或る朝(DEATH NOTE) その1

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黒いような、紅いような、マーブルのような、それは、宿主の記憶に残ることもなく、夢特有の、混濁したもやの中に沈んでいった。
それにどんな意味があったのかは、誰にも分からない。

閉じた瞼がうっすらと朝の光を感じ、意識が少しずつ戻ってくる。柔らかなベッドの上、快適な室温を保たれた部屋。
徐々に体の感覚もはっきりしてきた。寝起き特有の気怠さもなく、
まるで最近ではいつものことである過度な寝不足を解消したかのようなほとんど眠気もない目覚めが今そこにあった。
清々しい。その気持ちを確かめようと、月は瞳を閉じたまま大きく息を吸った。
空気清浄器から吐き出されたそれはいつもと変わらず味気ないものだったが、それでも月の胸の中は新しい朝の気持ちでいっぱいになった。
月にとってこんな朝は久し振りだった。少なくとも、監禁され、左手を手錠で繋がれ生活を管理されるようになってからは、初めてのことだと、月は思う。
今日はいつもの緊張もなく、まるで生まれ変わったかのようにリラックスして朝が迎えられた。
本人の意識なく月の顔に笑みが零れる。白い柔らかなシーツに顔を埋めてみたらきっともっと気持ちがいいだろうと、
月は左手の鎖が鳴るのも気にせず、亜麻色の髪を揺らして大きく身を返した。

俯せになると、ひんやりした布団が心地良い。
しかし、月は何故だか胸に抵抗を感じた。シーツに押されたそれは、何だか柔らかく質量がある。
なんだ、と手を伸ばしてそこをまさぐった。
(え?)
それは掌にすっぽりと収まった。正確には二つの内の一つであるそれを、月はゆっくりと握りしめた。

「―――――!!?」

一気に月の意識が覚醒した。
慌てて月は跳ね起きた。心臓が凄い勢いで鼓動を刻んでいく。冷えた汗がだらだら溢れる。
落ち着け、と自分を戒めようとも、いつもなら撫で下ろすその胸に手を当てる勇気が出ない。
シーツをぎゅっと握り、浅く荒れた呼吸を必死に整えようと努める。
意を決して大きく息を吸い込み、月は視線を己の体に向けた。

昨日寝る前に着たそのパジャマは、色も、柄も、全く変わりはない。
変わりはないはずなのに、それは、肩が下がり、裾が伸び、腰回りがぶかぶかだった。
まるで寝ている間にワンサイズ大きなパジャマに変化したか、そうでなければ月の体が一回り小さくなってしまったような。
そして、決定的に違うのは、胸の部分にあるその膨らみ。
どれだけ見つめていても、それは錯覚などではなく、確かにそこにその存在を強調する。
月は恐怖にも似た気持ちで、ボタンを上からゆっくりと一つずつ外していった。
見え隠れする自分の素肌が頼りない。全てのボタンを外し終え、恐る恐る前をはだけた。
月の目に映ったのは、紛れも無い自分の肌。いやに白いそれはしかし、昨日までの自分の体とは全く違う。
そこには、女の子のように膨らんだ、バストがあった。
信じられない気持ちで、月は両手をそこに当てた。
体は変にほてっていて、汗をかいた掌が妙に冷たく気持ち悪い。両掌の中心らへんには、固く尖った先端が触れていた。
ぐっと掌全体に力を込め、双方をゆっくりと揉みしだく。
指の動きに合わせて、柔らかい、変な感覚が月の胸に泳いだ。
(信じたくはないが…。間違いない、これは僕の胸だ…。)

頭が呆けたまま、情けなくも、月は自分の胸を揉み続けていた。
何がどうなっているのか理解が出来ない。
いったいこれはなんだ?僕に何が起きたって言うんだ?

