「この残酷で優しい世界の中で」~あなたがつなぐあたしのこころ~ その2

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■■【5】■■

『彼女』の身体は、ストレスと心労で、一ヶ月と経たず体重が6キロも落ちた。
ところが、痩せるとまず乳から小さくなると聞いていたのに、体は細くなっても一向にカップはサイズダウンせず、
結果、逆に2サイズもアップしてGカップという馬鹿みたいなサイズの乳房に育ってしまった。
『彼女』は…その頃は便宜上「望美(のぞみ)」と名前を変えた『彼女』は、
それをひどく悲しんだが、男子達はむしろ喜んだ。

同じ年頃のクラスメイトに、そんな“巨大な”おっぱいを持つ女子がいなかったからだろう。
しかも、見るだけではない。
今の自分達は、そんなナマでは見たことも触れた事も無い馬鹿でかいおっぱいを、
毎日好きなだけ自由に出来る立場にいるのだ。

ノーブラでの登校を強要されたのは、それを彼等が知った翌日からだった。
彼等は『彼女』のおっぱいを好きな時に好きに弄り、嬲り、吸った。
グラビアでしか見たことの無い美巨乳に思春期のケモノ達が狂ったとしても、それは仕方無かったのかもしれない。
廊下を歩いていると突然物陰に引っ張り込まれ、乱暴にシャツをスカートから引き出してたくし上げられる事もある。
そして、白くて大きくてやわらかい乳肉を揉み立て、嘗め、吸われるのだ。
いつものように男達に散々嬲られた後、人気の絶えた放課後の水飲み場でハンカチを濡らし、
泣きながら唾液でべとべとのおっぱいと精液の滴るあそこを拭っていると、
別の男に腕を引かれて誰もいない教室に連れ込まれ、
そのまま綺麗に拭いたばかりのおっぱいをめちゃくちゃに弄ばれ乳マンコを強要されたりもした。
廊下を歩いていても昼食を取っていても靴を履こうとしていても、どこで何をしていても、
すぐに男の手が他の女子の目を盗んでおっぱいに伸びて触られ、嬲られた。
シャツから浮き立ったノーブラの乳首は、男達に好きに摘まれ捻り上げられて、
四六時中“じんじん”としていたし、おっぱいからキスマークが消えない日は無く、
乳首から男達の唾液の匂いがしない日は無かった。
朝起きた時でさえ、身体から絶えず唾液や精液の臭いが漂ってくる幻臭に悩まされ、
それを香水で誤魔化そうとして、結果として香水の匂いがキツ過ぎて教師に呼び出しを食らったこともあった。
そうして、いつしか新調したばかりのブラもキツくなり、
気が付けば毎日弄ばれたおっぱいのカップは「H」を越えていた。

これだけの事を学校でしていれば、いずれ噂になって教師の間でも話題になるものだが、
男達はバスケ部の顧問でもある生活指導の体育教師の岡島に『彼女』を抱かせる事で、全てを握り潰していた。
そのため、岡島が宿直の時は『彼女』はいつも学校に残った。
彼に抱かれるために。
そして岡島は、大人ならではの経験の豊富さでチームメイトよりはるかに巧みな性技を使い、
一晩中『彼女』を翻弄し、啼かせ続けた。

しかし、これだけされても、『彼女』は両親には相談出来なかった。
父親の会社は半年ほど前から経営が厳しくて今では滅多に家に帰らなかったし、どこか、
“娘になった息子”を気味悪がっているように感じた。そして母親は最初こそ頻繁に様子を伺ったり、
体組織のサンプルを採取したりしていたが、そのうちに以前のように息子から逃げるようにして
研究所に泊まり込むようになったからだ。
同じ家に住んでいるのに、顔を合わせるのは二週間に1・2度、あるかないか。
そんな家族の形に絶望して、『彼女』はやがて男達との行為に身を委ねていくようになっていった。

