん。
たとえいま妊娠してなくても、人間の男とのセックスじゃ、子供はできないよ。
遺伝子からあたしが作り替えたんだもん」
(そんな!人間とのセックスで子供ができない……)
「なんでショック受けた顔してるの?自分がまだ人間だと少しでも信じてたの?バカねえ。
人間に発情期なんてないでしょ。
もう少し自分が人間に飼われるだけのペットだってことを自覚しなさい」
そのとき敬介の背後で震える男の声がした。
「俺ちょっと、ヤラせてもらうわ……」
「ええ。
どうぞ。
ケースケも早くきてほしいって」
「あ゛……うぅ、う゛うぅぅ!」
首をひねって背後を向くと、男がズボンを下げるところだった。
男の赤黒いペニスはすでにそそり立っていた。
(やだ、いやだぁ!知り合いの男に犯されるなんて、そんな屈辱……うあああっ!?)
尻を鷲づかみにされたかと思うと、ずぶりとペニスが侵入してきた。
詩織に縛られた身体は逃げることを許されず、それを唯々諾々と受け入れてしまう。
すでに大量に分泌されていた蜜によって、男のペニスはスムーズにピストン運動をした。
「あ゛っ、あ゛っ、あ゛あ゛ーっ!」
たちまち身体を貫いた電流のような快感に敬介は舌を突き出して喘いだ。

激しく腰を使われるとその震動がむき出しの胸の双球にも伝わり、ゆさゆさと大袈裟に揺れた。
はずみでこぼれた母乳の滴がぽたぽたと地面に落ちた。
「へへ、これも獣姦になんのかね。
でもま、気持ちいいからいいか。
ケースケ、遠慮なく出させてもらうぜ。
受け取れよ」
「う゛ーっ!」
どくっ、どくっ、どくっ……敬介の乳首からしたたるミルクと同じ色の液体が、蜜壺の中を満たした。
「ふう。
やっぱオナニーより気持ちいいな。
また今度、使わせてもらうぜ」
男が離れていくと、敬介は詩織の命令によって股間に逆流してきたザーメンを舐め取ることを強いられた。
それが終わると、次の男が敬介を犯し、精液を放った。
結局、すべての男の精を敬介はその身に受け止めることになった。
そればかりか、女の一人も詩織に申し出て、黒光りする凶器のようなディルドーを受け取り、敬介を貫いた。
かつて口論になったときに敬介が売り言葉に買い言葉で「女は研究に向かない」
といってしまった相手だった。
「あっ、あっ、あぅぅんっ……」
「かわいい声で鳴くのね、ケースケちゃんは。
ふふっ、女は研究に向かないですって?でも、お前みたいないやらしいメス犬じゃそれ以前の問題よね?ほらほら、女の私に玩具で突かれてイッちゃいなさい。
淫乱なメス犬らしく大声でよがりなさいよ!」
敬介は歯を食いしばって責めに耐えようとしたが、激しい腰使いの前にあっけなくイカされてしまい、仕上げとばかり乳をしぼられて自分の母乳を大量に顔にぶちまけられた。
「ああ、すっきりした」
屈辱と涙にまみれてうずくまる敬介を後目に彼女は後ろへ下がった。
涙とミルクの混ざったものが敬介の頬の上を流れていった。
秘裂には愛液まみれのディルドーが乱暴に突き刺されたままだった。
その哀れな姿をかつての友人たちは笑いながら携帯のカメラで撮影していた。
彼らの意識の中で敬介はもはや人間ではないのだった。

その晩、敬介は、餌の皿に口をつけなかった。
餌に背を向けうずくまっていると、女の使用人が皿を下げにきた。
敬介の世話を担当している痩せぎすのメイドだった。
「ケースケ、お座りなさい」
メイドに命じられると、敬介はそれに逆らえなかった。
のろのろと身を起こし、イヌのお座りの姿勢でメイドを見上げた。
いつもこうして敬介を言葉で拘束してから、餌の残りを捨てたり、水を取り替えたりするのがこのメイドの役目だった。
敬介はうつろな目でメイドが仕事を終えて出て行くのを待っていた。
すると、メイドは何げない素振りで皿を持ち上げながら、低い声で敬介に話しかけてきた。
もちろんそんなことは今までなかったことだった。
「あなたを逃がしてあげるわ」
「!?」
敬介は自分の耳を疑った。
「今夜、詩織様はいま外出されてるわ。
いまのうちにお逃げなさい」
メイドが敬介の首につけられた革の首輪に触れると、首輪は空気に溶けるように消えてなくなった。
(この力は!)
「ええ。
ノウブルの力よ」
メイドは言った。
「私の父はノウブルだったのよ。
私は半分だけその力を受け継いだの。
詩織様に比べたら、ごく弱い力だけど。
私の力で一時的に詩織様の現実干渉を中和できるわ。
完全には中和できなくても、あなたがこの館を逃げ出すには充分なはず」
(そんなことをしたら君が詩織に……)
「私のことは心配しないで。
うまくとりつくろう方法はあるから。
さあ、立って」
促されて、敬介は立ち上がった。
少しよろめいたが、敬介は二本の足で立つことができた。
久しく忘れていた感覚だった。
「立てる……!それに言葉も!」
「本当はあなたの本来の肉体に戻してあげたいけど、私の力じゃ改変された肉体の組成までは操作できないの。
待って、その格好で外は歩けないわね」
メイドが目を閉じ、そっと敬介に触れると、敬介の体を黒っぽい靄が包んだ。
靄は凝縮して幾重もの黒い紐となり敬介の体に巻きついた。
紐同士が融合するように変化して、服の形をとっていった。
ブラウスの上にタイトスカートとジャケットのスーツ姿で、会社務めの女性風の服装が敬介に着せられた。
メイドの指が敬介の唇に触れると、赤く鮮やかなルージュがそこに引かれ、丁寧なメイクが顔全体に施された。
イヌの尾は服の下に隠され、耳も髪に埋もれて目立たなくなった。
スーツの上からでも異様に目立つ胸の大きさを除けば、敬介は颯爽としたキャリアウーマン然とした姿になっていた。
「いまからあなたを館の外へ送るわ。
私にできるのはそこまで。
あとはあなた次第。
私の力は真夜中までには切れて、あなたは元に戻ってしまう。
それまでに詩織様に見つからないところまで逃げて。
詩織様から離れていれば、時間はかかるけどいつかは詩織様の強制力も薄らいでいくはず」
「ありがとう……なんてお礼を言ったらいいのか……」
メイドは微笑んだ。
「私は半分は人間だもの。
ノウブルの気まぐれで同じ人間が苦しめられるのを見てるのは辛いから」
「だったら君も一緒に──」
メイドの面に寂しげな表情が宿ったのを見たと思った瞬間、敬介の周囲の光景が一変した。