とん。

「ひぃっ!」

ショックで鈍くなった頭に必死で思考を巡らせていたそのとき、肩に衝撃を受け、思わず月は悲鳴を上げた。
惰性のように動いていた手が硬直する。

「何やっているんですか夜神君」

隣のベッドで寝ていたはずの竜崎が、いつの間にか起き出していた。
上半身を起こし背を向けて何かをやっている月を不審に感じたらしく、竜崎は明らかに言葉に刺を含ませていた。
君が気にするようなことじゃないから、という月の言葉を無言で跳ね返し、肩に置いた手に力を入れて竜崎は有無を言わさず上からそこを覗き見た。
お互い視線が固まった。竜崎はその問題の箇所へ、月は顔を傾けあらぬ方向へ。
月は誰かが嘘だと言ってくれるのをひたすら願った。

「…本当に何やっているんですか夜神君。いくら性欲が溜まっているからと言っても、普通そんなプレイは滅多にしませんよ」

竜崎の呆れた様子の溜息が月の頭に重くのしかかった。

「ちょ、ちょっと待て!何の勘違いをしているんだお前は!」

月は思わず顔を竜崎の方に向け睨みつける。体もそれに合わせて動き、手の中のものがぷるんと揺れた。

「!?」

竜崎のただでさえ大きな瞳がより大きく見開かれた。

「や、夜神君…」

恐る恐るとも、興味深くとも読める声で、指をくわえた竜崎は目の前の月と覚しき人を無理矢理自分の方に向ける。
手を伸ばして来た竜崎に、月は反射的に体を反らした。
竜崎の手が中途半端に空中で止まる。
月は引き攣った顔で竜崎を見ていた。何も言うことが出来ない。
突然竜崎は胸を隠す月の両手首を掴んだ。その素早い動きに対処することが出来ず、月の両手は成すがままに上へ大きく上げられる。
竜崎の視線を、真っ直ぐに胸に感じる。
なんとも言えない恥ずかしさに襲われ、月は思わず目をつぶった。
そのまま静寂が続いた。こんな微妙な格好をさせられていては上手く力も入れられず、ただでさえ混乱の続く月にはしばらくどうすることも出来ない。
しかし、こんな沈黙に長くは耐えられる訳もなく、月はそぅっと目を開けて目の前の男を盗み見た。
そこにはなんとも間抜けな表情で自分の体を見つめる竜崎がいた。

「竜ざ…」
「夜神君、ですよね?」

思わずかけた月の言葉を遮って、竜崎は視線を上げてそのまま目の前の顔を見つめた。
否定することも肯定することも出来なくて、曖昧に視線を合わせた月は、どんどん自分の顔に血が昇って行くのを感じた。
頭上で、月と手錠で繋がれた竜崎の右手が相手の両手首を押さえた。
月が抵抗しても、筋肉も落ちてしまったのか、竜崎はびくともしない。
竜崎の空いた左手が下に降りて来た。そのままそれは真っ直ぐ月の胸元に侵入した。

「ちょっと、待て……っ」

遠慮という物を知らない竜崎の指は、素早くそれを包み込んだ。
小ぶりではあるものの、それは紛れも無く本物だ。
竜崎は顔を近付け、手の平に可愛らしく収まったそれを、確認するかのように何度も揉み扱いた。
その度に微かに月の体が反応しているのも見逃さない。

「本物…それにこの体つき…。しかしその顔は…」

もう一度、竜崎は月の顔をを見上げた。

「夜神君…!?」

じっと真っ黒な瞳で凝視される。

「は、はは…。そうだよ、竜崎…」

もはやどんな言い訳も無駄だと悟り、月は竜崎に肯定の言葉を返した。
いや、月にはその言葉の他に言えることは何一つなかった。当の本人でさえ、何が原因でこんなことになったのかさっぱり分からない。

「いったい、何故…?」

「そんなこと僕にも分からない!…朝起きたらいきなりこうなっていたんだ…僕にもさっぱりだ、はは、は…」

力無く笑う月。しかし、笑える状況ではない。
竜崎はなおも信じられないと言った表情で月を見つめていた。

「その、…手、どかしてもらえないか?」

月は戸惑った様に声を発した。実際は一刻も早くその手を排除して欲しかったのだが、有り得ない状況になかなか言葉が出てこなかった。
実際端から見たらなんとも間抜け、いや、なんとも妖しいこの状況を早く終わらせたかった。
しかし、竜崎はいつまでたっても、腕の拘束も胸に当てた掌も放してくれなかった。
相変わらずであるものの、人のことを全く考えないその態度に、月はだんだん苛立ってきた。
眉間に皺をよせ、竜崎を睨み付ける。ふと目線を下げると、月の視界にとんでもないものが飛び込んで来た。

「ちょっと待て竜崎、なんだそれは」

その冷たい声に、月が何を言い表したいのか竜崎にははっきりと分かった。
月の視線は、明らかに竜崎の下半身を指していた。
ジーンズの上からでもはっきりと分かる、竜崎の下半身の昇ぶり。月は信じられないと隠す事なく嫌悪感を露にした。