両親が留守がちだと男達に知られたのは、女になって2ヶ月になろうかという頃だった。
7月も終盤を迎え、夏休みに入ろうとしていた。

ようやく学校から開放され、男達からも解放される。
そう思い安堵していた『彼女』は、男達からの嘲笑を含んだ電話に…絶望した。
学校にも家にも、もう安息の場所は無いのだ。
それをハッキリと刻み込まれたからだった。

最初は、『勉強会』という名目だった。
一週間の間、男達は毎日『彼女』の自宅にやってきて、毎日『彼女』を犯した。
最初の3日間は、いつ親が帰ってきてもいいように、場所は『彼女』の部屋に限定されていた。
『彼女』は後からお尻を貫かれながら数学の教科書を読み、
漫画を読んでいる男に頭を撫でられながら口いっぱいに勃起した男根を頬張った。
そして、自分のベッドで2人がかりで責め立てられ、おっぱいを嬲られながら何度もイッた。
自分の部屋で。
犯されて。
立て続けに何度もイッてしまった。

日を置かず、部活の合宿という名目で呼び出された。
その頃には『彼女』はバスケ部のマネージャーという事になっていた。
『彼女』の通っていた学校は、それなりの“社会的地位のある人物”を親に持つ子女も通う私立高校で、
夏には避暑のため「別荘」で過ごす生徒も珍しく無かった。そういう別荘は大抵私有地に建てられていて、
そこで何が行われていても容易にはバレることもないため、
彼等は時々その別荘で様々な“イベント”を行っているようだった。
『彼女』は、部員の一人のそんな海辺の別荘に連れていかれ、朝と無く夜と無く、男達に抱かれ続けた。
服は別荘に到着した途端に剥ぎ取られ、豊かに実り揺れ動くHカップを越えるおっぱいも、
楚々とした可愛らしい陰毛も、小ぶりだがしっかりと女らしく張ったお尻も絶えず晒して過ごさなければならなくなった。
2日目には、面積がとんでもなく小さい真っ赤なビキニを着せられ、
おっぱいもお尻も半分以上がこぼれた姿で別荘のある地元を歩かされた。
水着のままコンビニに入り、トイレで立ったまま後から尻を抱かれ、思い切り射精された。
水着のまま小さなスーパーのバックヤードに連れ込まれて、おっぱいを弄られながら生温かい精液を飲んだ。
恥ずかしさに泣きそうになりながら、酔ったような真っ赤な顔で肩を抱かれ歩く破廉恥な女は、
地元の人達の嫌悪の目に晒された。
「助けて下さい」
そのたった一言が、言えなかった。
脚を伝って垂れ落ちる大量の粘液が、嫌でも自分が汚れた便所女だという事実を突きつけていたから。
時には、海を横目に見ながら赤松に両手を付いて、自分の尻と男の腹が立てる肉打つ音を聞いた。
そして時には真っ青に晴れ渡った空を見上げ、流れる白い雲を涙の溜まった目で追いながら、
自分の両脚を肩に担いで腰を振る男に乳を激しく揺らされた。
ある時は、別荘の大きなテレビの前に並んだコの字のソファに陣取った、半裸の男達の足元に跪き、
順番に口とおっぱいを使って射精させていった。
一滴でも絨毯にこぼしたら、あそこと肛門に挿し込んだままウネウネと動くバイヴを夜まで抜かないと脅されながら。
風呂では当然のように、自分の身体で男達を洗った。
おっぱいを嬲られ、尻を叩かれ、あそこに指を何度も挿し込まれながら洗うのは耐え難かった。
湯あたりと長時間に渡る嬲りでぐったりした『彼女』は、最後に御礼だと言って全員に全身を洗われた。
何度もイかされ、何度も気を失ってもなお、彼等は『彼女』の素晴らしい身体を開放しようとはしなかった。
素っ裸のまま真っ暗な夜に別荘から放り出され、見も知らぬ男に暗闇に引き摺り込まれて、
待ち受けていた3人の男に代わる代わる朝まで犯された。