敬介は一人で館の壁の外に立っていた。
外灯に照らされた影が長く伸びていた。
メイドは、敬介が人間として振る舞えるのは真夜中までの時間だと言っていた。
あまり時間に余裕はなかった。
敬介は心の中でメイドに礼と別れを告げると、街の明かりの見えるほうへと足早に歩き出した。
二本の足で歩けるということが、たまらなく嬉しかった。
人通りのある街路に出ると、敬介は思わず後ろを振り向いた。
誰かが追ってくる気配はなかった。
街のネオンと行き交う人の気配がひどく懐かしかった。
人の世界に帰ってこれた、と敬介は思った。
近くに見えた公園の時計は、一〇時少し前の時間を指していた。
「でも……。
これから、どこへ行ったらいいんだろう……」

思いがけない解放から、一時間ほどが経った。
いま、敬介はとあるアパートの前で逡巡していた。
そこは敬介の中学時代からの親友が下宿しているアパートだった。
水上春彦という名の友人である。
中学、高校と一緒の学校に通い、大学に進んで以降もよくつるんで遊びにいったりした仲の友人だった。
敬介は最初、実家へ向かおうとしていた。
だが、頭の中からすっぽりと抜け落ちたように、実家がどこにあったかを思い出せなくなっていた。
以前詩織によって精神をいじられたとき、自分の家や家族に関する記憶を消されてしまったのだった。
また万が一実家に帰れたとしても、詩織に居場所を嗅ぎつけられる危険性が高かった。
大学の知り合いを頼ろうにも、彼らはすでに詩織によって取り込まれているのは明らかだった。

敬介は自然と、かつてよく訪れた親友宅を訪れていた。
意を決すると、敬介は春彦の部屋の前に立ち、チャイムを押した。
チャイムの音が響くのを確認すると、敬介は扉の前で待った。
やがて、奥のほうからごそごそと人の動く気配が近づいてくると、がちゃりと扉が開けられた。
ボサボサの頭を掻きながら、Tシャツにトランクス一丁の気の抜けた格好をした男が出てきた。
「こんな時間にどちら様?」
「──春彦!」
敬介は長年の親友の名を呼んだ。
「え、水上春彦は俺だけど。
おたくは?」
「信じられないかも知れないけど……オレだよ。
敬介だ」
「お姉さん、デリヘルの人?悪いけど、呼んだの俺じゃないよ。
お隣と間違えたんじゃない?」
そう言いながら、春彦はしきりと敬介の胸にちらちらと目をやっていた。
男だった敬介には、春彦のそういう反応は責められなかった。
自分が逆の立場でも、突然自宅にこんな胸の大きな女が尋ねてきたら、胸元に目がいってしまうことだろう。
といって、じろじろと胸を観察されて恥ずかしくないわけがなかった。
自然と敬介は腕組みをするような格好で胸のふくらみをわずかなりとも隠そうとした。
「じゃあ俺、テレビ見てる途中だったから……」
「待ってくれ。
待ってよ、“そばめし君”」
奇妙な名前を敬介が口にすると、あきらかに春彦は動揺した。
「なんでお姉さんがそのハンドルネームを?」
「言っただろ。
オレは敬介なんだよ。
お前の親友の。
中学からの腐れ縁だから、たいがいのことは知ってる。
自転車二人乗りでこけてできた膝の傷のこととか。
なんならお前のAVの趣味だって言い当ててみせようか?」
「そんなこと知ってるのは……本物の敬介だけだぞ!だからって、俺の知ってる敬介はそんな巨乳の色っぽいお姉さんじゃねえ」

「いろいろあったんだ。
いろいろと」
春彦はそれまで半開きだった扉を大きく押し開いた。
「とにかく中に入んなよ。
ゆっくり話を聞かせてくれないか?」
一歩ごとに派手にバウンドする胸に視線が刺さるのを感じながら、敬介は玄関に入り、ヒール付きの靴を脱いだ。
勝手知ったる家のように敬介はテレビのある居間へと向かった。

「……つまりノウブルになった詩織ちゃんに、そんな姿にされたってことなんだな?」
「ああ……」
居間とは名ばかりの手狭な六畳間で敬介と春彦は卓袱台を挟んでいた。
訝る春彦に、敬介はこれまでの経緯を話して聞かせたのだった。
勿論、口に出せないことも沢山あった。
一匹のメスとして牡とまぐわってしまい、あまつさえ出産までしてしまったことなど、親友に話せることではなかった。
「最近、敬介から連絡がないからさ、てっきり有紀ちゃんとよろしくやってるのかと思ってたよ。
まさか、そんなことになってたなんて……」
「…………」
どこかへ連れ去られた有紀のことを思って敬介は唇を噛んだ。
「せめて力になるぜ、敬介。
俺にできることがあれば言ってくれ。
もちろん、元の姿に戻れるまで、この家に居候してくれて構わないぜ」
「ありがとう、春彦」
敬介は男の時の感覚で、春彦の手を取り、力強く握りしめた。
手を握られた春彦はちらちらと敬介の顔と胸とのあいだで視線を往復させたかと思うと、真っ赤になって目を逸らしてしまった。
そんな春彦の困惑ぶりを敬介は見逃していた。