「おい、お前まさか僕で」

「…ただの生理現象ですよ。寝起きですから。あなたも男だったのなら分かるでしょう」

「か、過去形にするな!」

竜崎のその思慮のかけらもない言いようで月の頭にかっと血が昇った。
自分は突然女になってしまった体に戸惑いを隠せないというのに、人事だと思って普段の自分勝手な態度を崩さないこの男はいったいなんだ。
一気に高ぶった激情を月はそのまま外に爆発させた。

「いい加減にしろ!離せ!!」

見た目も構わず思い切り暴れると、油断があったのか両腕の拘束がふいに解けた。
最高に腹立たしい目の前の男を感情のままに突き飛ばすと、混乱と怒りのあまり忘れていた鎖に引っ張られて、自分も盛大にベッドの下へ崩れ落ちた。
咄嗟のことに受け身を取ることも出来ず、月は頭から倒れ込む。しかし、先に落とされた竜崎の上にそのまま倒れ込んだ為、痛みはほとんどなかった。
むしろ相手にダメージを喰らわせたとせいせいするのと同時に、一刻も早く体を離そうともがく。
月の手が床を探り当てたとき、竜崎は肩から強く月を抱きしめた。

「何のつもりだ?竜崎、止めろ」

「嫌です」

「止めろって言ったら止めろ!」

どんどん肩ににかけられる力は増していき、それと比例して月の感情も荒立っていく。
しかし、女性となった体は非力で肉体的にはとてもじゃないが敵わない。
腰に腕を回され強く力を込められるのと同時に屹立した竜崎のそこをふとももに強く押し付けられ、急に月はさぁっと血の気が引いた。

「正気か竜崎…!?何考えてるんだ…っ!」

その必死な声は叫びに近く、なんとか逃げようと月は必死でもがくが、びくともしないそれに、逆に女の月の抵抗など竜崎にとっては何の意味もないと思い知る。
竜崎は女らしく体の縮んだ月を抱き留めたままそれごとベッドに上り、月の背をシーツに押し付けた。
それでも月は抵抗し身をよじりベッドの上へ上へと逃げる。すぐに壁に突き当たり上半身を起こして張り付いた。
竜崎はまたも手首を鷲掴みにしてぬっと顔を寄せる。
竜崎の左手が月の股間をまさぐり、月はおぞましさに声を上げた。

「本当に女性になったのですね。これなら………可能です」

そう言って竜崎は月のパジャマを剥ぎ取った。

「ま、待て!やめろ!!お前、生理現象って言ったじゃないか!」

逃げようにも後ろと左を壁に挟まれ、右は手首を縫い付けられている。
静かに近付く竜崎は不気味で、月は彼に成す術がない。

「冗談もいい加減にしろ!僕が誰だか分かっているのか!?…僕は夜神、月だ!お前の女じゃないっ!」

確認させるように自分の名を叫んでも、竜崎に変化はない。
右肩をぐっと掴まれ、月の体に怯えが走る。
寝起きのままのような低い静かな声で、竜崎ははっきりと言葉を発した。

「あなたが誰なのかはちゃんと分かっています。
しかし、あなたなら女性であるその無防備に晒された御自分の美しい顔と体を見た寝起きの男がどう反応するかくらい分かるでしょう。…私だって男なんですよ」

言い終わりと同時に凄い力で下に引っ張られ、月はまた竜崎の体の下に戻された。
手首を掴まれ、膝で足を押さえられる。こうなると最早非力となった月はどれだけ力を込めても身動きが取れない。

「どうせ繋がられていて離れられないんです。責任とって下さい。私をここまで興奮させたあなたが悪い」

そう言って竜崎はわざとらしく鎖をじゃらりと鳴らした。
「止めろ、竜崎…っ。僕は男だったんだぞ…!」

「そんなことはどうでもいいです」

「良くな、…あ…っ」

首筋を伝うように舐められて、月は思わずのけ反った。
ちろちろと舌がくすぐるように自分の肌の上を徘徊していく。
背中からぞくぞくとして、月は震えながらその感覚に耐えた。
両手を頭上に掲げ上げられ固定される。
竜崎は空いた左手を使って、月の柔らかな胸をやわやわと揉み扱いた。
先程の確認の為の無感情な動きとは違い、それは快感を引き出そうといやらしく緩急がつけられる。
それに合わせて弾む自分の息が月には信じられない。