翌朝、チームメイトとその男達が仲良く談笑している姿に、彼等は最初から仲間だったのだと知って涙した。
そして愕然とした。
男の一人が、体育教師の岡島だったからだ。
彼は、若い女子高校生を自由に出来ると、今の学校に赴任してくる前の生徒を連れてきたのだった。
おそらく、前の公立学校で女子生徒を集団でレイプした事が問題になり、
しかし女生徒の証言だけで証拠が不十分なため厳罰処分だけで済まされ、それで今の私立校にやってきたのだ…という噂も、
あながち嘘ばかりではないようだった。

高校生の男達は若く、逞しく、そして回復が異常に早かった。
そして岡島の体力は、チームメイトのさらに上を行っていた。
11人のチームメイトに体育教師を含めた3人を加え、総勢14人の男の14本の男根のどれかが、
いつも『彼女』の膣内(なか)にあった。
膣内が擦れ、痛みに涙し、懇願し、跪いて床に頭を擦り付けてようやく許されても、
フェラチオと乳マンコは許されなかった。
排便している時に強引にトイレの中まで入ってこられ、自分の大便の匂いの中、
ゲラゲラと笑われながらおっぱいを嬲られフェラチオをさせられた時は、もうどうなってもいいと思った。
男達が好きな時に好き勝手に『彼女』を組み伏せ、貫き、責め立てて、小便する気軽さで膣内に射精するようになってから、
別荘の中ではパンツ一枚だけ身に着ける事が許されるようになった。
ただそのパンツも「精液が床にこぼれたら汚いから」という理由だけで許されていただけだった。

別荘の中で14人に出会うたび、次々と理由も無くおっぱいを引っ叩かれ、
「やめて」と言えば侮蔑的な言葉を何度も吐き掛けられながら、乳首を捻り上げられた日もある。
おっぱいを隠せばパンツを擦り下げられて、したたかにお尻を引っ叩かれた。
糸を引く、精液と愛液の混ざりあった粘液が空気に触れて、ひりひりと赤く腫れたお尻に再び引き上げられた時は、
ひどく気持ち悪かった。
Hカップを超える美巨乳は真っ赤に腫れ、“じんじん”と熱を持ち、蚯蚓腫れの痛々しいラインが何本も走った。
夜になってそのラインの本数を数えて一喜一憂する男達に、自分のおっぱいが賭けに使われたのだと知り、
どうしようもなく涙がこぼれた。

朝目覚めたら、いつの間にか素っ裸にされていて、顔と乳と、
バイヴを突っ込まれた股間を何枚も何枚もデジカメで撮られていた事もあった。
その恥ずかしさ、屈辱感、情けなさを想像出来るだろうか?
自分が本当に性玩具(おもちゃ)になったような気分。
人として見られていないということを、まざまざと思い知らされるのだ。

男達の中には、ちゃんと自分の彼女がいる者もいた。
あの岡島にも今は歳相応の婚約者がいるという話だ。
けれど、総じて男達は普段接している女では出来ない事を、
この「男から女になった美少女」で試し、楽しんでいるようだった。
自分は死ぬまでこうなのだろうか?

自分で命を絶てない以上、絶望し、やがて殺されるか体力も気力も尽きて事切れるまで、
男達におもちゃにされ続けるのだろうか?
これからどう生きていけばいいのか。
生きていってもそこに何があるというのか。
毎晩のように、涙に濡れた。

