もしFE聖戦のセリスが、男装の少女だったら(FE 聖戦の系譜)

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もしFE聖戦のセリスが、男装の少女だったら……というお話です。

「セリス様」
「何だい、オイフェ?」
「……お話があります」
やけに重々しい声でオイフェがそう言うので、セリスは素直に手を止めて、オイフェの『話』というのを聞くことにした。
「うん、わかった」
仕方ない。屋根の修理は後回しだ――。命綱を外すと、セリスはその場でくるりと宙返りし、そのまま小屋の屋根から飛び降りて、綺麗に地面へ着地を決めた。
シャツがばさばさとはためいて、ほとんど少年同然の、起伏の無い肌が一瞬顔を覗かせる。
オイフェは驚きに眼を見開き、何ともいえない顔でセリスを凝視した。
「どうしたの? なんだか顔が赤いよ」
オイフェの硬直していた時間が動き出し、その目に光が戻る。
『ああ、これは……お小言の気配だぞ』そう思った次の瞬間、オイフェが口を開いた。
「セリス様! 何を考えているのですか!」
きーん、と耳鳴りがしそうなほどの怒鳴り声に、思わず顔をしかめながらも、セリスはくすくすと笑う。
「もう、そう怒鳴らないでよ。いいじゃないかこれくらい。心配いらないよ」
「いけません! いいですかセリス様、あなたの身体はあなた一人のものではないのです。
シアルフィの、ここティルナノグの、更に、ひいては世界の命運を担っているのですよ!」
オイフェはいつもこうだ。セリスには決して『危ないこと』をさせたがらない。
だがそれは不公平というものだ。自分だけ楽な立場にいて、周囲の人々に危険なこと、嫌なことは押し付ける。
それはグランベル帝国と何が違うというのだ?
だからセリスも半ば意地を張るようにして、『危ない』仕事を積極的にするようにしている。まあ、子供が出来る程度のことだから、大したことではないのだが。
実際、誰が見ても、オイフェは過保護すぎるのだ。オイフェ自身も、それは理解している。
だが、心配なものは心配なのだ。理屈ではない。

「はい、はい。それで、話ってなんだい?」
そんなオイフェの気も知らず、つらつらと続く小言を銀の剣を振り下ろしたようにスパッと断ち切り、セリスはにこにこしながら聞いた。
「返事は、はい! 一回です!」
「はーい!」
セリスがくすっと微笑むと、オイフェは何とも言えない複雑な顔をして、がっくり肩を落とした。
「……よろしいですか、セリス様。あなたはご自分の立場というものを、もう少し考えて頂きたい」
オイフェは声を低く小さく抑え、続けた。
「……何がきっかけで、あなたが女性であることが知られるか、わからないのですよ。
もし屋根から落ち、怪我でもして、その傷を誰かに診られるようなことにでもなったらどうするのです。くれぐれも、行動の一つ一つに慎重にならなければなりません」
セリスが女の子だということを知る物は、ここティルナノグでさえほとんど居ない。
オイフェやシャナンといった解放軍の重鎮と、セリスのごく身近にいる者たちだけが、この真実を知っているのだ。
「わかっているよ」
セリスはうんざりしたように溜息を吐いた。
「でもね、そういうのをイザークでは、天が落ちてくるのを怖がるっていうんだよ。そうやって、あれもだめ、これもだめじゃ、ぼくは何にも出来なくなっちゃうよ」