一度離れた竜崎の唇が、いきなり空いた胸の先端につけられ、月はひ、と小さく叫んだ。
唇で柔らかく挟み込まれたり、舌先で先端をくすぐられたり。
その動きに合わせて乳房を揉んでいた左手も先端を摘み、引っ張ったり押し込んだり不規則に刺激が与えられる。

「は、はぁ、んんっ、あ…っ」

初めて与えられる感覚に、月はただ背を震わせて喘ぐ。
いつの間にか手首の拘束は解けていたのに、月は気付かずそれを受け入れていた。
自由になった竜崎の右手が唇をつけた胸を掴み、ますます月の快感を煽っていく。

ちゅ、と音を立てられ、唇が離れる。
すぐに代わりに指先がやってきて、唾液で濡れ固くなったそこをぎゅっと刺激する。
竜崎がくびれたウエストに舌を滑らせると、ぞぞぞとした感覚がはい上がり、月の体は弓なりに跳ね上がった。

「嫌だ、も、止めてくれ…っ。この、変態め……くぅっ…」

「いいじゃないですか、綺麗ですよ、夜神君。女の子のあなたは凄く可愛らしいです」

話す竜崎の吐息がそこに当たるだけで月は敏感に反応する。
もう一度竜崎はその白い肌をぺろりと大きく舐め、指を月のパジャマのズボンへと伸ばした。
ぶかぶかだったそれは何も抵抗もなく下着ごとずり降ろされた。
薄い蔭毛が竜崎の視界に入る。
月は必死に足に力を込めるが、間に足を挟まれていて閉じることが出来ない。
無理矢理こじ開けられ、竜崎は何の抵抗もなく月のそこを見つめた。
熱く熟れた女の匂いが竜崎の鼻を掠めた。

「凄く濡れてますよ、夜神君」

「うるさ…いっ……言うなっ…!」

いいようにされていた体を自分で制御出来たはずもなく、月は屈辱で顔を背けた。
長い睫毛を震わせ、ほんのりと赤みを帯びていた頬がみるみるうちに上気していく。
それとは逆に、恐らく凄いことになっているだろうと想像したくもないそこが外気に晒され、潜んでいた熱が空気を昇って広がっていく。
冷えた竜崎の指がくっと当てられ、それはすぐに目的の場所に辿り着いた。
竜崎の指の腹がその突起をくりくりと軽く刺激する。

「ひ、あ、、んー――っ」

己のものとは信じたくないような艶めいた声が鼻から抜けていく。
さんざん焦らされた頂点はそこに直接刺激を与えられただけで下半身を走っていった。

数回指で円を描かれただけで軽くイってしまい、月はただ浅い呼吸を繰り返していた。
溢れそうに濡れきったそこは、今もなおとろとろと蜜を垂れ流している。
痺れた腰に月が放心している間に、竜崎は月に熱くされた自分の指を、ゆっくりとそこに沈めていった。

「流石にキツいですね…」

昨日までは存在しなかったその体が男を知っているはずもない。
竜崎は傷付けないよう、慎重に指を進めて行った。
ゆっくりと焦る事なく、竜崎は濡らした指を奥まで挿入させる。
少しずつ、動かす。
入口を広げながら、徐々にニ本目を試みる。
決して無理はしないその愛撫に、微量ではあったが確実に月の下半身は反応していった。

長い時間をかけて施されていくそれに従い少しずつ月の喘ぎも増していく。
今や竜崎の指はかなりスムーズに動くようになっていた。
出し入れを繰り返し、中で別々に蠢く。
ある一点を刺激したとき月の体が大きく反応して、ここかと竜崎は執拗にその部分を責め立てた。
もはや月の喘ぎ声は止まらない。
中の一点を激しく刺激するのと同時に、タイミングを見計らって竜崎はそのすぐ上に勃つ赤く充血した突起を吸い上げた。

「っや、竜ざっ、あ、ぁああああああああっ!!!」

その叫びは高く尾を引き、月の体が大きく張り詰めた。
そのまま月はいつまでもがくがくと腰を揺らしていた。

今までとは明らかに格の違う物凄い快感に、真っ白になった頭の中で月は慄のいた。
一回目の絶頂はもとより、今まで男であった月が感じてきたそれとは全く比べ物にならない強い電撃が、全身を駆け抜け、意識を飛ばす。
竜崎の指を招き入れている自分のそこが、それを更にくわえ込むようにびくびくと収縮を繰り返すのを、月ははっきりと感じた。