■■【6】■■

夏休みが明けてから、いつしか男達は街中でも平気で『彼女』を嬲るようになっていた。
時には仲睦まじい恋人同士のフリをしながら『彼女』を膝に抱き、
甘えるように頭を預けた『彼女』の頬にキスをする光景をビデオに撮ったりもした。
もちろん、ただ膝に抱いているわけではなく、しっかりと膣内に男の男根は根元まで挿入されていた。
みっちりと隙間無くお尻の中に突き刺さり、昼間の往来であるがゆえにピストン運動をさせてもらえず、
『彼女』はわずかばかり身体を揺することで快楽を得ようとしてたが、
男はわざと『彼女』を抱き締めてそれを許さなかった。ようやく許されたのは人影が絶えたわずかな時間だけであり、
そのほんのわずかな時間だけ男は下から『彼女』を突き上げ、射精した。
『彼女』は人の行き来する往来で犯され、中に射精されて、泣きながら何度もイき、
そんな自分を嫌悪しながら快楽に流されていった。
学校にいても家に帰っても街に出ても、いつも犯され、嬲られ、弄ばれて汚される。
自分がもう、男達の性欲の受け皿としての存在価値しかないのだと、男達専用の性奴隷でしかないのだと、
その事実を日々刻み込まれる日々。
それが『彼女』の日常だった。

男達を殺すしかない。

その思いを決定的としたのは、9月も終わろうとしている土曜日の事だった。
あの日も『彼女』はカラオケボックスに連れ込まれ、順番に8人を相手にして子宮内が精液でパンパンになり、
ぐったりと最後の男に抱かれながら後からおっぱいをゆったりと揉み込まれていた。
まだフェラチオを強要されていなかったため、8人がそんな状態の『彼女』にそれぞれ好きな時に好きなようにキスし、
口内を嘗め回して『彼女』の甘い唾液を堪能している。
全身を複数の男に同時に撫でられ、激しく挿入され膣内に射精されて、その上で何度も何度も口付けされて、
『彼女』はもはや意識がすっかり朦朧とし、何が現実で何が幻なのかもわからなくなっていた。
初めて犯された頃と比べて髪も肩甲骨まで伸び、おっぱいはHカップを超える大きさでありながらウエストは締まり、
手足もすらりとしている『彼女』は、あどけなささえ感じさせる童顔に化粧をして黙って立っていれば、
いつアイドルのスカウトに呼び止められてもおかしくないほどのとびきりの爆乳美少女になっていた。
その上、3ヶ月に渡って毎日のように男達に抱かれ、その精を注ぎ込まれて、
少女の肌は女性ホルモンがたっぷりと行き届きしっとりと吸い付くように滑らかになっていたのだ。
「次、俺な!」
今まであそこに男根を挿入したまま『彼女』の肉のあたたかさや断続的な締め付けを楽しんでいた男が、
まるで荷物を置くようにして『彼女』の身体を脇へと下ろした。
その途端、“ぶぶっ…ぶりゅっ…”と膣内から精液が溢れてこぼれる音が、朦朧とした『彼女』の耳に、
カラオケの大音量の中でいやにハッキリと聞こえたのだ。
『彼女』にはそれが、自分の胎内にこれから宿るかもしれない赤ちゃんの悲鳴に聞こえた。
元男である自分にそんな考えが浮かぶことに、『彼女』は少なからず驚いていた。
男達におっぱいを捧げ、与え、吸われ、嘗められているうちに、いつしか母性と呼べるものが生まれていたのかもしれない。
このままだと自分は、この男達の中の誰かの子供を身篭るかもしれない。
でも男達はきっと子供を堕胎(おろ)させても自分の身体を嬲り続けることを選ぶだろう。
新しい命が生まれずに闇に葬られても、それを気に病む事も無く。
確信があった。