――天が落ちてくる。

「……どうしたの、オイフェ?」
セリスは何気なく言った言葉だったが、それは矢のようにオイフェの胸に突き刺さった。
バーハラの戦いの最後、アルヴィスが行ったというあの策略。
メティオ。天空から降り注ぐ無数の火の玉――。
いい人たちだった。本当に。みんな、みんな、優しくて、気のいいひとばかりだった。なのに――。
「――フェ、ねえオイフェ、オイフェってば!」
「あ……す、すいません。少しぼうっとしていたようです」
「ねえ大丈夫なの? オイフェ、どうしたの? 疲れてるの?」
「何でもないのです。少し、めまいがしただけで……」
「めまい!? 大変だよ! ぼく、シスターを呼んでくる!」
慌てて駆け出そうとするセリスの手を、オイフェは優しく握り締めた。
「大丈夫です。本当に大丈夫ですから」
それから、オイフェは少し冗談めかした口調で言った。
「……怒鳴りすぎて、頭に血が上ったんですよ。まったく、私が心配なら、怒らせないでください。心配させるような真似をやめるのが何よりの薬ですよ」
セリスは一瞬きょとんとして、頬をりすのように膨らませた。
「オイフェのバカ! 本当に心配したんだよ!」
「バカとはなんですか。そんな下品な言葉遣いを教えた覚えはありませんよ」
「バカはバカだよっ! オイフェのバカ! バカー!」
セリスは散々バカバカと罵ってから、ぷい、と顔をそむけた。思わず苦笑するオイフェだったが、すぐに顔をひきしめた。
「セリス様」
様子が変わったのに気が付いて、セリスも不承不承顔をオイフェの方へ向けた。
「本当に、危険なことだけはしないでくださいね」
まだ不満そうな顔のセリスに、オイフェは微笑を浮かべて言葉を続けた。
「……秘密や、礼儀作法のためだけではありませんよ。誰だって、家族のことが心配でないはずが無いでしょう?」
「……うん」
セリスはこくりと頷いた。
「とは言え……私は過保護すぎるかも知れませんね。私はもっと、黙って見守ることも覚えるべきなのでしょうが……」
「……オイフェ」

「……でも、もうしばらくは、あなたの親気取りでいさせてください」
どこか遠くを見ているようだったオイフェの視線が、セリスの知っているいつものそれに戻った。
「さあ、お説教はこれくらいにして……そろそろ食事の時間です。エーディン様が、美味しい昼食を用意して、みんなと一緒にセリス様が来るのを待っていますよ」
「……あ、もうそんな時間だった?」
「ええ。さあ行きましょう」
セリスに先立って歩き出したオイフェの背中に、ずしんと柔らかな重みがかかった。
「えへへ」
オイフェは苦笑すると、手を後ろにやって、背中に乗ったセリスを支えた。
「ねえ、オイフェ」
「なんです?」
「ぼくの力を、オイフェに分けてあげられたらいいのにな」
「ええ?」
「だって、そうできればすぐに元気になるのに。ぼくもライブが使えたらな」
「ふふふ……私はまだ若いですよ。セリス様に分けてもらわなくても、力ならありあまっています」
「えー。でもオイフェって、年の割には老けてるよねぇ」
「……老けて見えますか?」
「うん。……かなり。ねえ、その髭そったら?」
「いいんです、これは。わざと生やしているんです」
「似合わないよう……」
「いいんです!」
「その髭に若さを吸い取られてるんじゃないかな~」
「いいんですっ!」

そんなことがあった日の夜――。
その日はやけに寝苦しかった。
胸が重い。
まるで目の前にもやがかかったように、頭が重たい。
嫌な夢を見ていたのはわかるが、それがどんな夢なのかは思い出せない。
浅い眠りが続き、何度も目を覚ましては、また頭の重みに耐えかねて布団にもぐりこむ。
ようやく深い眠りが訪れた時には、あと少しで日が地平線から顔を覗かせる時刻になっていた。
だから、しばらくオイフェは自分の身に何が起こっているのか、まったく気が付かなかった。
小さな影が、こっそりと部屋の中に入ってくるのにも、その影が、オイフェの寝顔を確認して、ほっとしたように笑ったことも、
影が、オイフェの布団を剥いで、中にもぐりこんで来るその間でさえ、僅かにくすぐったさに呻いただけだった。
なのにオイフェが目を覚ましたのは、小さな影が唇を塞いだせいで息苦しくなったせいだった。
「……!?」
何かが唇を塞いでいることに気が付いたその瞬間、オイフェは飛び起きた。
「なっ、なっ、なっ、何だ!? 何だ今のは!?」
「あ、起きちゃったね」
ばっと顔を下に向けると、そこには人影らしきものがいた。
より細かく描写すると、パジャマを半分肌蹴た、これほど幼くなければ扇情的と言ってもいい姿の少女が、月明かりの下でオイフェのお腹に跨りながら、目をぱちくりさせていた。
「せ、せ、せっ、せりっ、セリスさ――!?」
「あ、オイフェ。しーっしーっ」
セリスが慌ててオイフェの口を塞ぎ、指を一本口元で立てた。「静かにしてね。まだ夜中だよ。みんなに迷惑だよ」
めっ、という怒ったような目で見られ、釈然としないままオイフェは小さく頷いた。
オイフェの口に当てた手を外し、セリスはにこにこしながら言った。
「あのね。オイフェにぼくの力を分けに来たんだよ」
「……はっ?」
何が起っているのかさっぱり理解できず、ただ呆然としているオイフェとは裏腹に、セリスは完全に落ち着いていた。
「大人はこうやって、力を分けるんだよね?」
そういうと、セリスはオイフェの唇と自分の唇を、ぴったりと重ね合わせた。
「――!?」
目を白黒させながらも、オイフェはあまりの衝撃に何も出来ないでいる。セリスが舌を入れてきたときでさえ、震えて仰け反ることしか出来なかった。
一生懸命、セリスが舌を動かしては、さらさらとした唾液が口の中に流れ込んで来るのを、ただ黙って受け入れることしか出来ない。
手足をがっちりとオイフェの身体にしがみ付かせながら、セリスはこの作業を真剣な顔で続けた。
「……ふー。オイフェ、終わったよ」
口元をハンカチで拭きながら、セリスは嬉しそうに笑った。
「な、なっ、なっ、せ、っせっ、せ、せ、せりっ、せりすさまっ!?」
「きっと、これでオイフェも元気になってくれるよね?」
屈託の無い笑顔を浮かべ、セリスは無邪気にそう言った。本当に、これで自分の力が相手に伝わったと思っているのだ。
「……せ、セリス様……」
その無邪気な微笑が、あまりにも懐かしく、胸の奥に封じ込めていた微笑と似すぎていて、オイフェの胸は、ずきんと痛んだ。