 

「ちょっと熱いな……」
「そうか?」
「服を着るのも久しぶりだからな」
敬介はスーツの上衣を開き、ブラウスの胸元のボタンを外した。
乳房の弾力だけでブラウスの前が大きく開いて、巨大な胸の谷間が空気に晒された。
胸をサポートしている黒いブラジャーも、胸のなめらかな曲線を覆いきれてはいない。
春彦の喉がゴクッと鳴った。
敬介が胸元を手で仰ぐたびに、胸がゆさゆさと大袈裟に揺れ、春彦を誘惑しているようだった。
「テ、テレビでもつけようか」
春彦は自分の動揺を誤魔化そうとするようにリモコンを握った。
ところが動揺のせいかリモコンは春彦の手からすべり落ち、ジュースの入ったコップを倒してしまった。
こぼれたジュースが流れ落ちて、畳を濡らした。
「あーあ、なにやってんだよ。
シミになっちまうぞ」
敬介は卓袱台の上にあったティッシュペーパーを何枚か掴むと、身を乗り出してこぼれたジュースを拭き取った。
ちょうど春彦が見下ろす位置に敬介の胸の谷間が踊った。
「おい……」
「あ、お前の足にもこぼれてるな」
敬介はついでにとばかり、ティッシュで春彦のトランクスから出ている腿を拭いた。
そのとき敬介は、トランクスの股間に大きくせりあがってきたテントを目にして息を呑んだ。
「春彦、お前……」
「ごめん、敬介!でも……そんな躰を近くで見せられて、触られたりしたらたまんないよ。
いやでも勃起しちまう」

「春彦、まだ彼女いないのか?」
「悪かったな、いないよ。
風俗いく金もないしな。
恋人は右手ってか。
実はお前が訪ねてくる直前までAV見てたしな。
わはは」
「そうか……悪い。
溜まってるとき、こんないやらしい女の体がそばで動いてたら、嫌がらせみたいなもんだよな」
「頭じゃわかってるんだ、敬介だって。
だから安心しろよ。
手出したりしないから。
そのかわり……俺ちょっと便所で一発抜いてくるわ。
そうしないと収まりつかねえ」
「待って」
敬介は春彦のトランクスに張ったテントに手をかぶせた。
「うひゃあっ!?や、やめろよ……いまのお前、すげえエッチな女に見えるんだぞ」
「我慢しなくていいよ、春彦」
敬介は囁くように言った。
「辛いんだろ、春彦。
そうだよな、こんな女の体見せつけられたら、欲情しちまうよな。
オレには何もできないけど、この体なら春彦の好きにしていいよ。
なんなら、溜まったもんを抜いてやるよ」
「抜くって……げ、下品だぞ……」
「はは。
いくら外見が女でも、中身はオレだからな」
「うう。
そりゃまあ納得だな」
空笑いしながら春彦は生唾を何度も呑み込んでいた。
「なあ、敬介。
そのオッパイ、触らせてもらっていいか?」
「う、胸は……」
敬介は一瞬、言葉を濁らせた。
ただでさえ敏感な胸だが、いまでは絞ると母乳が出るようにされている。
乳房を弄り回されるのは気が進まなかったが、春彦は伏し拝まんばかりの勢いで頼み込んできた。
「そんな立派な胸突き出させておいて、触るな、は殺生だよ。
頼む、ちょっとでいいから触らせてくれ!」

「わかったよ……でも、あんまり乱暴にしないで……」
春彦が敬介の後ろに回り込んだかと思うと、左右の胸が下から持ち上げられた。
重く胸にのしかかっていた重量がふわっと軽くなる感じがした。
「あ……」
「やわらけぇ……!」
敬介の首筋に熱い吐息が吹きかけられる。
春彦の興奮にあてられてしまったように、敬介は次第に自分自身、高ぶっていくのを感じていた。
巨乳が持ち上げられ、春彦の手の上で何度もバウンドさせられた。
敬介は自分の胸を見下ろした。
嵐の海のように激しく波打つ胸のふくらみが自分の体の一部だとは到底信じられないくらいだった。
それでいて、心地よい刺激はしっかりと胸に感じる。
後ろから胸を押さえつけるように手を当てると、春彦はその状態でゆっくりと双球を円運動でこね始めた。
「あぁぁ……」
淫らに熟れた乳房をこね回され、敬介はすっかり感じてしまった。
甘くとろけるような快感だった。
男のペニスのように敏感な性感帯と化した乳首がブラジャーの滑らかな裏地に擦れて、そのたびに敬介はぴくっ、ぴくっと反応してしまう。
「胸、もっと見せてくれよ」
「あ、ああ……」
乞われるままにブラウスのボタンをさらにいくつか外した。
敬介はそこで止めるつもりだったのだが、春彦がブラウスを大きく左右に開いてしまった。
クリームのようになめらかな肌があらわれ、深い胸の谷間がいよいよ露わになってしまった。
春彦はその谷間に手を差し入れてきた。
熱くなっていた乳房に直接男のごつごつした手が触れ、敬介は思わず悩ましい吐息をついていた。