いつか男達が言っていたのだ。
「こんだけ中にブッ込めば、いつか誰かのガキ孕むんじゃねーの?」
「おいおい、コイツ元男だぞ?そんなのあるかよ?」
「わかんねーぞ?大体、子宮だってあるんだぜ?そのうち生理も来たりしてな」
「ガキ孕んだらどうすんだよ」
「堕胎(おろ)させるに決まってんだろ?腹ボテでセックスなんか出来るかよ。キモイ」
「だよなぁ」
散々嬲って気を失った『彼女』が、いつしか目覚めていた事にも気付かず男達は下品に笑い合っていた。
『彼女』が自宅に男達を呼び、ガソリンに火を点けて何もかも燃やしてしまおうとしたのは、
それから二週間後の10月12日のことだった。
二学期の中間テストの『勉強会』という名目で呼び出されたチームメイトと体育教師の岡島は、
いつものように『彼女』を順番にたっぷりと犯した後、両親はあと2日は帰ってこないという『彼女』の言葉を信じて、
そのまま泊まった。
男達は、冷蔵庫の中身を好き勝手に食い散らかし、持ち込んだ酒を飲んで愚かにもだらしなく寝入ってしまった。
そして、そんな男達を残して密かに外に出た『彼女』は、
ガレージに用意してあったガソリンを玄関と家の周囲にぐるりと撒いて、躊躇いも無く火を着けた。
火はすぐに家を包み、ガラスの割れる音や怒号や悲鳴がしばらく続いていた。
駆けつけた人々の前で豊満な体にシャツを羽織っただけの『彼女』は、ただ狂ったように笑っていた。
これで終わる。
なにもかも終わる。
全て終わる。

死ね。

死ね。

死んでしまえ。

炎の照り返しを受けながらゲラゲラと壮絶な顔で笑う美しい少女の顔には、もう、
とうの昔に人としての心が砕けて散ってしまったことを思わせる、赤黒い狂気の色が浮かんでいた。

■■【6】■■

蘇る記憶。

封じた記憶。

望美はただひとり、夕日のすっかり沈んだ河川敷の土手に仰向けに寝転がっていた。
頬にこぼれて流れた涙が、夜風に晒されて冷たかった。

――全てを思い出していた。

自分がもとは男だったことも。
その後に受け続けた地獄のような責め苦の日々も。
でも、『彼女』の記憶はガソリンに火を着けたところで途切れていた。
気が付くと自分は病院の白いベッドの上に寝かされていて、あったはずの過去は失われ、無いはずの過去が生まれていた。

程なく退院してからは、前とは違う学校に、まるでずっと通っていたかのように錯覚しながら生活をした。

一ヶ月が経ち、やがて生理が来た。

その時、ひどく安心している自分がいた。
そして……安心した自分に…愕然とした。

…安心した?

何に?

自分はまだ、ヴァージンで、誰とも初体験していないのに。
そう思いながらとめどなく流れる涙を抑えることが出来ず、学校の女子トイレで声を殺して泣いた。
全てを思い出した今なら、その涙の意味がわかる。
あれだけ毎日のように膣内で出されて、よくも『妊娠』しなかったものだと、今更ながらに思う。
そして全てが終わってから始まった生理に、心から感謝した。
不遇な命を宿らせずに済んだ事が、ただひたすらに嬉しかったのだ。

自分を4ヶ月に渡って犯し続けた、あの元チームメイト達の生死はわからない。
一度も耳にしなかったのは、ひょっとしたら両親が耳に入れなかったからかもしれなかった。
そして、放火し、人を焼き殺そうとした筈なのに、一年経った今まで一度も法的な拘束を受けていなかった。

なぜ…。

薄闇が忍び寄る土手に寝転がり、垂れてきた鼻を啜った『彼女』は、軽く頭を振って嫌な考えを強引に振り払った。
終わった。
全てもう、終わったことなんだ。

――でも。

遠くの橋を渡る電車の、規則正しい線路の音に身を任せながら『彼女』は思う。
今の自分には、その薄汚い汚物のような過去を知らず、心から好きだと言ってくれる少年がいる。
その少年に自分は、女として優しく扱われるのがたまらなくうれしい。
彼といると愛しさが溢れて止まらない。
切なさに涙が滲んで声が震えてしまう。

――でも、話せるのか?