――ああ、セリス様……あなたはやはり……あの方によく似ている……

「? オイフェ?」
オイフェの様子が何だかおかしい。それに気が付いて、セリスが目をぱちぱちする。試しに顔の前で手を振ってみるが、反応が無い。
反応が無いどころか、突然目から涙が流れて、頬に一筋の線を作ったので、セリスはびっくりしてしまった。
やっぱりあれだけじゃ、力が足りなかったんだ。そうセリスは決め付けた。
昼間のオイフェの様子は、ただごとではなかった。ああは言っていたが、やはり体調が悪いとしか思えない。それくらい、あの時のオイフェの表情はおかしかった。
――ぼくがもっと力を分けてあげないと。
とりあえず、次はあの怪しい髭からだ。やっぱりあの髭は若さを吸い取っているような気がする。似合わないし。
セリスは剃刀を、ぼうっとしたままのオイフェの髭に当てた。その瞬間、オイフェの目に光が戻る。
「せっ、セリス様!? あ、危ない! 何をするんです!?」
「動いちゃダメだよっ!」
オイフェは必死にセリスから剃刀を取り上げようとする。セリスはオイフェから剃刀を取り上げられまいとする。
結論から言うと、戦いはセリスの勝利に終わった。
オイフェが剃刀を取り上げて、セリスの手が届かないよう頭上に高く上げた瞬間、オイフェは既に敗北していた。
剃刀を追って、セリスがオイフェの顔に跨った時に。
自分の顔に当たっているものの感触を感じ、鼻いっぱいに女の子の匂いを吸い込み、自分の顔に跨っているのがセリスのどこの部分なのか理解した瞬間に。
オイフェの意識は粉々に砕け散った。
そして砕け散った次の瞬間には元に戻って、オイフェは悲鳴を上げた。
口は殆どセリスに塞がれているので、くぐもった声だったが、悲鳴には違いない。
なので、セリスはその悲鳴を手っ取り早く静かにさせようと、太股と股間でオイフェの口を塞ごうとした。
余計に密着され、オイフェの悲鳴はますます激しくなり、当然セリスの太股をがっちりとオイフェの頭を挟んだ。悪循環だった。
おまけにオイフェが逃れようと頭を動かすものだから、鼻や熱い息が、セリスの一番敏感な部分を痛いくらいに刺激し、
その上、その刺激があまりに急だったため、びっくりしてちょっぴり漏らしてしまい、それすらも刺激となって……
「ふあああぁぁっ!?」
セリスはその日、生まれて初めて……イった。