「あああ……あふぅ……」
「色っぽい声だな……やっぱり感じてる?」
「ば、バカ!そんな恥ずかしいこと言うなよ!」
「そうかそうか、感じちゃってるんだな」
「それは、この胸が敏感すぎるから……」
「へえ。
そりゃいいこと聞いた」
「あっ、あっ、ちょ……くうっ!」
ブラウスの胸元は左右に開かれて、ブラジャーに包まれた胸が完全に露出している。
それを春彦が激しくこねた。
大きくもまれるたびに、たぷんたぷんと乳房が揺れ動く。
それだけで声を堪えるのが精一杯だというのに、ブラのカップの中に指が侵入してきて、くりくりと乳首を摘んだ。
「くぁああああ!!」
ぴゅうっ、と乳首からミルクが吹き出していた。
「お?」
春彦は手を引っ込めて、指についた白い液体を不思議そうに眺めた。
「これ……まさか、母乳なのか?」
「ああぅ……そういう体にされて……だから胸はあんまり弄らないで……」
「どうして?気持ちよさそうな顔してるじゃん?俺も敬介も気持ちいいんだから、いいじゃないか」
春彦は母乳で濡れた手で、さらに乳房を攻めた。
ボリュームのある乳房全体が性器になってしまったように、揉まれるだけでたまらない快楽が押し寄せてきて、敬介をよがらせていく。
乳頭をちょんと押されただけで、じわっと母乳が染み出た。
何度も乳首を弄られたせいで、ブラがすっかり自分の乳汁で濡れてしまった。
「すげえ、甘ったるいミルクの香りがしてくる!」
「や、やぁぁぁっ!」
「へへっ、女の子みたいな声出すんだな」
「だって……あく……母乳出すのだけは嫌だよぉ……」

春彦がブラの布を指でずり下げると、弾力に押されてぷるんと乳房が飛び出した。
乳首を付け根からしごくように摘まれると、ぴゅぴゅっと母乳が噴き出した。
「ふぁぁうう!」
敬介はあまりの強い快感にのけぞった。
「そうだ、敬介。
自分で自分のオッパイ揉んで、出てきた母乳を自分で飲んでくれよ」
「やぁっ、そんなこと……」
快感の余韻にはぁはぁと喘ぎながら敬介は首を振った。
「頼む!こんなこと頼めるの、敬介ぐらいしかいないんだ!」
「………………」
春彦はもうたまらない気持ちになっているのか、トランクスを下げて怒張しきったペニスに手を添えていた。
(ペニスがあんなに……オレの躰を見たせいで……)
春彦のせつなさそうに眉を寄せた表情を目にして、敬介は淫らな雌の体を恥じるとともに、一抹の申し訳なさを覚えた。
(オレを匿ってくれるんだから……少しくらい希望を叶えてやっても罰は当たらないか……)
春彦は口づけをするように敬介の胸に顔を寄せると、乳首を口に含んできた。
「ひゃああっ!?」
舌を絡められ、乳首を強く吸われると、乳腺に溜まっていた母乳が迸り出た。
「くぁっ……ああぁぁんっ……」
射乳の快感に声を抑えられない。
肉体の快楽が少しずつ、親友と性的行為をしているという嫌悪感を霞ませていく。
春彦が乳首から口を離したとき、敬介は「あんっ」
と鼻にかかった声を出していた。
もうやめてしまうのか、という不満の気持ちがそんな声をあげさせたのだった。

敬介は唾液と乳汁で汚れた乳房を袖で拭いた。
その摩擦の刺激だけで、甘ったるい快感に脳が痺れてしまいそうになる。
敬介の視界の端にちらりと壁の時計が映った。
「春彦。
オレは人間として話したり立って歩いたりできるのは、あと少しのあいだだけなんだ。
たぶん、もうすぐオレはまたイヌに戻っちまう……。
それと、このお腹に赤ちゃんがいるんだ。
夏の終わり頃には出産することになると思う……そのとき、春彦に迷惑かけると思うけど、そのかわり今できることなら、なんでもするから」
「お……お前、妊娠してたのか!?」
「……どうしようもなかったんだ。
メス犬に変えられて、発情期で何も考えられなくなるくらい欲情しちゃって……」
「そうか。
慰めの言葉も見つからないけど……辛かったよな」
春彦は華奢な少女のそれになった敬介の肩を抱き、敬介の頭に手を置いた。
「あぁ……」
詩織によって埋め込まれた条件付けによって、頭を撫でられたことで敬介の心は圧倒的な安心感と春彦を慕う感情で満たされた。
かすかに鼻を鳴らし、敬介は春彦に抱きついた。
胸の双乳が二人のあいだでおしつぶされるように変形した。
どちらからともなく、唇を求め合った。
舌で口腔内をまさぐられるだけで、体の芯がじんじんと疼いた。
名残を惜しむように二人は唇を離した。
「人間でいられるうちに、春彦の望みを叶えてやるよ」
敬介は敷きっぱなしの布団に移動して、そこに身を横たえた。
万年床には、若い男の体臭が染みついていて、そのニオイの成分が媚薬のように敬介をたかぶらせた。
「あぁ……見てて……」
仰向けになってもなお小山のように盛り上がった乳房を自分の手で掴んだ。
「ふ……うっ……」
ゆっくりと、左右の乳房をこねた。