自分が1年ちょっと前まで、本物の男だったこと。
ヴァージンどころか、チームメイトに犯されて、犯され続けて、散々おもちゃにされていたこと。
けれど、再会した幼馴染みと恋に落ち、以来、和敏(かれ)を愛しいと思うこの気持ちは本物だと思う。
引っ越して、学校も変わり過去と決別した自分は、これでもう肉体的にも社会的にも本当の女になったはずだ。
…心はともかく。
でも、だからこそ話せない。

全てを打ち明ければ、壊れることが目に見えているから。

ではどうしよう。

どうすればいい?

決まってる。
答えはもう、とっくに出ているじゃないか。

どうしようもないのだ。
この記憶は全て胸に押し込めて、彼を騙し続けるしかない。
自分はかつて男だったかもしれない。
でも今は女だ。
自分はかつて女の子が好きな普通の男だったかもしれない。
でも今は、和敏の一挙手一投足に一喜一憂する、ただの女なのだ。
ずるい。

ずるいずるい、ただの女、なのだ。

■■【7】■■

「望美…」
少女は頭上から聞こえた声に、弾けたように身を起こした。
そこに、たった今まで頭に思い描いていた愛しい少年の姿があった。
散々探したのだろう。
汗びっしょりで、髪はくしゃくしゃだ。
「…ったく…どうした…んだよ…急に……心配…」
荒い息の下で懸命に紡ぐ言葉は、『彼女』を案じる言葉だった。
「……ふぅっ………ごめん…悪かったよ…キスなんかして…」
ついさっき心に決めた嘘が、彼の声を聞いた途端、あっという間に砕けて消えた。
黙っていることが、強く強く、何よりも強く胸を締め付け、刺し、焼き焦がす。

ちがう。
ちがうよ。
キスが嫌だったんじゃない。

「…吐くほど嫌なら…その…もうしないから…」

ちがう。
吐いてしまったのは、嫌な事を思い出してしまったから。
昔の自分の罪を思い出したから。

「……旅行…考え直そうか…」

いや。
だめ。
いっしょにいきたい。
カズくんと一緒に。

「…望美……泣くなよ…」
声も無くはらはらと涙をこぼす少女に、少年は一歩脚を踏み出し、そして躊躇して、小さく息を吐いた。

そして…。

「思い出した?」

真摯な彼の言葉が、『彼女』の耳を打ち意味を成す言葉として理解されるまで、たっぷり10秒ほどかかった。
「…え?」
彼は、戸惑う少女の右手を恐る恐る取り、その白くて細くてやわらかい指を、そっと両手で包んだ。
「そうか…思い出したんだな」
「カズく……」
震える瞳で彼を見やれば、彼は様々な想いを込めてゆっくりと頷いた。
「全部、知ってる。『望美』が、『望』だってことも。細かいことはわからないけど、色々あったことも。
俺、お前のおじさんもおばさんもちゃんと覚えてるし、それに昔よく遊んだちょっと泣き虫の奴のこと、
忘れたことなんか無かったし」
『彼女』は信じられないものでも見るように、目の前の“恋人”を馬鹿みたいに見詰めた。
「お前は確かに昔…男だったかもしれない。いや…だったんだろうな。少なくとも俺の記憶の中の『望』は男だったから。
覚えてるか?二人で立ちションしたこともあるんだぞ?」
「だ…だったら…」
「…でも、それでも俺はいいって思ったんだ。望美は望美で、確かに昔は望だったかもしれないけど、
今はこんなに可愛い俺の彼女だから。それは事実だから」
「あ、あたし…」
「うん」
『彼女』は一度口を開きかけ、そして俯いてぎゅっと下唇を噛み締めた。

泣くなあたし。

泣くな。

そうずっとずっと思いながら、けれど後から後から溢れてこぼれる涙は、止まらなかった。
全部知っていた。
彼は知っていた。
いつから?
ずっと前から?
出会ってからずっと?
それでも自分を好きでいてくれたの?
好きになってくれたの?
ただの女の子として見てくれていたの?