深く指し入れられた指が引き抜かれた。
そこはじゅ、と淫らな音を立てたが、月はそれを何か違う世界のことのように感じていた。
絶頂の余韻で感覚がいっぱいいっぱいになり足を閉じることさえ出来ない。
体に寄せられていた人の熱が離れ、何処か遠くで衣擦れの音が聞こえた。
多分竜崎が服を脱いでいるんだろうな、とぼんやりと月は思った。
裸になった竜崎の上半身が月に覆い被さり、月の頬に竜崎の少し長めの固い黒髪が降りかかる。
先程まで何本も指を受け入れていた自分のそこに竜崎の固くなったそれを宛てがわれ、ようやく月は竜崎の顔を見た。

「いいですか、夜神君」

確認のはずのその言葉には、しかしもうどうにもならないといった力が込められていた。
汗をかき、紅い唇を震わせた腕の中の月は、可憐でいて、誘うような色香がたまらない。
その姿にますます竜崎の欲情は煽られる。

月は、交わった視線に、その美しい顔を歪めた。

「う、るさい…。ここまで、やっておいて…今更お前は…そんな、ことを…っ。」

声が思うように出ず月は切れ切れに言葉を紡いでいく。

「も、いいから早く入れろ…っ」
自分の体が女になってしまったことも、よりによって竜崎なんかに抱かれようとしていることも、もはや月にはどうでも良かった。
ただ意味が分からない程体が熱く、今の自分はその感覚に素直に従いたい。
つらい程の強い快楽の為に早く終わってほしいと痛切に感じ、また、無自覚でありながらも更に迫る未知の快感に期待している。
このまま一方的に続けていけばいいのに、今更自分に意思を問う竜崎が恨めしかった。

本能的に恐怖を感じて体が自然と強張る。
月は指をぎゅっと握りしめ、これからの行為に耐えようと心を決めた。
竜崎は自分と鎖で繋がる掌のそのこもった力に気が付くと、意外にも優しく月の指を解し、自分の指と絡め合わせた。

「どれだけ握りしめても、爪を立ててもいいので。しっかり握っていて下さい」

突然見せた竜崎の思いやりに、月は交わす言葉が見つからなかった。

ぐっとそれが圧し進んでくる。めり、とそこが裂かれていくようで、月は息を飲んだ。
息を止めないで、力を抜いて下さい、と囁かれ、震えながら息を吐いた。
一瞬止まったそれは、こちらの様子を見ながらゆっくりと奥へと入ってくる。
下半身をあるがままに竜崎に任せようとするが、どうしてもその苦痛に反射的に締め付けてしまう。
その度に竜崎は動きを中断して月の瞳を確認した。
茶色の瞳は切なそうに喘ぎながらも強い意志の光を失っていない。
月も必死で受け入れようとしてくれているのだ。

あれだけ時間をかけて体を開かれ、今も細心の注意を払って月を気にかけながら侵入してくるそれは、入口さえ裂くような痛みを月に与えたものの、1番質量のあるところを通り過ぎると、あとは割とスムーズに奥まで入り込んでいった。

「…っ。全部、入りましたよ…」

「…………っ」

その感覚は、何も言われなくとも、月にもはっきりと伝わった。
しばらくそこを慣らす為に竜崎は動かない。
月は瞳を伏せて上がった息を落ち着かせるように呼吸を繰り返した。
初めの耐え難い痛みは徐々に消え、今はただ鈍い痛みだけが月の腰を痺れさせていた。
月は瞳をうっすらと開けた。
少しおぼろげに黒髪の垂れた竜崎が見える。

昨日までの自分が見ていた細いというイメージしかなかった竜崎の体は、今は違う、明らかに男のそれだった。
自分は、今、女として、男である竜崎を迎え入れている。
この感情は何なのか。
嬉しいのか、悲しいのか、もう諦めてしまったのか、女として満たされているのか。
分からない、ただ昇ぶった感情に押されて月は泣きそうになった。
潤む目で自分を見つめる僕をこいつはどう思っているのだろう。

「もう、いいですか…?」

のろのろとした動きも月を気遣ってのことだろう。
動かれると収まりかけていた痛みが新たに月を襲う。
だが、それと同時に、少しずつ忘れていた快感の灯が点されていく。
月は竜崎の指を握りしめて、必死にその動きに腰を合わせた。
は、は、と息が洩れる。
顔を歪めながら、抗いがたい快感に捉らえ始める。
ふと月が見上げると竜崎はいつもより少しだけ必死な顔をしていた。