布団の手前で、春彦は食い入るように敬介の痴態を凝視していた。
「そんなに見るなよ……恥ずかしいだろ……」
「そんなことない。かわいいよ」
「ばか……オレは男なのに、嬉しいわけないだろ」
そう言いながら、敬介は首まで赤く染まるほど顔を紅潮させた。
恥ずかしさと奇妙な悦びのごちゃ混ぜになった感情を忘れようとするように、敬介は自分の体をつかった遊戯に没頭していった。
まるで子供が珍しい玩具をいじるように、存在感のある乳房を縦横にこねたり、手で胸を揺らして乳房を波立たせたりした。
そんな指戯のひとつひとつが、むず痒い快感をもたらし、さらなる快感を求めて敬介の心を乱していく。
敬介の淫靡な一人遊びから片時たりと目を離さないまま、春彦は己のペニスをしごき初めていた。
(あはぁ……精液のニオイがしてくる……なんでこんな甘く感じるんだ……)
乳腺に母乳が溜まり、胸が甘く痛いような痺れを訴える。
「オッパイ溢れそう……見て……」
左右から寄せるように乳房を押さえつけ、ふくらみの根もとから先端へと手をしごきあげると、ピンと張り詰めた乳首の先からドクドクと白い液体があふれ出た。
「うぁ……やらしい……」
そう呟いたのは敬介自身だった。
小さなペニスのように勃起して白濁液を吐き出すピンク色の乳首がたまらなく淫らだった。
その勃起した乳首を指で軽くつまんだだけで、たえられないほどの快感が走った。
いつしか、春彦に見せるための行為が、自身で快感をむさぼる行為にとって代わられつつあった。
張り詰めた胸を弄る快感と、眼前で繰り広げられる淫靡きわまりない光景が、もっともっとと敬介を突き動かすのだった。
左右の乳房を擦り合わせるだけで滑らかな肌と肌が触れ合い、男のオナニーでは想像もできないほどの快感を味わえた。

乳房を下からすくい上げると、ぷるんと弾んだ乳首が口元にぶつかった。
乳首は灼けた鉄のように熱くなっていた。
敬介はてらてらとぬめる乳頭を口に含もうとした。
まるで敬介を弄ぶように乳首の位置がゆらゆらと定まらず、それを追いかけて敬介は口をぱくぱくとさせてしまった。
ついに熱い乳頭を唇のあいだに挟むと、敬介はそれを吸った。
じゅわぁっ……口の中一杯に、甘いミルクの芳香が広がった。
(自分のオッパイ……吸ってるなんて……)
敬介は無意識のうちにスカートの下で両脚の腿を密着させ、もぞもぞと動かしていた。
もてあますほどの奔流のような快感が全身に渦巻いていた。
甘い刺激が欲しくなり、今度は反対側の乳頭を同じように含んだ。
歯の間に挟んだそれを吸うと、また濃密な乳汁が迸り出た。
「はぁぁぁ……」
甘く喘ぐと、唇の端からミルクがこぼれた。
「俺もう、イッちまうよ……!」
春彦はペニスを激しくしごきながら、敬介の傍らに膝をついた。
「いいよ……気持ちよくなって!」
「ケースケぇ!」
春彦が敬介の体を跨いだかと思うと、赤黒いペニスが迫ってきた。
敬介は乳房を両脇からきつく押さえて寄せた。
腹にペニスが触れると、その熱さが心地よかった。
ペニスは左右の乳房のあいだに形作られたスリットへと滑り込んできた。
「あぁぁぁあぁぁっ……!」
灼熱したシャフトに胸を貫かれたような心持ちがして、敬介は叫んだ。
春彦もまた、獣のように呻いていた。
ずっ、ずっ……胸乳の狭間をかきわけ、ペニスが前進する。

少しでもその男性器官を気持ちよくさせようと、敬介はペニスを挟んだ乳房をグラインドさせ、ペニスの表面を擦った。
「くはぁ……夢、みたいだ……」
「ハァ……ハァ……いまはこの体、ぜんぶ春彦のもんだよ……」
「はは……お前、やっぱかわいいよ」
春彦は片方の手で敬介の頭を撫でた。
敬介はその愛撫で恍惚とした表情になる。
かわいい、と言われることが純粋に嬉しかった。
スカートのホックとファスナーが器用に外され、その隙間から差し入れられた手で股間をまさぐられた。
「ひぁぁぁっ!」
「こっちには、コレ入れてやるよ」
春彦は流線型のキャップのついた糊の容器を取り出して、それの先端でパンティの上から割れ目をなぞったかと思うと、下着の布地をずらして、熱く濡れそぼった膣にそれを挿入した。
「やっ……ああぁぁああぁぁッ!」
その挿入で敬介は軽いアクメに達し、体が震えると同時に乳首から白い液をこぼしていた。
ぽたぽたと垂れた母乳が敬介の胸を汚していく。
「俺も最後までイカしてくれよ」
春彦に促され、喘ぎながら敬介は乳房を使った奉仕を再開した。
胸の谷間から亀頭がひょっこり顔を出した。
乳房の動きは継続したまま、敬介は舌を突き出して亀頭を迎えた。
「ッフウッ!」
たまらなくなったのか春彦がガクガクと腰を揺すった。
突き出されたペニスの先端を敬介は精一杯頬張った。
シャフトの根もとをやわらかな胸の肉で包み、しごきあげながら、口腔内では舌で丹念に亀頭を舐め回した。
ついに春彦はうおおと叫び、からだを硬直させた。
射精の瞬間を悟った敬介は、精液を絞り出そうとするようにいよいよ激しく胸でペニスをしごいた。

「っ……!」
どっと口中に熱いザーメンが注がれた。
(オレの体で気持ちよくなって、こんなに出してくれた……)
愛おしく誇らしい気持ちになり、敬介は口から溢れそうになるほどのザーメンを、喉を鳴らして飲み込んだ。