あたしは、そんな彼をこれからずっと騙して生きていこうとしていたの?

「あ…あだじ…」
「うん」

こんなにも優しい彼を、よくも騙し続けようとしたものだ。
薄汚い“便所女”のくせに。

「…だ、だぐざん…よごれだ…よござれだ…」

「…うん…」

ヴァージンを捧げる?

愛しい人と結ばれる?

そんな事が許されると思ったのか?
よくもそんな事を夢見たものだ。
何人もの男に弄ばれ、膣内に精液を注ぎ込まれた“精液袋”が。

「いやなごど…だぐざん…ざれだ…」
「…うん」

おもちゃのように扱われ、便利な便所女として喜んで精液を飲み下したその口で、今度は愛を語るのか?
優しくて愛しい、大切な大切なカズくんに?

「あ、だじ…あだじぎだない…すごく…ぎだない…」
「それは違う」
果てない自責に心を責め苛まれ、『彼女』は膝から崩れ落ちて地面に手を着いた。
それでも彼は、『彼女』の手を離さない。
離してしまえば、それで全てが終わってしまうとでもいいうように。
「ぢがわない……いばのあだじ…ぢがう…がずぐんのがのじょ…で、もう…いら…な…」
声がしゃがれて、まるで老婆のようだった。
「…あだじ…もう…いられない…
「俺の彼女だよ」
「ぢがうっ」
『彼女』は駄々っ子のようにブンブンと首を振り、手を包む彼の両手を振りほどこうとした。
でも、彼の手はまるでくっついたみたいに離れなかった。
そのあたたかさが、『彼女』の手を伝い腕を伝い胸を満たして心を焦がした。

熱い。

熱い、熱い、恋のココロを。
「彼女だよ」
「ぢが」
「彼女だよ」
「がずぐん」
「好きだよ望美」
「ぐぅ…」
彼の言葉に、俯き涙をぽたぽたと地面に落としていた少女が顔を上げた。
涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった『彼女』の顔は、お世辞にも可愛いとは言えなかった。
「帰ろう。それで、これからのこと、ちゃんと考えよう。二人で考えよう。時間はあるから。俺には望美が必要なんだ」
「がず…」

「好きだよ望美。たぶん世界で一番」
「~~…っ…ぁああ……ぁあ…」
胸に突き刺さった彼の優しい優しいあたたかなナイフが、痛く、辛く、哀しく、切なく、
そしてどうしようもなく嬉しかったから。
声を上げ、『彼女』が泣く。
子供のように、ただ純粋に泣く。

寂しい。

寂しい。

恋しい。

恋しい。

おねがい。
ひとりにしないで。
ここにいて。
ずっといっしょにいて。
あたしを捨てないで。

すてないで。

すてないで。

そして少女の言葉は、形にならないまま少年の胸に染み渡る。
「だいじょうぶ。俺はずっと望美のそばにいるよ」
ずいぶんと長い時間をかけて、こくりと少女が頷く。
たったそれだけの仕草に、少年が心から安堵したように肩の力を抜いた。

髪はボサボサに乱れ、Tシャツは汗でべとべと。
脚はサンダルがペタペタと間抜けな音を立てて。
そんな少年が、可愛らしい少女の手を引いて河川敷の土手の上を歩いていた。
少女もまた、誰かに乱暴されたかと見紛うばかりの着衣の乱れだった。
乳白色のサマーセーターも土と草とほこりで汚れ、ブーツの紐は解けたままだった。
そして、泣いていた。
子供みたいに声をあげて、こぼれる涙を左手でこすりながら。
でも、右手だけはしっかりと少年の手を握っていた。

この手だけがこの残酷で優しい世界の中で、ただ一つの確かなものだとでも言うように。

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