徐々に動きは早まり、そのまま二人は止まることなく、やがてお互いの快楽が限界を告げると、竜崎は月の腹に己の熱い欲望を放った。

しばらく月がだるい体をそのまま投げ出していると、竜崎が、どこから持ち出してきたのか、熱く濡れたタオルを手に部屋へ戻って来た。
それを使って、竜崎は丁寧に月の体を清めていく。
いつもはあんなにだらしないのに、妙なところでまめな奴だ、と月は思った。
だんだん月の頭にかかった霧が晴れていく。
正気に戻ると、竜崎とあんなことをした自分が月には信じられなかった。

「おい…」

自分の体を柔らかく拭く竜崎に、視線を向けることなく月は話し掛けた。

「お前、今まで僕のこと、何だと思ってたんだ…?」

その月の問いに、竜崎は明らかに不満気な顔をして月の方を見遣った。

「どういう意味ですか。私は男性の夜神月に対してはこのように感じたことなど一度もありません。
あなたが急に女性になり、またその肢体を私に見せたことで、あなたがとても魅力的な女性になったということが発覚したんです。
そして最近の監視生活の為に抑えられたお互いの性欲が私を誘惑した。
言うなれば異性にしか通じないフェロモンがあなたから出ていた。私はそれに触発されたということであって…」

いかにも普通の行為であったかのように次々と言葉を並べる竜崎の声を聞き流しながら、月はぼんやりと白い天井を眺め身を任せていた。
ぼうとしているといつの間にか体はすっかり情事の痕跡を落とされたようで、月はベッドの下に落とされていた掛布を身に纏って上半身を起こした。

「……朝勃ちの間に合わせに抱いた癖に」

竜崎に聞こえるようにぼそりと呟く。

「本当に夜神君は失礼ですね。そんな理由だったらあんなに丁寧には抱きませんよ。
女性なら誰でもいいという訳ではありませんし、これだけ魅力的な女性を目の前にして、抱きたいと思わない方がおかしいです。
この私にここまで思わせる程、今のあなたは美しくまるで光を放っているようです」

「まさかこれもキラか…」

淡々と真面目に話す竜崎の、その顔と性格に似合わない歯の浮いた台詞を無視して、月は思いついたまま言葉を放つ。
本当は、その割にはキスが一つもなかったじゃないか、と非難したかったが、しかしそんなことを言ってしまえば逆にして欲しかったのかと返されるのは目に見えていたので、敢えてここは黙っておく。

キラという言葉を聞き、瞬時に竜崎は呆気にとられた顔を作って、一言、言い放った。

「有り得ません」

「………………………。
分かってるよ!くそっ、そんなにすぐに反応するなっ!……はぁ、僕はこれからどうすればいいんだ…」

憂いているものの、すぐにムキになったり、言葉とは裏腹に軽く頬を染めている月は、なんとも初々しい色気がある。
それがおかしくて、竜崎は沈んだ月を気遣うこともせずにそのまま抱き寄せた。
華奢になった体は月には悔しいほど竜崎の腕の中にしっかりと収まる。

「まあ別に困ることはないんじゃないですか。今までの知り合いに極力会わないようにしていけば。
捜査本部はほとんどインドアで進んでいきますし、とりあえず問題は生じないでしょう」

月の耳元でなんでもないようなことのように囁く。
なんてことだとなおも呟く月の言葉も聞こえないように、見た目は可愛らしい月の額に竜崎は軽く唇を落とした。

「なんならこの事件が解決した後も私の側にいて下さい」

月はその言葉に目を吊り上げながら竜崎を見上げた。

「…それはお前の探偵業を手伝えということか?」

「それもありますが、もちろん今みたいにそれ以上のことも頼みたいです。
……凄く良かったです。夜神君も、良かったでしょう?」

その抑揚のない言葉に恥じらいというものも知らないのかと月は自分を抱く男の脇腹を思い切り殴った。
月の渾身の一撃をモロに喰らっても竜崎の顔にはそれ程堪えた様子はない。
信じられないことばかりを飄々と口にし実行するこの男と、全く持って未だ信じられない自分の体に、月は夢なら早く覚めてくれ、と儚げに息をはいて瞳を閉じた。

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