春彦はのろのろと大儀そうに敬介の上から体をどかすと、敬介のすぐ隣にごろりと仰向けになった。
イッた直後の男の体の脱力感と空虚感を思い出し、思わず敬介はクスッと笑ってしまった。
「思い出した。
中坊の頃、パイズリのAVをこっそり二人で見て、目ぇ丸くしたことあったよな」
「あったあった。
まさかお前にそれをやってもらえるなんて、思いもよらなかったよ」
「……気持ち良かった?」
「聞くなよ。
あんなに射精させられるとは思わなかったぜ」
仰向けだった春彦が寝返りをうって敬介のほうを向くと、むんずと敬介の乳房を片方掴んだ。
「アンッ」
「喉かわいちまった」
いやらしい音を立てて乳を吸われた。
乳房を鷲づかみに持ち上げられてその先端を吸われ、敬介は快感にとろけそうな表情でその行為を受け入れた。
心ゆくまで喉を潤すと、春彦は口元を拭った。
「ははは、生きたミルクスタンドみたいで便利だな、これ」
ミルクスタンドと呼ばれ、敬介の中で昼間の忌まわしい記憶が甦った。
「オレは人間だぞ。
それだけは覚えておいてくれよ」

春彦からの返事はなかった。
かわりに敬介の首に何かが巻かれ、カチリと音がした。
「え……?」
「不思議そうな顔するなよ。
イヌには首輪が必要だろう?」
錠前の鍵をもてあそびながら春彦は言った。
敬介は呆然と、首に手をやった。
エナメルの首輪がそこに巻かれ、頑丈な金具によってロックされていた。
弾かれたように敬介は立ち上がった。
「悪い冗談はよせ!その鍵を渡してくれ!」
「その首輪、自分が何者なのかを思い出させてくれるだろ?」
「う……く……」
敬介の上体がフラフラと揺れた。
二本の足で立ってるという当たり前のはずのことが、ひどくアクロバティックな行為に思えてくる。
どさっ。
ついにバランスをとれなくなって、何かに屈するように敬介は両手を床についていた。
「ちゃんとお願いできたら、その首輪を外してやってもいいぜ」
四つん這いの上体で敬介は春彦を見上げた。
「あぁあうぅぅぅ……ああぅっ……うぅ……」
敬介がどんなに必死で訴えようとしても、もはや人間らしい声も言葉も出てこなかった。
そんな反応を春彦はクスクスと笑って見守っていた。
「やっぱりイヌだよな。
首輪がお似合いだぜ、ケースケ」
春彦の顔が嗜虐的な笑いに彩られるのを絶望的な気持ちで敬介は見つめた。
「はだかのメス犬よりも、人間様みたいなスーツを着乱してるその姿のほうがいやらしくていいよな」
「ううぅぅぅっ!」

「おとなしくしろよ。
近所迷惑だろ」
ぽんぽんと頭を手で撫でつけられると、敬介の中で怒りがすうっと薄らいでしまった。
(ああ……逆らえなくなる……ぅ……)
「お座りしてみろ、ケースケ」
命じられて、唯々諾々と敬介はそのポーズをとった。
「うはぁ。
オッパイもばかでかいけど、ケツもむちむちとそそる形してやがるな。
まったくたまんない愛玩ペットだぜ」
「あうう……」
「ケースケ。
お前に会わせてやりたい奴がいるんだ」
春彦は部屋の外へ姿を消したかと思うと、しばらくして一人の少女を連れて戻ってきた。
少女……ではなく、“イヌ”だった。
敬介と同じ首輪を巻かれ、胸や股間を露出させたエナメルのボンデージスーツに身を包まれた少女犬だった。
その少女を一目見るなり、敬介には少女の正体がわかった。
(ユキナ……!)
少女は敬介が腹をいためて出産した子の一人だった。
産まれてまもなく引き離された子でも、敬介にとっては間違いようのない面影が残されていた。
「へえ。
その目……やっぱり我が子はすぐわかるってか?」
(春彦……どうしてお前がそれを!)
敬介の心を読んだように春彦は歯を見せて笑った。
ユキナを指さして言う。
「こいつは、詩織ちゃんに売ってもらったんだよ。
知り合いのよしみで、安く売ってくれたんだぜ。
もちろんお前がイヌになって調教されてることもちゃんと聞いてたさ」
ユキナが敬介のほうを向いて、ウウウと低く唸った。
(ああユキナ……オレだよ、わからないの?)
不信感のこもった唸り声をあげ、ユキナは鋭い目で敬介を睨んだ。
「おやおや。
こいつはすっかりお母さんのことを忘れてるみたいだぜ。
別なメスにご主人を取られたと思って、ライバル心をむき出しにしてやがる」
(別な“メス”って……オレのことを……)
春彦がユキナの首輪につけられた散歩紐を強く引くと、ユキナは怯えたように鼻を鳴らして唸るのを止めた。
「久しぶりの母子再会だな」
敬介の首にも紐がつけられた。
紐で引っ張られ、敬介はユキナのすぐ前まで連れ出された。
下半身をなんとか隠していたスカートと下着がが引き下ろされた。
春彦に紐を引っ張られ、敬介はユキナに尻を向けさせられた。
今度はユキナに向かって春彦が命じた。
「今度からお前と一緒に暮らすケースケだ。
仲良くしてやれ」
「うーっ!」
「うー、じゃねえよ。
ほら、挨拶がわりだ。
こいつのオマ●コをぺろぺろしてやんな。
へへ、お前が産まれてきた穴なんだぜ?」
そうやって命じられると、観念したようにユキナは敬介の股間に鼻先を近づけた。
そこでクンクンと匂いをかいだかと思うと、長い舌で秘所を舐め始めた。
ぴちゃっ……四つん這いのまま敬介はビクン、と全身を震わせた。
「あ゛あ゛……」
舌による愛撫から逃れようとして、首につけられた紐がきつく引き絞られた。
「尻向けたままじっとしてろよ」
ユキナは勢いよく舌を動かし、秘肉をかきわけ内側まで掻き出すように舌を這わせた。
すでに火照っていた敬介の体はあっというまに高みに押し上げられていった。
ぴちゃっ、ぴちゃっ。