「……ふわあ……」
何だかよくわからないけど、頭がじぃんと痺れている。
「な、何だろう……今の……」
殆ど無意識に、オイフェの顔に跨ったままぐりぐりと腰を動かす。そしてその刺激で、はっと我に帰った。
「あっ……ごっ、ごめんオイフェ! ああ……ぼく、なんてことしちゃったんだろう……」
泣きそうな顔になりながら、慌ててセリスはオイフェの上から降りた。
「ごめんね、ごめんね……ぼく、オイフェにおしっこかけちゃった……」
申し訳なさと、恥ずかしさで胸がいっぱいになり、セリスはぽろぽろと大粒の涙を流した。
しばらくの間、オイフェは微動だにしなかった。
やっぱり怒っているんだろう。口も聞きたくないのかも知れない。セリスは不安になり、ぼろぼろと涙を零しながら顔をくしゃくしゃにした。
「オイフェ……許して……ごめんなさい……ごめんなさい……」
「……セリス様……」
「! あっ、お、オイフェ……ごめんね、ごめんね」
「い、いえ……いいのです……セリス様は、私のことを思って、こんなことをしたのでしょう?」
「うん……でも……ぼく……」
「な、泣かないでください……怒ってなどいませんから……」
「でも……でも……」
泣き止まないセリスに、オイフェは微笑んでいった。
「セリス様のお陰で、私は元気になれるんです。セリス様が笑っていてくれるだけで、力がみなぎって来る。セリス様が元気で居てくれるだけで、生きる気力が沸いてくるんです」
「オイフェ……本当?」
「本当です。だから泣き止んでください。セリス様が泣いていると、折角もらった力が消えてしまいます」
「! う、うん! 泣くのやめる。だから、元気になってね、オイフェ」
パジャマの袖で涙を拭くセリスの手を優しく止めると、オイフェは自分のハンカチでセリスの涙を拭った。
「目が痛くなってしまいますよ」
涙を綺麗にふき取ると、オイフェはセリスの頭をなでた。、
「さあ、もう夜も遅いことですし……眠りましょう。明日はお休みの日ではないでしょう? 学ぶことが沢山あるんですから、身体をしっかりと休めておかないといけませんよ」
「うん」
「さ、お部屋までお送りしましょう」
「……一緒に寝ちゃダメ?」
硬直したオイフェを、上目遣いで見つめながら、セリスはお願いした。
「久しぶりにオイフェと一緒に寝たいなあ」
一瞬、オイフェの目が、何かひどく葛藤しているかのように泳いだ。が、何かの決着がオイフェの中で終わりを迎え、彼は頷いた。
「ええ、いいですとも」
オイフェは微笑んだ。……ただ、その目は笑っていなかったことに、セリスは気が付かなかった。

「ねえオイフェ」
「何ですか?」
同じ布団の中で、オイフェにぴったりと寄り添いながら、セリスは尋ねた。
「ぼくの力、ちゃんとオイフェに伝わった? 元気になった?」
「……ええ、勿論」
少し間があったような気がしたが、オイフェは頷いた。
「やっぱりちゃんと効果があるんだね。よーし、今度シャナンにも力を分けてあげようっと。エーディンにも。スカサハとラクチェにも分けてあげようっと。それから……」
オイフェの腕が、その瞬間びくっと大きく震えた。
「セリス様」
「うん?」
「今度、もっと効果のある力の分け方を教えてあげましょう。だから、今日やったやり方はもう使わないように。約束です。いいですね?」
「? うん、わかった。ありがとうオイフェ」
「必ず守ってくださいね」
「うん」
「……そういえば、どうしてその……下着を着けていなかったんです?」
「あのね、その方が効果があると思ったの。だから魔道士は生足なんだよね?」
「……セリス様。今度、セリス様に『力の分け方』について教えてくれた人について、詳しく教えてくださいね? 出来るだけ詳しく」
「? うん」

セリスが起きた時には、オイフェはもういなかった。こんなに朝早くからお仕事に行かなくちゃ行けないんだから、オイフェは大変だなあと思った。
その上、そんなに忙しいのに、セリスが夜の間うなされて寝汗をかいていたので、シャツもパジャマも脱がしておいてくれたらしい。起きたら裸だったのでびっくりした。
オイフェはやっぱり優しいなあと思いながら、セリスはオイフェのような立派な騎士になろうと改めて思った。
でも、あの髭までは真似しないで置こうとも思った。

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