規則的に湿った音が響く。
そのたび敏感な花弁に舌を這わされ、敬介は喉の奥で鳴いた。
すっかり快楽の波に翻弄されて喘ぎ続ける敬介の前に、小柄な人影が現れた。

忽然と、なにもなかった空間に姿を現したのは、詩織だった。
「詩織ちゃん」
春彦の声を耳にして、敬介は顔をあげた。
敬介の頭上に、詩織の満面の笑みがあった。
「う゛う゛う゛……!」
「よかったね、ケースケ。
春彦がお前を飼ってくれるって」
「あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
敬介は絶望のために叫んでいるのか、蜜壺に舌先を差し入れられてよがり鳴いているのか、自分でもわからなかった。
されるがままに抵抗もかなわない敬介の乳房を春彦が掴み、面白半分に母乳をしぶかせた。
「詩織ちゃんからお前を譲り受けてもらえることになって、俺がどんなに興奮したかわかるかよ?」
(春彦……お前、詩織に心を操られて……)
「別に詩織ちゃんに何かされたわけじゃないぜ、ちなみに。
俺はお前が羨ましかったんだよ。
高校まで同じだったのに、片やお前は一流の大学に入って文武両道で彼女までいた。
それにひきかえ俺は大学も全部落ちて、専門学校を出たあとはご覧の通り無職さ。
お前が得意げに女とののろけ話をするたびに俺が内心どれだけ屈辱に震えてたと思うよ?まるで俺を憐れむように気を使うお前の態度も鼻について仕方なかったぜ」
(そんな!誤解だ、春彦!)
「だけど、いまはもう全部許せる気分だぜ。
なんたって、あの敬介がこうしてメス犬にまで堕ちて俺の足下に這いつくばり、みじめに喘いでるんだからな!」
詩織が敬介を指さした。
「ケースケ。
これからはどんなことでも必ず、春彦の命令をきくのよ」
ノウブルの力が敬介の心に新たな枷をひとつはめた。
もはや敬介はどんなことだろうと、春彦の命令には逆らえなくなっていた。
「そうそう。
ケースケを逃がしたメイドね、あれってあたしの忠実な操り人形だから。
あいつはずっと前にただの人間に肩入れしてノウブルに反逆しようとしたから、叔父さんたちが完全に心を壊しちゃったの。
いまじゃあたしの人形よ。
もちろん、ケースケを逃がしたのもあたしに命令されてそうしただけ。
だから、あれに助けてもらえるかもしれないなんて希望をもっちゃダメよ。
ウフフ」
小悪魔のように笑う詩織の前で、敬介はついに押し寄せる快楽の波に耐えきれず、はしたないよがり声を高くあげてイッてしまった。
「キャハハハ。
よくわかったでしょ。
自分がメス犬でしかないことが。
人間になるなんて、夢見るだけ愚かだってこと!」
「う゛……あ゛……」
「だけどね、忘れさせてあげない。
メス犬でありながら、お前はずっと人間の男だった記憶を持って、堕とされた屈辱にうち震えながら一生を過ごすといいわ」
「ほらっ、ケースケ。
今度はお前が愛娘をイカせてやる番だぞ」
敬介は抗おうとした。
「舌でイカせてやれ。
こいつがイクと同時にお前もイクんだ」
春彦の命令は絶対的な権威を伴って響いた。
理性でそれを拒もうとするより先に、敬介はその命令に従っていた。
先ほど自分がされていたと同じように、ぴちゃぴちゃと音を立ててユキナの秘所に舌を這わせた。

最初は敬介に愛撫をされて嫌がる素振りをみせていたユキナだが、すぐに甘い声でひんひんと鳴き始めた。
敬介にとっては、最前までの自分自身の姿がこうだったのだと見せつけられるかのようだった。
いつのまにか詩織は姿を消していた。
春彦は手遊びをするように無防備となった敬介の秘所に指を抜き差しして、敬介の反応を楽しんでいた。
「ケースケ。
今日からお前は俺の飼い犬だ。
俺はお前の御主人様だ」
(春彦が……御主人……様……)
ユキナの秘所にこぼれてくる蜜が、その濃密さを増した。
ユキナはがきゅっと床を掴もうとするように手足の指を曲げた。
「きゃうううぅぅぅっ……」
甘ったるく鳴いてユキナが達すると同時に、敬介もまた強制的にエクスタシーを迎えさせられた。
真っ白な絶頂のさなかで春彦に頭を撫でられ、ひときわ強い幸福感に包まれて敬介は意識を失った。

「ハァ……ハァ……」
「ああぅ……あんん……」
ユキナと敬介は互いの乳房をぶつけ合い、唇を貪り合っていた。
きつく張った乳房をユキナに舐め回されると、敬介はあられもない声でよがってしまう。
敬介もユキナとおそろいのエナメルの淫らな服を着せられていた。
ユキナが牡のように敬介に馬乗りになると腰を振り立て、敬介の股間に秘所をすりつけてきた。
やわらかな媚肉が擦れ合い、二匹の雌は声を合わせるように喘いだ。
そこへ、外から帰ってきた春彦が部屋に入ってくる。

「よしよし。
準備はできてるようだな」
春彦の姿を見つけると二匹は股間を濡らしたまま大急ぎで駆け寄り、ばたばたと尾を振って主人を迎えた。
敬介はそれを屈辱に感じながら、躾られた通りにしか振る舞えない。
春彦による“躾”に従い、二匹は濡れそぼった秘所を主人のほうに向けた。
「今日は布団でやらせてやる」
春彦は二匹の尻を叩いた。
敬介とユキナは汚れた布団の上で体を重ねた。
敬介の大きすぎる乳房がユキナを圧迫するような格好である。
そこへ春彦が覆い被さった。
「うぅぅぁ……」
いきり立つペニスに貫かれて、敬介は悦びの声をあげてしまった。
三日ぶりの御主人様のペニスだった。
それをもらえない限り、敬介とユキナは雌同士で際限なく体を求め合い、秘奥の疼きをもてあますしかないのである。
一突きだけで敬介から引き抜かれたペニスは今度は、ユキナに差し入れられる。
「きゅうぅぅんっ」
主人のペニスが自分を貫いたことで、ユキナは甘く喘ぎ、勝ち誇ったような眼差しで敬介を見るのだった。
そんなユキナの反応が哀しくも愛おしくて、敬介はユキナの頬を優しく舐めた。
ユキナはきょとんとしていた。
ユキナを思う敬介の心を打ち砕くように、再びペニスが敬介の体を貫いた。
主人のペニスをとられたと思い、ユキナが不満げに鼻を鳴らす。
ユキナの疼きを少しでもしずめてやろうと敬介はユキナの固い乳房に舌を這わせた。
負けじとユキナも敬介の乳房を舐めあげ、敬介に甘い鳴き声をあげさせる。
かわるがわる、何度も二匹は犯され、大量の精液を注がれた。
三度精を放った後、大の字で仰向けに横たわる春彦のペニスを、二匹の雌は左右から同時にぺろぺろと舐め始めた。

“御主人様”のペニスは麻薬のようにたまらない芳香を放ち、それをしゃぶっているだけで満たされた気持ちになっていく。
敬介は自分が二度とかつての自分には戻れないことを、心でも体でも思い知らされてしまうのだった──。

どこかで、遠くで、誰かが、呼んでいた。
その呼び声を耳にしたと思ったとき、すべての現実は砂の城のように崩れて消えた……

────。
名前を呼ばれていた。
──タカミ。
声が呼ぶ。
「隆美ってば」
「え、あ!?」
隆美は夢から醒めたようにはっと顔を上げた。
さっきから隆美の名を呼んでいたのは、同じ六年一組の詩織だった。
「どうしたの。
ぼうっとしちゃって」
「ご……ごめんね。
疲れてたのかな」
「フフッ。
へんな隆美」
詩織は水着姿だった。
──当然だ。
いまは水泳の授業の前で、ここは学校の女子更衣室の中なのだから。
詩織と隆美以外の女子はみんなプールのほうに移動していた。
隆美がタオルを教室に忘れてきてしまい、詩織はそれを取りにいくのにつきあってくれた。
そんな理由で、二人だけ遅れて着替えをしているのだ。

それまで何か違うことを思い出しかかっていた隆美の頭に、すらすらといまの状況が甦ってきた。
隆美自身、途中まで紺の水着を着ているところだった。
頭からかぶった水着はまだ胸の上あたりで止まっていた。
最近少しずつ女らしくなってきた隆美の体がほとんど露わになっている。
去年あたりから乳首を中心にふくらんできている胸の隆起は、めくれた水着の下で、ぷっくりと突き出していた。
水着を手早く身に着けてしまおうとして、隆美は着替え方を忘れている自分に気がついた。
(ええと、この水着はどうやって着るんだっけ……?)
急がないと、授業に遅れてしまうかもしれない。
だが、隆美は首をひねった。
小学校の六年間、何度も着ていたはずの学校指定の水着の着心地にひどく違和感を覚えた。
それどころか、何もかもに違和感を覚える。
変わり映えもしない日常の光景なのに──。
ふと詩織を見たとき、隆美は立ちすくんだ。
深く吸い込まれてしまいそうな詩織の瞳をどこかで見たことがある、と思った。
「隆美ちゃん、聞いて。
このあいだ、クラスで飼ってる兎が毒の餌を食べて死んじゃったでしょ。
あれね、あたしがやったのよ」
隆美は頭がクラクラしてくるのを覚えた。
「どうして、詩織。
そんなことするなんてダメだよ」
ずっと昔、どこかでこんなやりとりがあったような気がして、仕方がなかった。
「どうして?だって楽しいから。
あたしには、それが許されてるから」
「詩織、おかしいよ──」
そのとき、隆美は言葉を失った。
詩織の瞳がまっすぐ隆美を見据えたとき、堰を切ったように、ありえないはずの過去が隆美の中で甦ったからだった。

「隆美。
それともケースケって呼んでほしい?」
「詩織ちゃん……詩織……」
「“こっち”でも、あたしに逆らってみる?あたしはどっちでもいいよ。
ケースケの好きなほうを選びなさい。
ふふ」
そう言うと、詩織は自らの股間を覆っていた水着の布を外した。
露わになる未熟な女性器。
「詩織……ちゃん……」
隆美はがくりとその場に跪いた。
そして、恭しく詩織の秘所に舌を添わせた。
それが──隆美となった敬介の選択だった。
この瞬間、詩織は主となり、隆美はその忠実な下僕となったのだ。
「そう。
いい子ね、隆美。
何年かしてあたしがノウブルの力に目覚めたら、隆美は一生あたしのそばに置いてあげるね。
だってあたしたち友達だものね」
「ありがとう詩織ちゃん、ありがとう……」
何度も繰り返し、隆美は神聖な主人に奉仕するように舌を使った。
ふわりと微笑むと、詩織は奉仕を続ける隆美の肩に手を置いた。
「行こう、隆美。
きっと先生が心配してるわ」
「うん。
行こう、詩織ちゃん」
隆美は、立ち上がり、水着に袖を通した。

二人の少女は手を取り合い、夏の陽射しの降り注ぐ校庭を駆けていった。

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